| 上田 |
昨年11月30日に北区で開かれた「地域経済・金融・雇用を守るシンポジウム」(同連総会主催)に参加せさてもらいました。雇用とか金融の問題が討議され、地元金融の応援が話し合われたことに感動しました。広い分野で中小企業や民主団体ががんばっている姿を見ることができました。私の住んでいる相原市の共産党女性市議会議員の方、やはり熱心にやっている姿を見受けます。他の政党には、パーティーに呼ばれることはあったが、共産党のように勉強会に呼んでくれる政党はなかった。ここらが他の政党と違うところで、シンポジウムはとてもいい経験でした。
これからも勉強会などには参加したいですね。 |
| ◆製造業多い相信の取引先 |
| 吉井 |
相信の融資先、取引先はどういう事業分野が多かったのですか。 |
| 上田 |
取引先は、やはり製造業が一番多かったですね。地区によって違いますが、鉄工メーカーの下請け、ネジ業界とか、鉄工部品の製造とか、金型関係とか、建設業、飲食業、卸売業、小売業など多種多様な分野で取引がありました。相続税対策でマンションをやったり、株をやった人もいて、株価が上がっていたらいいんですが、下がって、大変というのもあります。 |
| 吉井 |
私は財務金融委員をやっていますから、そういう相談も受けます。バブルがはじけて、マンションなどの担保価値がどんどん下がって、ものすごい取りたてをくらっている被害者がたくさん出ているんですよ。 |
| 上田 |
そうですね。 |
| ◆大手都銀は本当に身勝手 |
| 吉井 |
国会でも取り上げていますが、大手都銀は本当に身勝手です。信金・信組の取引先に、わっと乗り込んで、客を取ってしまう。「相続税対策た」なんだと言いながら、融資して賃貸マンションを建てさせ、バブル崩壊で人が入らない。けれども、貸した金は返せ返せと攻めたてて、裁判に持ち込み、資産を全部取り上げてしまう。
健全経営でやってきた、町工場のおやじさんがそのやり方にのって、全財産を失う。
「自分の人生何だったんだろう」って、自殺する人まで出る。 |
| 上田 |
私たち信金は、その地で行動していかなければならないから、お客さんのマイナスになることはできません。地元で育ち、地元企業の人と互いに応援した仲ですからね。 |
| 吉井 |
それだけよく地域を回ってるから、逆に融資するかどうかの審査も違いますね。大手都銀だったら機械的に物的担保中心だけど。東大阪なんかで多いのは”ガレージ工場”です。NHKでも放映され有名になりましたけど。街のガレージを借りて、そこに旋盤1台置いて仕事を始める。ガレージから始まるにしても、ちゃんとした親方のもとで腕磨いた人とか、信金の営業マンが見ているので、「彼だったら大丈夫」と融資して応援する。そこが育つことで、回っていたんです。物的担保中心の都銀ではとても相手にしてもらえません。政府がいくら中小企業対策で起業家を育てるといっても、肝心の金融機関がね。 |
| 上田 |
ないですね。 |
| 吉井 |
これからの物づくりが大変になると心配です。 |
| ◆一番の課題は出資金問題 |
| 上田 |
破たんから1年、いまも1番の課題は出資金問題です。1番聞かれるのも「出資金どうなるのか」です。「まあええわ」というお客さんもいますが、そうもいきません。「望みは捨てないでください」と話していますが、渉外系とか、支店長らが一番、心の内で悩んでいることです。 |
| 吉井 |
「相信はなぜつぶされたんか」という質問も出るでしょう。 |
| 上田 |
「ペイオフが近いから、今のうちなら、預金だけでも保護できるで」と、政策・行政でつぶされた。まだ思うんですけど、つぶして誰が得したのか。「なんでこんなところにこんな金、行くんかな」「そこ行かんと、こちらに来たら、つぶさんでよかったん違うかな」と。譲り受ける金融機関しかり、多額の金が入っていますけど、税金ですからね。疑問として残っています。初夢は「清算会社がまた新しく立ち直って、新生相互信金ができました」というのでした。四十年間はぐくんだ相信とお客さんへの愛着が交差しているのでしょう。職員が再就職できなかったことも悩みです。私たちが破たんして、地域に密着した金融機関がなくなった。「幸いの信用金庫」と言われていたのが、幸いがなくなっているなと。 |
| ◆健全経営していたのに金融庁が鑑定評価ゆがめる |
| 吉井 |
破たんに至る過程で、こんなやり方おかしいと思ったことが多分おありだと思うんですよ。例えば、不動産鑑定士の鑑定評価にもとづいて、相互信金としても引当金を積んでいくわけですが、その不動産鑑定士の鑑定評価を金融庁が認めない。九掛けだとか七掛けだとかにしてしまう。千葉県の船橋信用金庫が九掛けぐらいでした。相信は七掛けから75%ぐらい。いくつかの不動産鑑定士が入って平均値をとるというのなら分からんでもないが、不動産鑑定士をそもそも信用しないということですからね。 |
| 上田 |
おっしゃる通りです。いままで入っていなかった監査法人を入れる義務が出てきて、ディスクロージャー(企業情報開示)ができた。監査法人の責任が必要になる。 |
| 吉井 |
アメリカのエンロンの破たんのときは、監査法人が一緒になってインチキ帳簿をつくって、責任を問われましたけどね。金融庁が相信をつぶすために、正規の鑑定評価をゆがめることをやったということです。金融庁に鑑定評価をする資格はあるのかということまで問われてくるわけで、このやり方自体がものすごくおかしい。 |
| 上田 |
破たんして一年、人の心といいますか、勝てば官軍、負ければいいなり、ここまでやるかと感じましたね。これは本にでも出そうかと思ったぐらいです。 |
| ◆国の指導で出資金増やし |
| 吉井 |
鑑定の問題とともに、全国の信金組合に、BIS基準に照らして、合格するものになれということを国がいい、合格するための資本増強となれば、信金は株式市場で調達する株式会社ではなく、協同組合ですから出資金を募る以外にない。国の指導で出資金を多くするわけですから、基本的には返還するということができたのに、去年から突然やめてしまった。相信を信頼して定期預金を出資金に切り替えたり、定期の感覚で協力したのになんだと不信がでてくるのは、お客さんからすれば当然です。国の基準をクリアするには、出資金を増やすか、貸付資産を減らす、つまり貸しはがしや貸ししぶりをするしかない。中小企業対策だ、「貸ししぶりやめとけ」といえば、出資金を増やす以外ない。金融庁長官が、出資金は株式と同じだ、ハイリスク、ハイリターンだと言われたんじゃ、出資した人たちは、みんなだまされたことになります。 |
| 上田 |
われわれにもそういう指導で、出資金集めをしましたからね。 |
| 吉井 |
金融庁の方から、出資をきちっとクリアするようにと言い出したのはいつごろですか。 |
| ◆受け皿となり連鎖倒産的に |
| 上田 |
ちょっと定かではないんですが。相信の場合、自己資本比率は4%を切れることはなかったです。五年間で5・0ー5・9%でがんばってきた。それでも金融庁としてはどこかをつぶさなあかん。何でもっと自己資本をのばすのかということで、うちの経営者も出資金という言葉を出したと思います。そうでない場合は、信金中金の方から公的資金を導入して、経営陣が退陣する形の選択になっていた。ですから、出資金については今までどおり、なんかあってもそれはお客さんに返してもらえると思っていました。 |
| 吉井 |
現場でお客さんのところを回っている人はみんなそう思ったと思いますね。
地方に行くと大阪以上にさらに早く産業が疲弊していたので、あずかった金の運用先がなくて、株式投資信託や外国債に手を出して失敗したところもあった。相信は健全な経営をやっていたのに、なんで破たんしたのですか。 |
| 上田 |
うちは破たんした東洋信金さんの一部を受け持ちました。もらい損です。その影響も多分にあったと思います。 |
| 吉井 |
ほかのように外国債や株式投資信託に失敗したわけでもない。預かったお金の貸付先が、とくになくなったわけでもないのに、なんでかな、ということになりますね。ちょっと時間差がある連鎖倒産的なもの。 |
| 上田 |
そうですね。 |
| 吉井 |
三月末までに譲り受け金融機関に引き継ぐ、これを逆算して、月に破たんさせる。年内にということで一昨年の十二月までに信金、信組をバタバタ破たんさせたんですね。 |
| ◆金融の根本問い直す時中小企業を柱にしてこそ |
| 吉井 |
これからの問題としては出資金返還の訴訟を大きな運動にしていくことが大事だと思っています。出資金とはそもそも何か、出資金をどう保護していくかなどに道を開いていく大きな意味がある。もう一つ、出資金が返ってこないとなると信金・信組への出資者は、これから見向きしないことになり、地域金融機関が、役割を果たすことが非常に難しくなる。ペイオフ全面解禁に合わせて、預金も出資金も保護されて地域の人々が信金・信組を支えていける仕組みをどれだけきちんとつくるか、今度の出資金集団訴訟が持っている大きな意味だと思います。 |
| 上田 |
相信の問題だけでなしに他の信金の問題になってきますからね。 |
| ◆信金・信組の大きな役割 |
| 吉井 |
そこが不安定なら結局、都銀に負けますよ。都銀の一人勝ちになると、地域で物づくりをしてきた中小企業が金融の面で困難になります。地域経済の発展を考えても、信金・信組がきちんと健全に存在し得ることが大切です。都銀の一人勝ちで全部淘汰(とうた)されてしまったら大変です。政府が考えているのは、巨大信金・信組への集中合併ですし、経営の効率化です。営業店舗を減らせ、営業マンが地域を回るのはやめなさいということです。融資の審査は担保主義にならざるを得ません。 |
| 上田 |
実際を見ている議員が声をだしてくれなくてはいけません。信金・信組なくして中小企業は小さい借り入れはできません。不良債権処理も信金・信組を生かしてやることが大事です。 |
| 吉井 |
金融の面での協同組合の役割は、みんなで出資した金で金融機関をつくり、預金して、集まったお金で貸し付けし、地域で経済が発展し中小企業が栄え、商店が生まれ、地域経済全体が発展して、金融機関も地域経済も成り立つ。金融問題の根本は日本の経済や産業のなかで、中小企業をどう位置づけるかです。 |
| 上田 |
いま目の前で起こっていることではっきりしてますね。 |
| 吉井 |
中小企業は日本の企業数の99%です。そこで働く人は78%を占めています。
製造業出荷類の約六割は中小企業。日本の物づくり生産の中心は中小企業です。いかに大企業が新製品開発だなどとえらそうなことを言っても、金型などの精密なものを作ってきたのは東大阪や大田区の中小企業なんです。中小企業が枯れてしまったら日本の日本の物づくりや技術開発の力は衰える。日本経済全体にとってマイナスです。
中小企業は日本経済の大黒柱の一つなんだとの位置づけでこそ、経済全体の再生が可能になる。中小企業は同時に地域経済の中心です。その点でも中小企業をどう位置づけるかが、今回の相信問題通じて問われていることだと思います。 |
| 上田 |
その通りです。 |
| ◆地域金融の活性化こそ |
| 吉井 |
もう一つ問われている金融のあり方。いま都銀がすすんでいる道は、投資より投機でしょう。政府は間接金融から直接金融へということを盛んに言っています。企業が直接、証券市場を通じて資金を集める流れのなかで、銀行自身が変質して、金融投機、ばくちになっている。ばくちはもうけるときは、額が大きい方がいいから、国際的な金融投機に日本の銀行が乗りだしていけるように体力をつけようというのがその発想です。
年間の貿易を中心とする実需の取引総額に相当するものが、証券や為替の四日分ぐらいの取引です。それだけに非常にリスクの大きな世界です。それを「ハイリスク、灰リターン」と賛美しているが、ハイリターンがなくてハイリスクだけ国民に背負わされている。銀行が破たんしても責任を取らず、公的資金の投入と言って税金でめんどうを見てもらっている。大きなゆがみが出ている時だけに、そもそも金融はどうあるべきなのか、問い直し、原点に立ち返るべきです。日本共産党は、昨年四月、「地域金融活性化法案」を提出しました。これは地域経済に必要な資金を安定的に供給するという金融機関の本来の責任をきちんと果たさせるために、国と自治体、金融機関の責任を定めた法案です。さらに、日本共産党大阪市議団は、昨年、11月、「地域金融活性化条例」を提案しています。これは小泉内閣が、不良債権処理の加速を言い出してからいっそうひどくなった「貸ししぶり・貸しはがし」を防ぐための自治体独自の工夫です。いま、京都、埼玉、千葉、北海道など全国で、「貸しはがし防止条例」制定の動きが起こっています。金融とは、多くの庶民から預金を集めて、物づくりを応援する。リスクをとりながらも、健全、着実なリターンを得ることで金融機関も地域経済も物づくりの中小企業も成り立っていく。こういう経済の道へ進んでいくべきだというのが相信問題の全体を通じて今考え直さなくてはならないことだと思います。 |