不良債権処理
貸しはがし93兆円、失業者332万人増
衆院委で吉井議員 加速方針の撤回求める

 不良債権処理の加速策が実施されれば、大手行で最大93.2兆円の「貸しはがし」を引き起こし、332万人もの新たな失業者が生まれる――。日本共産党の吉井英勝議員は29日の衆院財務金融委員会で、こうした民間調査研究機関の試算も示し、小泉内閣が強引に進める「不良債権処理の加速」で日本経済は危機的状況になると強調し、同方針の撤回を求めました。この試算は、日本総合研究所によるもので、国内総生産(GDP)も6.4%押し下げることになるとしています。

 吉井氏は、「1年間不良債権処理を進め10兆円処理したが、20兆円新たに発生した。問題は、その間に貸しはがしが、どんなにやられてきたか。金利引き上げがどんなにやられているかだ」と強調。公的資金を注入した大手行に義務づけられている中小企業向け融資が、軒並み計画を下回っている実態(グラフ)を示しました。

〔表ー資本注入行に対する中小企業への貸出残高を増やさせる計画と実績〕

 
01年3月
実績
(A)円
01年9月
実績
(B)円
02年3月
健全化計画
(C)円
01年9月
増加実績
B−A
01年3月
増加計画
C−A
02年3月
増加実績
03年3月
増加計画
みずほ
336956億
337462億
337654億
508億
700 億円
○2010億
100 億円
住友信託
34729億
34629億
34789億
▲100億
60 億円
○ 308億
10 億円
UFJ
238884億
224337億
239384億
▲14547億
500 億円
▲25247億
4000 億円
あさひ
87765億
86004億
87865億
▲1761億
100 億円
▲14354億
大和
60634億
60424億
60934億
▲210億
300 億円
▲2687億
三井信託
284587億
268697億
285087億
▲15890億
500 億円
▲7615億
700 億円
横浜
36416億
36353億
36456億
▲63億
40 億円
▲414億
40 億円
中三信託
46455億
44868億
46605億
▲1587億
150 億円
▲3411億
300 億円
 
 
3月残高比6カ月実績
計画に対する実績

〔資料−都銀の中小企業向け貸付金利引上げ要求の内部指導文書〕

 某都銀の02年10月5日の「02年度下期 経営方針会議」での頭取の発言

「リスクに見合ったリターンを追及し、貸し出し金利の引上げをはかっている。これ  は必要なこと」「従来に比べコストアップになるが、それはお客さまが本来支払うべき必要コスト」
「貸し出し金利の引上げが最重要課題でありましたが、計画を達成し、相応の成果を上げることができました。」
「格付け開示という、一歩踏み込んだ施策を打ち出したことも、功を奏したと思いますが、取引先との厳しい交渉に臨まれた、現場のみなさんの努力を評価したい」

この銀行の6月に作成した「格付け開示マニュアル」、即ち「貸付け金利引上げマニュアル」

A みずほ「貸付け金利引上げマニュアル」(問答集)

   「引上げ金利で納得しない時は?」
    「今回お示しした金利が適正な水準。御社に理解頂けるよう努力してまいります」
   「当社とは取引したくないということか?」
    「あくまでお取引をさせていただくに当たり、弊社が適正と考えるご融資利率の適用をお願いするものです」
B UFJ「格付け開示マニュアル」(問答集)
  Q4.「中小企業も大企業も同じ基準で格付け決定されているのか?」
    回答例「最終的には金利設定は相対交渉で決まるものですが、どのような企業でも金融機関としてはリスクに応じたコストが掛かっていることをご理解頂きたくぞんじます」
  Q8.「貴行の見方と他行の見方は違っている。同じ銀行なのにどうして見方が異なるのか?」
    回答例
  Q10.「当社の信用リスクについて、貴行の判断が正しいのか分からない。何をもって貴行の判断が適切であると理解すれば良いのか?」
    回答例
  Q17.「わが社は長いこと取引させて頂いている。そして貴行からの要請事項にも応えてきた。貸し出し金利の決定において、こうした過去の取引経緯は評価されないのか?」
    「過去の取引経緯をないがしろにするつもりはございません。過去の取引経緯も踏まえ、今後とも末永いお取引を頂くために当行の内部基準を開示し、お客さまと対等で透明な交渉をさせて頂いております」
  Q19.「金利引上げは当社の業績にダイレクトに跳ね返ってくる。負担余力があると思っているのか?金利引上げの結果、業績が悪化し、格下げ→金利引上げの悪循環に陥ると思わないのか?当社の利益を貴行に付け替えるだけのこと。『お客さまと共に成長する』という貴行の経営ビジョンは、全くの嘘ではないか。
    「信用コストに応じた適正な金利を提示させて頂くことにより貴社との末永い取引を図っていきたいと考えております。そして財務面でのアドバイスをはじめ、貴社の成長、発展に繋がるような提案や活動が従来以上にできるよう、努力していきたいとかんがえております」
  Q22.「我々の税金(公的資金)まで投入されている銀行が、小さいながらも自力で頑張っているわが社を格付けし、その財務内容についてとやかく言ってくるのはおかしいではないか?」
    格付けを開示させて頂くことにより、銀行による企業信用の見方、そして、これに対応する形で設定されている適用金利の考え方についてお客さまに理解を深めて頂くためのものです。また、お客さまの財務の現状と問題点等につき、銀行との間で共通の認識をお持ちいただくことで、・・・相互に協力しあえる取引関係を・・」
C 三井住友「顧客向けQ&A」
  Q8「所詮は金利を引上げる口実に過ぎないのではないか?」と言われたら、
    「金利の引上げが主たる目的ではなく、金融本来の使命である資金の円滑供給をするためのものと考えて頂きたいと思います」と答えなさい。
ああいえばこういう式で借り手中小企業を屈伏させ、高金利を押しつけるマニュアル。言葉は丁寧に、しかし高圧的に押しつける。言質をとられないようにするのは公正取引委員会の「優越的地位の利用は独禁法上の問題を生じやすい」という01年7月の「金融機関と企業の取引慣行に関する調査報告書」の指摘があるから。