中部電力浜岡原発調査報告(HPメモ)  

02・10・3  吉井 英勝
〔「東京電力等不正事件真相究明委員会」現地調査団の活動〕
10月3日(木曜日)午前9時〜午後1時 中部電力浜岡原子力発電所
  中部電力側出席者 池田紘一総合事務所長、福与 正副所長、倉田千代治総合事務所広報G担当部長、村本卓広報G部長
  党調査団参加者 吉井、佐々木、瀬古、大森4衆議院議員他10名

〔現場で確認〕
10月3日(木曜日)午前9時〜午後1時 中部電力浜岡原子力発電所
1.3号機 再循環系配管のひび割れ検出箇所と検出方法
制御棒駆動水圧系配管と関連機器
2.2号機 余熱除去系点検用ドレン配管の配管共振による「疲労割れ」と対策、及び余熱除去系蒸気凝縮系配管仕切弁設置状況確認

〔質疑通じて確認〕

1.1、3号機 再循環系配管にひび割れ
2.4号機   シュラウドにひび割れ
3.1、2、3、4号機  制御棒駆動水圧系配管のひび割れ
4.2号機   余熱除去系点検用ドレン配管の配管共振による「疲労割れ」と対策

T.再循環系配管の必要肉圧とひび割れの評価
〔再循環系配管の必要肉圧とひび割れ〕

浜岡1号機

 
最高使用圧力
最高使用温度
外径
公称肉圧
材料
必要肉圧
(計算値)
入口
kg/cu
508.0mm
32.5mm
SUS304HP
20.7mm

A系吸込側継手番号2(中間停止時測定)欠陥深さ僅小  公称−欠陥= − mm 

浜岡3号機

 
最高使用圧力
最高使用温度
外径
公称肉圧
材料
必要肉圧
(計算値)
入口
出口
kg/cu
kg/cu

625.4mm
625.4mm
38.9mm
38.9mm
 
22.3mm
26.7mm

 A系吸込側継手番号2 (第9回定検測定) 欠陥深さ3・5   公称−欠陥=35.4mm
 B系吸込側継手番号4 (第6回定検測定) 欠陥深さ3・8   公称−欠陥=35.1mm
 B系吐出側継手番号5 (第7回定検測定) 欠陥深さ3・5   公称−欠陥=35.4mm

 配管内部のひびを配管の外から超音波探傷装置で探るというもので、ひびの深さについては「2〜3mmの誤差はでる」と中部電力の説明。従って、一応 必要肉厚は満たしているが、3号機B系再循環ポンプ吐出側継手(番号5)についてみれば、余裕は6〜7mmしかないという状況。公称肉厚が必要肉厚に対して、1・326 であったのが、測定時に入る誤差を考慮に入れると、肉厚は必要肉厚の1・213 しかないということ。
 ひびの措置として、3号機では配管内面の化学除染のために取り換えた1回を除いて、全部「研削」という配管内部にグラインダーを入れてひび割れを削って磨く処置をしたので、実際にはひびの深さは深くなっている。
 「研削手入れの結果深さは幾らに減少したか?」と質問したが、「ほとんどひびの深
 さと変わらない」というだけで、測定した様子はなかった。

〔比較資料−東京電力福島第1原発4号機−保安院報告による〕

 
最高使用圧力
最高使用温度
外径
公称肉圧
材料
必要肉圧
(保安院)
入口
84.4kg/cu
298℃
711.2mm
40mm
SUS304HP
24.81mm
出口
96.0kg/cu
298℃
711.2mm
40mm
SUS304HP
28.12mm

 A系吸込側継手番号 2(中間停止時測定) 欠陥深さ13・0 公称−欠陥=27mm
 B系吐出側継手番号10(第15回定検測定) 欠陥深さ12・0 公称−欠陥=28mm

〔結論〕

  1. 再循環系配管内部の傷=ひび割れを正確に見つけて深さをはかる検査機器の開発と検査手法やひび割れがどのように進展するものかを評価する手法はこれからの課題。
  2. 1F4が示した事実は、再循環系配管の破断による深刻な事故の発生を可能とする程、ひび割れが進展していたということ。浜岡原発でも、ひび割れがそこまで進展する可能性をもっていたということを示した。

U.シュラウドのひび割れ等圧力容器内機器の損傷

〔浜岡4号機シュラウドひび割れの履歴〕

 
02年検査
01年検査
00年検査
99年検査
98年検査
97年以前
発見個数
67
見つからず
見つからず
見つからず
見つからず
見つからず
合計長さ
2.3m
 
 
 
 
 
傷深さ
 
 
 
 
 
〔シュラウド等のひび割れ検査について〕

10月1日の吉井の質問(国会内で原子力の安全規制を求める議員の会質問会で)
  「9月5日に柏崎刈羽原発へ調査に行って、シュラウドのひび割れについてビデオを見た。水の汚れやシュラウド表面の汚れなどがあり、遠隔操作の水中カメラでヒビを見つけることは難しいし、そのひび割れの深さを水中に超音波探傷装置を吊るして測定するという方法では誤差も入り、正確な測定は困難と思われる。検査機器の開発や検査手法の確立が必要という段階ではないか。」
東京電力尾本彰原子力技術部長、福田俊彦原子力技術部機械設計GMの答弁
  「(正確に見つけ出して精度よく測定する)検査機器の開発と検査手法の確立というのはその通り。」
10月3日の浜岡原発での吉井の質問
  「東電もシュラウドのひび割れを見つける検査は困難といった。検査機器の開発や検査手法の確立が必要と言っていた。4号機で、昨年の発見ゼロで今年67箇所というのはおかしい。水中カメラで目視により見つけるという方法では困難だろ。」
中部電力福与正副所長の答弁
  「シュラウドのひびを見つけるのは非常に難しい。経験がものを言う。」
「4号機で昨年まで、他の号機でも、ひびを見つけることはできなかった。」
「ひびは無かったと考えている。」
東電の例を挙げての吉井質問
  「9月17日の東電の報告書で、『ドライヤのドレンチャンネル部分のひび・・・更にひびが進展すると、金属片が一部脱落するおそれもあった』と記載している。ひびがどのように進展していくかの評価は重要。ひびを軽く考えることはできない。」
中部電力福与正副所長の答弁
  「検査機器の開発、検査手法の確立、ひびをどう評価するかの評価手法の確立など更にすすめていかなければならない。」
※ 検査機器の不足でシュラウドの東北電力女川原発のひびの検査は順番がまだ回ってこない。

〔結論〕

  1. 報告漏れと言う問題とともに、ひび割れが発見出来ていなかったという問題もあることが明らかになった。
  2. 検査機器の開発、検査手法と評価手法の確立が必要な段階。

V.制御棒駆動水圧系配管のひび割れ問題

〔浜岡原発での検査の状況〕

  88年にひび割れ問題が発生した。原因は塩分濃度が高かったこと。配管を材質が、SUS316Lのものに取り換えた。その後、毎年塩分濃度測定を行って管理している。問題はない」と主張。
吉井質問
  「東京電力は88年の浜岡事故の教訓にたって、塩分濃度の管理もやっている、材質もSUS316Lにしている。」
「14年前からひびを見つけながら国に報告していなかった。8月29日に調査に入って2、3、5、6号機にひびを見つけていた事が分かった。1F3については、損傷配管率60%に達していること、基準肉厚3mm必要な配管で、腐れシロを含めて6・4 mmの配管を使用しているのに、それがひび割れが深くなって、健全部分の肉厚1・9 mmという状態になっていることを明らかにした。その後の東電の調査で我が党の指摘を認めるとともに、損傷配管率86%に達していること、3本の配管では1・9 mmどころかひび割れが貫通していたことが明らかになった。」
「1区画に70本前後の配管が(断面で碁盤目状に)配置されている所で、その配管に塗料が塗られているから、1本1本のひび割れを検査するのは、配管を1区画全部切断しないかぎり物理的に困難である。その上塗料を剥がさないと検査できないし、さらにUT(超音波探傷装置)でひび割れの深さを精度高く測定することも難しい。検査機器の開発、検査手法や評価の確立も必要という発展途上の技術水準でないか。」
「浜岡1、2、3、4号機の制御棒駆動水圧系配管のひび割れの検査をしたのか。」

中部電力福与正副所長の答弁
  「検査していない。」

〔結論〕

  1. 検査していない。検査すれば東電1F3と同じひび割れが見つかる可能性は大。
  2. 検査機器、検査手法、ひびの評価など総て開発途上。

W.2号機の余熱除去系点検用ドレン配管の配管共振による「疲労割れ」

〔現場説明〕

  「圧力検査のためのノズルの袋ナットを外し外付け溶接していたものを、カイ先を取って突き合わせ溶接に変えた。その上溶接部の肉盛りを熱くした。胴体部と配管の固定用留め金位置も共振を避ける長さに変えた。」

〔結論〕

  1. 配管共振による「応力割れ」が43箇所と特定されているが、ドレンバルブなど普段使用しない配管などのひび割れなどに関心を払っていない設計だった。
  2. 老朽化の中で、疲労割れがでることは、この面でも原発技術そのものが未成熟なものということを示した。

X.公開

 党調査団の主張

  「77年3月通産大臣『軽微なものでも総て報告せよ』
 90年代規制緩和政策で、『業者の自主点検と国の事後チェック』という表現で、報告事項を減らして、非公開を増やした。
 02年10月1日『保安院・中間報告』で、『安全性に関する技術情報の共有化の観点から、国に報告することが望まし』かったと表現を変えた。
今後の方向は、小さいことも総て公表し、判断は国民や専門家に委ねるべきだ。」
 池田事務所長、福与副所長
  「火災報知機の発報まで公開してきた。しかし、小さいキズなど総てというと大変。こんなに(電話帳くらいに)なる。今年7月からは、ホームページでトラブルを公開している。安全性に問題がないことを合わせて明記している。」
 吉井最後の挨拶かねて指摘
  「基準肉厚に腐れシロを取った設計・製作時の肉厚でものを作る。当然、新品ピカピカ時とは違ってくる。腐れシロの中の幾らかまで凹んでも強度等の面で設計時の基準は満たしている。そういう意味で「技術基準」とい考えがあり得ると思う。しかし、その時のひび割れ(キズ)が何処まで進展するものかなど、実証的に解析されていないのに、勝手な「技術基準」の線を引いて、国が安全点検や規制をしないというのは間違いである。電力会社も、ひび割れが見つかっていても「技術基準」だとして、公表しないで運転継続など論外だ。」
   

HP「原発とエネルギー」で公開

東電福島第一3号機調査時の請求資料と保安院の回答(9月13日)及びコメント

02・10・3  吉井 英勝

T.

02年8月29日に、東京電力福島第一3号機の制御棒駆動水圧系配管の亀裂についての調査に入った時、東電より、過去に、同第一原発2号機、3号機、5号機、6号機の4基において、同配管に亀裂が見つかっていたこと、2、3、5号機などでは約0・5mmの深さの疵だったが、6号機では約1mmの深さになっているものがあったと回答された。時期は4年前と明かされた。
福島第一原発2、3、5、6号機のそれぞれの制御棒駆動水圧系配管の亀裂の見つかった時期はいつの定期点検の時のことか。
通産省、保安院(当時の科学技術庁原子力安全局、現在の経済産業省保安院)への東電からの報告は何時行われたか。

  東電→保安院→吉井
 
 
亀裂(ひび)の見つかった時期
保安院への報告
2号機
01年 第19回定検時の自主検査で発見
なし
3号機
88年 第10回定検時の自主検査で発見
なし
5号機
88〜90年 第8〜9回自主点検で発見
なし
6号機
88年 第7回定検時の自主点検で発見
なし

14年間も保安院へ報告が行われていなかった。※
8月29日の29件の他にこの4件を加えると、不正事件の件数は33件になる。
再循環系配管のひび割れの8件を加えると不正事件の件数は合計41件。

9月24日、経済産業省記者クラブでこの「保安院の回答」を発表。翌日朝刊各紙で明らかに。(「毎日」1面など)

U.その時の通産省への報告の内容はどういうものであったのか。
  保安院→吉井
「国は報告を受けていない。」
「それぞれのキズの深さは、磨きによって消える程度の浅いものであり、この程度の
キズは国の報告徴収の対象とはならないと考えられる。」
「東京電力は、この程度のキズは、報告対象とならないと考えていたとみられる。」

基準肉厚3mmに対して、ひびが進行して健全部分の肉厚は1・9 mmしかない状態になっているのに、制御棒駆動系水圧配管のひび割れを「国の報告徴収の対象とはならない」と考える保安院には、安全規制行政をまかせられない。

「報告対象にならないと考えていたとみられる」東電にも、安全対策は任せられない。

9月25日の東京電力の発表では、1F3で282 本の配管中、242 本、86%でひび割れを発見し、その内の3本では貫通していたことが明らかになった。
原発の緊急停止に使用される制御棒の駆動に直接関わる水圧配管の事故を「報告徴収の対象とはならない」という保安院の発想は、規制官庁の資格を失っているものとなる。
水圧配管が破断しても、玉型弁が働いて原子炉内部の水圧で一応制御棒は押し上げられる構造にはなっている。しかし、86%の配管にひび割れが生じているというのは、「バックアップ機構が働く予定」で済む問題ではない。

V. 東電の明らかにした福島第一原発2、3、5、6号機のキズの深さは、それぞれ幾らで毎年の定期点検の時の検査では、そのキズの深さは毎年どのように進行していったのか。
  保安院→吉井
「(東電の)自主的な点検によるものであるため、当省としては把握していない。」
W. 保安院が、キズの原因究明を指示したのは何時のことか。
  保安院→吉井
「原子力安全・保安院は、8月22日に東京電力から、1F3の制御棒駆動系水圧配管に係るトラブルの報告を受け、東電に対し、直ちに当該事象の原因究明を指示している。なお、他の号機については、保安院から指示は行っていない。」

※は吉井のコメント