日本共産党 吉井英勝オフィシャルホームページ

最終更新日:2012年5月14日

メッセージ

福島原発事故から170日、政治は何を明らかにしたか

2011年8月31日

日本共産党衆議院議員・吉井英勝

Ⅰ.福島原発事故は人災

原発事故は、①2005年以降の国会での度重なる警告に耳を傾けず、地震・津波対策をとらなかったこと、②3月11日の地震・津波発生後、初動のまずさによって今日のような被害を拡大させた“二重の人災”であり、決して「想定外」の事態などではない。


(1)事故前―“警告”を無視し続けたことによる“人災”
*05〜10年の国会での取り組みは3/20付け「メッセージ」参照

(2)事故後―地震・津波発生以降の事故対応の誤りが炉心溶融を招いた

  • 地震から約1時間後に「全交流電源喪失」の報告―ただちにベントと注水を行い、核燃料棒を冷却水から露出させないようにすべきだった。ところが、東電は廃炉や株主代表訴訟等を恐れて踏み切らなかった。
  • 原子力災害対策特別措置法では、「原子力災害対策本部長(総理大臣)は、緊急事態応急対策を的確かつ迅速に実施するため…、主務大臣(経産大臣)に対し、原子炉規制法第64条3項の規定により必要な命令をすることができる」と規定されている。総理大臣には直接東電に指揮命令できる強い権限があった。何より総理大臣には、国民の命・安全・財産を守るため責務がある。
  • しかし、総理のヘリコプター視察などによるベントや注水の遅れがメルトダウン、メルトスルーにつながり、大気・土壌・海洋等への大規模な放射能放出を招いた。

4/6経済産業、4/14消費者問題、4/20経済産業、4/26予算、4/27経済産業、5/19科学技術、5/25経済産業、7/8本会議、7/13震災復興

Ⅱ.事故原因の究明に必要なこと

(1)事故時に何が起こっていたのか?

原発敷地内の地震動のデータ、各プラントの破損状況など基礎的データの公開を→4/25に経産大臣名で東電に資料提出命令

  • ベントと海水注入の判断時期―菅総理、班目原子力安全委員長、海江田経産大臣の自覚時期
  • 実際のベントと海水注入の時間
  • 福島原発へのヘリコプター飛行と対策本部空白にした問題
  • 「認識甘く深く反省」(寺坂保安院長)、「痛恨の極み」(鈴木元原子力安全委員長)、「深く反省。二度と起こらないよう指導する」(班目原子力安全委員長)、「『想定外』はもう使わない」(海江田経産大臣)
  • 「(全電源喪失による炉心溶融は起こり得ないという)政府答弁は間違っていた」(菅総理)
  • 研究者、技術者の英知を総結集して事故収束にあたれ→提言ふまえて相談したい(枝野官房長官)

(2)情報収集衛星の撮像公開

わが国には、これまで八千二百億円もの経費をかけて開発・運用している「情報収集衛星」がある。その目的は「防災」と「安全保障」。撮影した画像を活用すれば、地震・津波の被害予測、福島第一原発の破損状況の確認などができ、住民の避難や消防による注水活動に役立ったはず。しかし、公開することは「安全保障上問題」だとして拒否し続けている。

(3)事故後の原発の状況

  • 4/14段階で燃料棒露出が1号機で1.8メートル、2号機で最大2.7メートル、3号機で最大3メートルに達していたとしていたが、5月になってようやく東電自身が全電源喪失後の早い時期に炉心溶融していたことを認める。
  • 建屋上部のクレーン損傷(1、3、4号機クレーンはオペレーションフロアに落下、2号機は目視による状況把握不可、5、6号機も確認不可)

3/24経済産業理事懇、4/6経済産業、4/13内閣、4/14消費者問題、4/26予算、4/27経済産業・内閣連合審査会、5/25経済産業、5/27経済産業、7/15経済産業、質問主意書(6/30提出)、質問主意書(7/11提出)

Ⅲ.放射能汚染から国民を守る

(1)SPEEDIやERSSが機能せず

  • 固定モニタリングポスト(MP)の設置箇所数の増設(福島県内では文科省の2か所のみ。5679箇所の携帯基地局を固定測定所として活用することを提案)。測定データをもとに汚染状況を等量線図化すれば、汚染の瞬間値、累積線量がわかる
  • 事故時にはオフサイトセンターが原子力災害の対策拠点となり、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)とERSS(緊急時対策支援システム)を活用して、事故対応や住民の避難等安全確保に当たることになっていたが、いずれも機能せず。オフサイトセンター(原発から5km圏内)はDG(ディーゼル発電機)の破壊により停電したため機器が動かず、さらに避難指示区域となった。SPEEDIとERSSは東電が放出源データを提出しないため、十分な予測が行えなかった。

(2)炉心の内蔵放射線量・放出放射線量

  • 福島第一原発1〜3号機の3/11時点での内蔵放射線量と事故によって放出された放射線量について核種別に明らかに。

(3)「ロンドン条約」違反の海洋汚染

  • 福島第一原発から大量の放射能汚染水を海洋に投棄。「低レベルだからやむをえない」などとんでもない。放射性廃棄物の海洋投棄を禁じた「国連海洋法条約(ロンドン条約)」への明白な違反だ。近隣国や国際社会への情報提供遅れも問題。
  • 本当に「低レベル」なのか?核種ごとの放射能レベルのデータが示されていない。漁業関係者への大打撃、消費者にとっても重大問題。

(4)内部被曝の問題

  • 食品、飲料水などの放射能汚染調査(線量測定)体制とデータ公開
  • 炉心溶融で放出された放射性物質の核種ごとの線量を定点観測するべきー「核種ごとの粒子の大きさと分布など内部被曝調査の重要なデータを公開すべき」「内部被ばくは健康への影響大きい」と崎山比早子(元放射線医学総合研主任研究官)参考人、矢ケ崎克馬(琉球大名誉教授)参考人らから意見陳述

4/13内閣、4/14消費者問題、4/22経済産業、4/26予算、5/20科学技術、質問主意書(8/25提出)

Ⅳ.早期収束のために

(1)事故の実態を明らかに

  • 事故の実態を明らかにする基礎的データの公開を
    →07/7/16新潟県中越沖地震により、柏崎刈羽原発(東京電力)3号機タービン建屋で2058ガルの地震動、事故・損傷3665箇所
    →11/3/11女川原発(東北電力)1号炉建屋上部で2000ガル超(振り切れた)。外部電源は5系列中4系列が破損。残った1系列で機器冷却系を動かし、約10時間後に冷温停止。
  • コンクリートの劣化の原因となる「アルカリ骨材反応」について、「工程表」に基づく水棺計画実施に先立ち状況を確認したのか。強度・構造の評価なしでは深刻な問題招くと指摘

(2)「工程表」の評価、原子炉の健全性の問題

  • 原発事故の収束に国が責任を果たせ
  • 東電の「工程表」を政府としてどのように評価したのか=東電“丸投げ”の事故対応の問題
  • 3/30に「緊急安全対策」を指示。5/6「電気事業者において適切に実施されていると判断」。しかしその対策は、津波による全交流電源喪失、外部との熱交換による冷却手段喪失の対策のみ
  • →島根原発(中国電力)想定引き波水位▲5・7メートルのところ、取水口の位置は1号機で▲2・4メートル、2号機で▲3・5メートル。これでは海水が取水できず冷却できない。これで「適切に判断している」といえるのか?
  • 九州電力玄海原発の脆性遷移温度の評価を行ったのは、原子炉メーカーである三菱重工業の子会社である「ニュークリア・デベロップメント」。これでは健全性について公正・客観的な評価はできない
  • 香川県多度津町にあった大型振動台「多度津工学試験所」を売却したために、老朽化原発の健全性試験ができない。即ち“ストレステスト”が意味のあるものになるのか疑問

3/24経済産業理事懇、4/13内閣、4/27経済産業・内閣連合審査会、5/25経済産業、5/27経済産業、7/20震災復興、7/27経済産業

  • (3)事故処理ビジネスの問題
  • 事故処理ビジネス=GE、キュリオン、アレバ等の狙い
  • 日米原子力協定(1958年発効)にはアメリカの要求により、米国側が提供した核燃料の加工、使用などによる損害について「免責」条項が盛り込まれていた。現行の88年協定では「旧協定の免責規定は継続されていない」ことを外務省に認めさせる。
  • 東京電力3月期「決算書」で事故処理費ビジネスへの支払い費を4262億円計上する一方、賠償費用はゼロ。

Ⅴ.被災中小企業の再建へ

店舗も家も機械も商品も帳簿も流され、残ったのは借金だけ。営業再開、雇用維持のためには「せめてゼロからのスタートを」この声に応える施策が必要。既存の制度を超えた支援策、とりわけ既往債務の債務免除は不可欠だ。

  • 保証協会の保証付き融資が代位弁済になると、求償権が残り新たな保証が受けられなくなる。債権放棄する金融機関や保証協会に十分な財政措置を講じることで、債務免除や長期間にわたる返済猶予等を講じるべき。
  • “腕はあるが道具がない”被災地域の中小業者に機材や道具の支援を。復旧復興のための官公需を地元中小企業に発注し、地域に仕事と雇用を生むことで、一刻も早い立ち直りの機会を。

4/13経済産業

Ⅵ.東電に全面賠償の責任を果たさせる

福島原発事故は人災であり、東電に被害者への全面賠償を果たさせなければならない。ところが、新たに作られた「原子力損害賠償支援機構」は、東電を決して破たんさせず、国が際限なくお金を出して支えるというもの。“東電救済スキーム”にほかならない。

  • 東電清水正孝社長は「公正で迅速に補償するには国のご支援が必要」と答弁。「加害者であることを忘れ、税金で面倒みてほしいとはとんでもない」との追及に対し、菅総理も「一義的な補償責任は東電にある」「政府としても適切に対応する」と言わざるを得なくなる。
  • 被害者への全面賠償を行うとなると、東電は債務超過(=実質破たん企業)となる。法的整理により賠償の責任を果たすべき。株主や金融機関など利害関係者が責任を取ることで解決できる。
  • 原発事故の損害賠償基準の指針を作成する「紛争審査会」委員は、9人中3人が電力会社のつくった「日本エネルギー法研究所」関係の法律家。被害者側の委員を入れ、被害者が納得できる基準作りができるよう見直しを。
  • 原子力損害賠償支援機構法案の参考人質疑―「補償対象を限定するのではなく、全面補償を」(除本理史大阪市立大大学院准教授)、「(東電処理の過程での債権放棄は)想定していない」(永易克典全国銀行協会会長)

4/26予算、6/1経済産業、7/8本会議、7/13震災復興、7/20震災復興

Ⅶ.“原発利益共同体”の打破を

(1)原発利益共同体と安全神話

電力会社・原子炉メーカー、ゼネコン、素材供給メーカー、メガバンクなど財界の中枢部分で作る「原発利益共同体」が原発推進のために「原発安全神話」を振りまいてきた。マスコミ・政党・政治屋・官僚を使い安全神話の流布と、原発推進に都合のよい法律や仕組みを作らせる。さらに「原発立地交付金」により原発立地自治体の財政・経済を原発依存に歪め、1号機の次は2号機、3号機…と“原発麻薬”状態に追い込む。現状を打開するためには、「地域独占」と「総括原価方式」に守られた「原発利益共同体」を突き崩すことが必要。

  • これまで政府や電力会社は膨大な広告費をかけて「安全神話」を宣伝。宣伝している自分自身が安全神話にマインドコントロールされていた→「私自身安全神話を信じ込んでいたが、全く失われた」(海江田経済産業大臣)
  • 政府に東電社員36人が在籍出向―これでは「東京電力霞が関出張所だ」。癒着構造断ち切れと追及
  • 原発立地自治体の財政状況と産業構造の歪み―原発立地自治体では原発と土木建設関係の部門の比率が高く、再生可能エネルギーに取り組む自治体では農林漁業の就労部門の比率が高い
  • 原発公聴・広報費が06〜11年の5年で約400億円。スリーマイル島やチェルノブイリ等原発事故が起こるたびに急増

(2)“やらせメール”問題の本質

  • 玄海原発(九州電力)で問題になった「やらせメール」問題の本質を追及―玄海原発の説明番組(経産省主催)は日本生産性本部が受託し、「再稼働」目的に変更。再稼働押し付けの舞台作りに経産省が関与していたことを示すもの。
  • これまでも、プルサーマル計画等の説明会・シンポジウムに際して、資源エネルギー庁や原子力安全・保安院の働きかけを受け、各電力会社が参加動員、賛成意見投稿を組織してきたことが明らかになった。
    →過去、1999年に北海道電力のやらせ公聴会問題、2006年「福井県原発タウンミーティング」におけるやらせ問題を追及。

(3)独立した原子力安全規制機関を

  • 原子力安全・保安院は、原発を推進する経産省のもとに置かれており、本来の「規制機関」と言えるものではない。推進行政から完全に独立し、業務を行うために十分な体制をもつ規制機関を確立することが必要。
  • 2002年、03年に民主・共産・社民3党共同で「原子力安全規制委員会設置法案」提出。この中で、内閣府の外局として独立した行政機関を創設(公正取引委員会と同様の、いわゆる三条委員会)することを提起。
  • 民主党政権は原子力規制機関を環境省において、福島原発事故などにみられる原発事故時の危機対応もさせるとしているというが、環境省はこれまで「地球温暖化対策」を口実に“原発推進”を主張してきた。アメリカのNRC(原子力規制委員会)とFEMA(緊急事態管理庁)のように規制機関と事故対応の部署を別につくっていること等、海外の事例もみながら考えることが必要。
  • 規制業務の信頼性や実効性を保障するためにも、人材が大事な要素。原発推進官庁や原発企業からの独立、公正性、客観性を保障できて、廃炉や消滅技術などの研究部門を持つことが必要。

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Ⅷ.原発依存から再生可能エネルギーへ転換を

(1)原発は安価・クリーン・安定した優れた電源か?

  • 政府試算では、原発コストは5.3円/kwhと最も安い→国費からの資金投入分、原発事故に伴う被害と補償費用は含まれていない。“隠されたコスト”を明らかに!
  • 原発建設費14.5兆円、原子力関係の国費投入額16兆円(いずれも現在価格換算)。再処理費用・廃炉コストなど“バックエンド費用”も総額18.8兆円にのぼる。10.68円/kwhとの試算も(大島堅一立命館大学教授)。「安い」どころか「高い」電源だ。
  • 福島第一原発事故による大規模な放射能汚染が、福島県民はもとより全国民の健康・生命・財産を侵害し、営業と雇用、地域経済や地域社会を破壊。どこが「クリーン」な電源か。
  • 電力の供給不足により電力制限令を発動。この10年間を見ても、地震・事故・トラブル隠しでたびたび停止。安定した電源とはいえない。
  • 新成長戦略に基づく“トップセールス”の原発輸出やめよ―日本でも世界でも信頼失った

(2)「地域独占」と「総括原価方式」に守られた “ブラックボックス”の電気料金

電力供給は、全国10の電力会社が発電・送電・配電を「地域独占」。その上、発電に要する費用(原発建設コスト、アメリカから買っている核燃料のコスト、運転のコスト、維持・点検のコスト、将来の廃炉コスト、再処理コスト…等々)は「総括原価方式」により全て原価として計上し、そこに3%の「適正利潤」を加えたものをすべて電気料金として徴収できる仕組みとなっている。

  • 今年4月から太陽光発電の買取費用「太陽光発電促進付加金」が電気代に転嫁されるようになった。再生可能エネルギー固定価格買い取り法案による買い取り費用“賦課金”が最大0.5円/kwhの想定。
  • 料金明細には内訳が記載されていないが、再生可能エネルギー買取コストを大幅に上回る“原発付加金”がすでに徴収されている→標準世帯(300kwh/月)で 電源開発促進税112円、バックエンド費用107円含まれている。「隠されたコスト」を明らかに―「ブラックボックスをあけて光を当てる」(海江田経済産業大臣)

(3)再生可能エネルギーの豊かな可能性、爆発的普及で原発から撤退を―地域経済の振興と結び付けた「地産地消」のエネルギー

  • 地震列島に原発立地の異常―USGS「世界の地震地図」とWANO「原発地図」を重ねると異常さが明らか。
  • アメリカ・ボデガベイ原発は建設計画後、震源域の存在が明らかになり、計画破棄。
  • 浜岡原発は東海地震震源域の真上。もんじゅ・敦賀原発・美浜原発は活断層から1km以内に立地。東海・東南海・南海地震が連動するとM9を超える想定が必要だが、政府の想定はM8.7(浜岡)。
  • 日本のエネルギー自給率はわずか4%。化石燃料・濃縮ウランを輸入に頼っている。一方、再生可能エネルギーに目を向ければ、地熱で世界3位の資源量、世界平均2 倍の降水量を小水力発電に、国土面積の7 割が森林…等。「資源のない国」ではない。
  • 再生可能エネルギー買取法案の修正案提起―再生可能エネルギーの爆発的普及と、電気料金への転嫁の抑制、負担軽減の両立は可能。
  • 電力会社の「接続義務」強化を―北海道電力や四国電力が再生可能エネルギーによる電力買取に上限を設け、法制定後も買取契約の上乗せを拒否する、との報道があるが、これは「再生可能エネルギー買取法案」第5条の『接続義務」違反だと指摘→「系統可能量を増やすことは可能」(細野エネ庁長官)

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【参考図書】

○原発抜き・地域再生の温暖化対策へ/吉井英勝著/新日本出版社/2010年10月発行

○どうする原発 どうなる放射線/吉井英勝ほか著/日本機関誌出版センター/2011年5月発行

○震災復興の論点/吉井英勝ほか著/新日本出版社/2011年6月発行

○こうして原発被害は広がった―先行のチェルノブイリ/吉井英勝解説/文藝春秋社/2011年6月発行

○「女性のひろば」2011年5月号、「議会と自治体」2011年5月号、「経済」2011年6月号、

「前衛」2011年8月号にインタビュー記事掲載。


「原発利益共同体」とは何か/政官財癒着の構造

 海外メディアから“なぜ東京電力や日本政府は秘密主義がひどいのか”とよく聞かれます。そのとき答えるのは「原発利益共同体」の仕組みです。


 「原発利益共同体」のトップに立つのが電力会社です。東電の会長が経団連など財界団体のトップや役員に就任するなど、電力会社の財界支配には“歴史的伝統”があります。

 電力会社に巨額の利益をもたらす要因の1つが地域独占です。東電は関東向けの発電と送配電を独占し、基本的に他社との競争はありません。

2つ目は、電気料金のもとになる「総括原価方式」です。全コストに「適正利潤」を加えた「総括原価」を、企業や家庭ごとの電気使用量に応じて電気料金として割り振っているので、必ずもうかる仕組みです。


銀行も建設も

 原発建設でもうかるのが、原子炉など原発システムのメーカーやゼネコン(総合建設会社)の業界です。

 原発メーカーは、沸騰水型原子炉なら東芝や日立、加圧水型なら三菱重工と特定メーカーが決まっており、事実上の「1社指定」です。付帯工事はゼネコン各社が「共同企業体」を組んで受注します。

 原発の計画から運転開始までの約10年間に必要な資金はメガバンク(大手銀行)から調達します。不良債権にならず、確実に利益が入ってきます。

 財界の中枢が「原発利益共同体」を構成しているのです。

 電力業界や建設業界、原発メーカーなどが、原発建設を推進する政党や政治家に政治献金を配り、献金をもらった政党、政治家は官僚に原発推進のため“法律をつくれ”“予算を出せ”と圧力をかける。官僚は、退職してから電力会社などに天下りします。天下りが“汚職の先物取引”といわれるゆえんです。

 大手マスメディアには電気事業連合会(電力会社の集まり)から多額の広告費が流れています。これにのみ込まれたマスメディアは「安全神話」に立った原発推進の論調を掲げてきました。


補助金と差別

 原子力に関係ある大学や研究機関には電力会社からの研究費や政府の補助金が流れます。学者が原発推進に取り込まれるだけでなく、“あなたの学生は来年3人うちで引き受けましょう”“うちは2人受けましょう”という関係が昔からできています。

 科学的立場で原発の安全性に疑問を投げかけたり、安全管理の不備を告発する日本共産党員などの良心的な社員は、原発の現場や電力会社の中枢からは徹底して排除されます。

 私も大学は原子核工学専攻ですから、電力会社への就職を考えていましたが、できませんでした。就職しても、昇格を差別されたり、他の労働者から隔離されるような人権抑圧は枚挙にいとまがありません。東電や関西電力などで労働者の権利をめぐる多くの人権訴訟があったのはそのためです。

 原発からの撤退、自然エネルギーヘの転換を目指す運動のなかで、「原発利益共同体」の癒着構造の打破は「ルールある経済社会」をつくるたたかいの重要な一部です。

(聞き手 林信誠)
(2011.7.18、赤旗)


再生可能エネルギー普及へ 電力「全量買い取り制度」

再生可能エネルギー普及へ 電力「全量買い取り制度」/共産党、2年前から提起


 菅直人首相が、太陽光や風力などの再生可能エネルギー普及促進の「再生可能エネルギー電気調達特別措置法案」の成立に意欲を示しています。同法による電力の「全量買い取り制度」について、日本共産党の吉井英勝衆院議員に聞きました。


ドイツで導入

 ――電力の全量買い取り制度とはどんなものですか。

 吉井 家庭などが太陽光や風力などで発電した電気について、電力会社に、固定価格での全量買い取りを義務付けるものです。再生可能エネルギーの爆発的普及にとって大きな力となるものです。

 ドイツなど諸外国ではすでに導入されており、日本でも2年前に太陽光発電の余剰分に限って導入されました。

 しかし、このときの法案(非化石エネルギー関連法案)は、石油や石炭など化石エネルギー以外のエネルギー源の利用促進をはかると称して、原発推進を含めていることや、買い取り費用は電気料金に上乗せして利用者から徴収することを認めるなど大きな問題点を抱えたものでした。

 そのため日本共産党は2009年6月、修正案を発表しました。

 (1)原発抜きで、すべての再生可能エネルギーの固定価格での買い取りを義務付ける。原発推進に使われている電源開発促進税(年間約3500億円)などを利用して、電気料金に転嫁させない。

 (2)政府・経産省まかせになっているエネルギー基本計画で決められる太陽光など再生可能エネルギー源ごとの供給目標について、国会承認事項とする―というものです。

 残念ながらこのときは、政権党の自民、公明はもとより、民主党も原発推進の立場から日本共産党の修正案に反対したため否決されてしまいました。


 ――今回の政府案にも全量買い取りが盛り込まれています。

 吉井 政府が法案を出してきたのは、再生可能エネルギーの導入を求める国民世論や日本共産党のたたかいに押されたものです。

 日本共産党は、原発撤退を決断し、原発ゼロへ5年から10年の期限を決めたプログラムを策定するよう政府に迫るとともに、再生可能エネルギーの爆発的普及をすすめることで原発に依存しないエネルギーの実現を主張しています。そのために、固定価格で全量を買い取る制度の実現めざし全力をあげます。

 太陽光の買い取りコストは現在、「太陽光促進付加金」として電気料金に上乗せして徴収されています。

 2年前にも提起しましたが、電源開発促進税などを利用して電気料金に転嫁させないこと、太陽光など再生可能エネルギー源ごとの供給目標について国会承認事項とするように求めていきます。


新たな仕事も

 再生可能エネルギーの本格的導入は、地域の商工業者や農林水産業者らにとって新たな仕事と雇用が生まれ、地域経済の振興と内需主導の日本経済への大きな力にもなります。

 エネルギーの「地産地消」によって地域分散型エネルギーを確立し、その地域で発電したものはその地域で消費する仕組みをつくるために取り組みます。


 ――再生可能エネルギー普及のためには多くの人々が力を合わせることが大切ですね。

 吉井 私も、超党派の国会議員や専門家、市民らが参加する「エネシフ(エネルギーシフト)」と呼ばれる勉強会の呼びかけ人の一人になるなど立場の違いを超えて取り組みをすすめてきました。

 先日、そうした市民集会に菅首相が参加し、「この法案を早く通せば、私の顔をみなくてもいいことになる」と発言をしたことが話題になっています。

 原発をやめて再生可能エネルギーを爆発的に普及させることは、文字通り国民的課題です。特定の政略的立場からこの問題を利用するなどということはあってはなりません。私は国会議員ですから、政府が出している法案を早く通してくださいと政府にお願いするのではなく、徹底審議などを通じて、よりよい制度が実現するよう全力をあげる決意です。

(2011.6.25、赤旗)


「エネシフ」の発展を願って

 超党派の国会議員が環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんやソフトバンクの孫正義さんらと共に呼びかけ人となって、「エネシフ=エネルギーシフト」と呼ばれる会を作っています。私も呼びかけ人の一人です。

 再生可能エネルギーを爆発的に普及させ、原発依存のエネルギー政策を変える――そのための法案を、私はすでに2年前(2009年6月)、経済産業委員会で提起しています。

 当時は、自民党・公明党による連立政権の時代でした。「原発=非化石エネルギー」だとして、原発推進を図ろうとする「非化石エネルギー法案」(内閣提出)の審議が行われました。その際に私は、この法案を根本的に修正して、非化石エネルギーの定義から原発を削除したうえで、すべての再生可能エネルギーの固定価格買い取りを義務付けるとともに、原発促進に使われている電源開発促進税等を活用して再生可能エネルギー導入コストを電気料金に転嫁させないこと。また、同時改正が提起されていた「代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律の改正案」についても、太陽光など再生可能エネルギー源ごとの供給目標について国会承認事項とし、政府への白紙委任ではなく、立法府としてもおおいに議論をつくすべき中身にする、との修正案を出しました。

 残念ながらこの修正案は、政権党の自民党・公明党はもとより、当時は野党であった民主党も原発推進の立場から反対し、実現しませんでしたが、私はいまもこの立場で、今開会中の国会でも、原発依存をやめて、再生可能エネルギーの全量・固定価格他買い取りを行うことで、再生可能エネルギーを爆発的に普及させる、その法案の実現のためにがんばります。また、再生可能エネルギーの開発や普及の仕事が、地域の農林漁業や中小商工業のみなさんに回るようにすることで、仕事と雇用、所得と消費がその地域の経済をも活発にするための努力を尽くします。地域で生み出した電力を地域で使う、エネルギーの『地産地消』が進めば、地域で余った電力を送電線に乗せる仕組みも重要です。そうなれば、電力供給を電力会社に地域独占させている、いまの仕組みそのものの検討も必要となるでしょう。いまだ収束しない福島第1原発事故が広範囲にわたり深刻な被害を与えている状況を見ても、原発依存から再生可能エネルギーへの切り替えは急務の課題だと言えます。

 しかし、国会状況は会期末を目前にいっそう複雑さを増しています。何しろ、一部に「政局」に利用することだけを熱心に考える人がいるからです。その一方、立法府である国会に身を置きながら、法案提出者である内閣に『早く法案を通して下さい』と陳情にいく動きまであります。これに悪乗りして、菅首相は「私の顔を見るのも嫌という人がいるが、それならこの法案を早く通せば、私の顔をみなくてもいいことになる。」などと下品な挑発的発言まで行っています。これらは、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を求める運動を、菅直人応援集会に変えようという「政略的発想」です。

 私は、法案を直接担当する経済産業委員として、政府提出法案の不十分な点をおぎない、より実効性ある再生可能エネルギー全量買い取り制度を実現するために、引き続き全力で取り組む決意です。

(2011.6.15)


福島原発事故 いま何が必要か/国・東電はデータ公表を

早期収束 専門家総結集で


日本共産党の吉井英勝衆院議員に、福島の原発事故の現状をめぐる問題点について聞きました。


 福島の原発事故の現状をどう見るかというときに、東京電力も政府も正確なデータをまったく公表していないので、実は原子炉を止める制御棒のすべてがしっかり炉心に入っているかどうかさえわからない状態です。

 原子炉が止まったことを前提にしてのことになりますが、核分裂は止まっても、核燃料棒は崩壊熱によってどんどん温度が上がってきます。その結果、蒸気圧が高くなり、原子炉内の水の液面がどんどん下がる方向にも働くし、蒸気圧に包まれた燃料棒はますます冷やせないので、燃料が溶ける方向に行くのです。

 だから緊急炉心冷却系が働くことになっていたのですが、今回は外部からの送電が地震の影響でダメになりました。その場合は本来、内部電源が働く仕組みになっていて、ディーゼルとバッテリーを組み合わせたものを2系列ないし、3系列持って、外部電源がダメでも内部電源でポンプが働く、それが本来の姿でした。


 矛盾の答弁

 しかし、今回は地震と津波で両方をやられました。その危険があることは、私自身が国会質問で追及してきました。政府は、炉心溶融になる危険の「論理的可能性」は否定せず、しかし「多重防護がある」「実際はありえない」、と矛盾した答弁を繰り返してきたのです。それは民主党政権になってからも変わりませんでした。そして、その「多重防護」がすべて破たんした。この意味で今回の事故は、はっきり人災と言い切っていい。

 しかも、地震と津波で機器冷却系が動かないという中で、海水注入の判断が遅れた。

 その結果、炉心溶融から水素爆発という深刻な事態を招いてしまいました。強い放射線がまき散らされ、機器類の修復作業自体が極めて困難となっています。


 熱の除去を

 現時点では、崩壊熱の除去、つまり冷やすことが一番大事です。そうしないと早期に収束できないところにきています。また、放射線による汚染の被害を小さくする。冷却水の外部への流出を防ぐ対策をとることです。そのために、学者、専門家の総力を結集して取り組むことが大事です。

 そのためにも、いま最も重要なことは、事故に関する基本的データを、東電と政府に公開させることです。

 たとえば、そもそも今回の福島原発はもとより、地震にあったすべての原発、核燃料施設の地震動に関するデータ、施設の配置図と施設・機器類の破損状況など、外見からわかるものも含めて基本的なデータを公開するべきです。

 仮設電源が設置できても、機器類が正確に作動するのか、配管関係がどうなっているのか、そもそも電源を接続できる状態なのか、それがわからなければ対策を判断できません。もし配管が壊れていれば、外部から海水をどんどん入れるしかありませんが、海水の場合、熱で水分が蒸発すると塩分が析出します。その影響をどう評価するかも重要です。


 画像も拒否

 政府は大規模災害への対応を目的として打ち上げた情報収集衛星による画像公開を、「安全保障」を理由に拒否し続けています。国民の安全がこれだけ脅かされているときに、何を言っているのかと厳しく抗議しています。私たちがテレビなどで見ている画像の多くはアメリカから買ったものです。私は、民間の農業用無人ヘリコプターにカメラを載せて、近くまで行って詳しく画像を撮ることや、放射線の測定と空気の採取なども提案しています。

 また、炉心溶融が起こっていることは間違いないのですが、はっきりした公式データがない。環境に放出されている放射性物質の核種ごとにデータをみないと、炉心がどこまで溶けているのかわからない。部分的に溶けているのか、もっと深刻な段階なのか、さらに、どのぐらい放射性物質を閉じ込められているのかはわからない。それらのデータがなければ、どう対策するべきかの専門的議論もできないのです。この点に多くの専門家の疑問、怒りも集中しているのです。

(2011.4.3、赤旗〔一部改〕)


【緊急メッセージ】地震・大津波と炉心溶融にいたる原発事故は何度も警告してきた

  私の国会質問に非科学的答弁で答えてきた規制官庁と大臣
  何も知らずに「原発安全神話」を信じて突き進んだ政党と政治家

2011年3月20日

3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖大震災)によって、命を奪われた方々に哀悼の意を表します。家族を失い、自らも被災者となって厳しい生活を送られているすべての皆さんに、心からお見舞い申し上げます。

 今回の災害は、地震・大津波・原発事故の三重災害ですが、その中の原発事故は人災です。この事態は早くから私が国会で繰り返し追及してきたことです。しかし、自民・公明政権も、民主・国民新党・社民連立政権も、具体的に、科学的に質問しても「日本の原発は大丈夫」だと繰り返すばかりで、全くまともに対策を取ろうとしてきませんでした。その結果、今回の福島第一原発の炉心溶融事故、水素爆発、水蒸気爆発、そして旧ソ連のチェルノブイリ原発事故のようになる前に、原発を冷却することができるかどうかという事態になりました。

 最近のものに絞って、特徴的な問題を整理して紹介します。国会で追及した際の会議録も、クリックすれば見られるようにしていますので、お読みになってください。


≪津波被害と原発≫

 津波には、押し波(高波)と引き波があります。押し波の時には、原発の機器冷却系のポンプとそれを動かすディーゼル発電機や蓄電池の配線などが海水に浸かって破損します。引き波の時は、この冷却水を取る取水口の位置は海水面の4〜6メートル低い所ですが、それよりも低くなって沖合まで陸地に変わることがあります。そうなると、もはやポンプを回しても冷却水が入ってこないということになります。今回、押し波の海水中に沈んでディーゼル発電機が破損しました。

≪老朽化原発の安全性実証試験機破棄≫

 全くひどい話ですが、原発を造る際の地震を起こす試験台(起振台)を使った試験はあるものの、何十年も運転してきた原発について、損傷の進んだ各部について起振台を使った実証データは全くありません。それどころか、一度運転した原発の機器については放射能を帯びていますから、それを起振台に乗せて実証データを採ると、その後は起振台をもつ施設全体を放射線管理区域にしなければなりません。

そこで、兵庫県にE−ディフェンス(実大三次元震動破壊実験施設)と呼ばれる新しい起振台を新設しました。ここでは放射化した原発機器の実験はできません。ところがE−ディフェンスを造った機会に、国は「行政改革だ」と称して香川県の多度津にあったこれまでの起振台を、造船会社が跡地を倉庫にするため廉価で売却(もともと300億円で造った施設を約3億円で売却)してしまったのです。このようなことをせず、多度津の起振台を老朽化原発のデータをとる装置として残しておけば、これから福島第一原発をはじめ全国の古くなった装置を交換するたびに、どれくらい傷んでいるかを調べる放射線管理区域にした装置として使うことができたのです。

≪電源喪失で炉心溶融≫

 地震・大津波で原発が停止しても、それだけでは安全ではありません。核燃料棒は自然崩壊熱(核燃料は放射線を出しながら別の元素に変わっていく核分裂物質を含んでいるから、その時に熱を大量に出す)によって冷却し続けなかったら、どんどん温度が上がって水蒸気を発生し、原子炉圧力容器の中の圧力が異常に高くなります。蒸気を抜くと放射能が漏れますし、そのままではどんどん蒸発が進み圧力が高くなって液面が下がり、燃料棒が上に出るとますます温度が上がって溶け出すことになります。

 この問題は、私が取り上げた時、寺坂信昭・原子力安全・保安院長が「(ディーゼル発電機も含めて内部電源が喪失されて)外部電源が全部喪失されて冷却機能が失われる」となると「炉心溶融につながるというのは論理的には考え得る」と認めていたことです。しかし、それに対応する対策を政府と東京電力は打ってこなかったのです。その結果、地震・大津波で今回、福島第一原発で想定どおりの事故が発生しました。事故後、菅総理が「想定外のことだった」というのは、まったくの素人の考えです。

≪電源喪失でも大丈夫とした原子力安全委員長≫

 この問題は、すでに2006年にも国会質問で取り上げていたことです。この時、原発の安全に一番責任を持たなければならない専門の鈴木篤之・原子力安全委員長(元・東大工学部原子力工学科教授)は、「さらに耐震設計を基本的に厳しくしていきたい」「そういう基準をさらに超えるような大変大きな地震が来たときには、事業者(東京電力)に、まずそういうことが起こらないことを数字で確認するか何らかの方法で確認してください、そういう方針で考えている」と答弁しました。

 原発の安全を東京電力が設置申請してくる「数字」に期待するという姿勢でした。いま福島原発の現実を前にして、この国会答弁について、鈴木元原子力安全委員長はどのように自らの責任を考えているのでしょうか。

≪メルトダウンを起こさせない≫

 自民党政権、自・公政権だけでなく、民主党政権(民主・国民新党・当初は社民も参加)になってからも、「多重防護でしっかり事故を防いでいく、メルトダウンというようなことを起こさせない、このための様々な仕組みをつくっている」と、直嶋正行・経済産業大臣は胸を張って答えました。

 いま、TMI(スリーマイル島原発事故)のように炉心溶融が起こり、圧力容器が溶け出すかどうかという事態を前にして、下請会社の社員や、消防・警察・自衛隊のみなさんが、東京電力の会長や社長に代わって、放射能汚染の危険にさらされながら命がけの放水で、チェルノブイリのような事態は起こさせないと頑張っています。

≪原発推進・トップセールスで原発輸出≫

 民主党政権になってから、原発推進政策は自公政権に劣らずすさまじい事態になっています。

そこで私は、このことに関わって、原発を輸出した先で福島原発事故のような事故が起こった時に、偏西風などに乗って放射性物質が日本へ飛んでくる影響はどうなるか、アセスメントをやっているのかと質問しました。これに対し直嶋正行・経済産業大臣は、「輸出する相手国で事故が起こった際の影響については、経済産業省では行っていません。(輸出相手になる)それぞれの国がみずから安全の確保に万全を期することは大前提だ」と答えました。

原発トップセールスに走り、原発メーカーの営業マンになったような仕事は熱心にやっても、国民の安全への思いはほとんど感じられないものでした。

≪炉心内の放射性物質の量と影響≫

 炉心溶融が起き最悪の事態にまで発展した時、いくらの放射性物質が炉内にあるかを質問すると、寺坂原子力安全・保安院長は「審査中の例でいえば、・・・・」と答えました。かつて政府が原子力産業会議に委託して原発災害の試算したものによると、現在の原発の約10分の1の電気出力のもので、東海原発を想定して、7シーベルトの放出で、死者720人、放射線障害を受ける人が数1000人、要観察者は百数十万人、年間国家予算の2倍の財政措置が必要になると「報告書」に記載していました。この報告書の試算手法は、有馬朗人・元科学技術庁長官(元東大理学部教授)が「きちっとした科学的な技法でやられており、かなり正確に検討している」と答弁したことと、試算に参画した原子力産業会議の故・森一久氏も「今でも方法論は役に立つ」と答弁したことを示して、私は全国の原発ごとに被害予測をせよと迫りました。しかし、直嶋経済産業大臣も寺坂保安院長も「多重防護の考えでやっている」「設計、運転管理、点検等充実を図って安全確保に努めている」とか先のように「メルトダウンは起こさない仕組み」などと言うだけで、真剣な取り組みをしようとしませんでした。

≪原発から撤退してどのようなエネルギーを考えるか≫

 電力の3分の1が原発依存となっている現実を見ながら、安全なエネルギーへの転換を図ることが必要です。それには、「地産地消」「地域分散」型のエネルギーシステムの構築が必要になります。そしてそれは、それぞれの実情に合わせて変わってくるものです。また、それが地域の農業、林業から中小の商工業と結びついて発展することが重要です。同時に、広く日本の経済と社会のあり方を、省資源・低エネルギー型の構造に転換していくことも大事な課題です。

 私はそのことを『原発抜き・地域再生の温暖化対策へ』(新日本出版社、2010年10月)という著書の中で明らかにしました。

これは、これまで原発に関わって行った数多い国会質問の集大成のようなものです。全体のダイジェスト版のようにお読みいただけると幸いです。


≪過去に提出した質問主意書≫

読みやすいように漢数字をアラビア数字に直し、対照表形式に整理しました。


新年を迎え

 中小企業の街・大阪は、多国籍企業化した大企業が生産拠点を海外に移したり、下請け企業にアジア並み単価を迫ってきたり、リストラして派遣労働者に置き換えた上に、簡単に派遣切りをやりましたから、府民の所得が大きく落ち込んで消費が後退し、不況の酷(むご)さは全国でも最悪です。そこへ「原油価格高騰」や「円高」をもたらした「投機マネー」による不況の被害が重なりましたから、府民生活と地域社会の危機は深刻です。

 「地域主権」という言葉で表面を飾りながら、住民自治と市町村自治を奪って、大規模開発の推進と、教育や福祉の大々的な切り捨てをしようとする企みは許せません。

 国では多国籍企業や投機マネーを操る勢力の横暴な行動に規制を加え、地方では住民生活や中小商工業と都市農業を応援して、府民所得を増やして消費購買力を伸ばし、下から景気回復を図る取り組みをしたいと思います。地方選勝利がその第一歩です。

(2011.1.2、大阪民主新報)

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