石綿対策政府が決定/全面禁止、来年度中に

 政府は12月27日、アスベスト(石綿)対策関係閣僚会議を開き、健康被害者への救済法案を次期通常国会に提出することや、石綿の代替化を進め2006年度中に全面禁止措置を講じることなどを盛り込んだ総合対策を「まとめました。
 対策は、@すき間のない被害者の救済A「今後の被害を未然に防止するための対応B国民の不安への対応――」を柱に、各省庁の施策を網羅。救済法案では、死亡した被害者の遺族に特別弔慰金など計300万円を、闘病中の患者には医療費の自己負担分と月10万円の療養手当を給付します。
 政府は救済財源の基金を創設するため、今年度補正予算案に388億円を計上。07年度から全事業者を対象に賃金総額に一定率を乗じた額を財源として集めるほか、石綿に深く関係した企業からは石綿便用量や健康被害の発生状況などを加味して上乗せ徴収します。自治体は国の費用負担の4分の1(事務費除く)を06年度以降拠出します。
 新法以外の救済策では、中皮腫の抗がん剤「ペメトレキセド」の早期承認を明記。被害防止策では、廃棄物処理法や大気汚染防止法など4法改正案を一括法案としてまとめ、救済法案と同時に提出するなどとしています。

(2005.12.28赤旗)


石綿健康被害対策室を新設/環境省

 2006年度の省庁組織・機構に関する内示で、このほど環境省がアスベスト(石綿)による健康被害者救済を進めるため要求していた「石綿健康被害対策室」(仮称)の新設が認められました。同室は十数人体制で、環境保健部内に設置。

(2005.12.26赤旗)


クボタ社長/住民患者らに補償へ/アスベスト被害で全国初

 大手機械メーカー、クボタの幡掛大輔社長は12月25日、旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民にアスベスト(石綿)の健康被害が多発している問題で、住民患者と遺族の会合に初めて出席しました。その席で幡掛社長は、道義的責任を認めて患者らに謝罪し、新たな救済策として補償制度をつくる方針を示しました。石綿関連企業が住民 患者に補償を行うのは全国で初めて。
 会合後の記者会見で幡掛社長は、住民の疾患について「工場の石綿が原因と特定できる根拠を見いだせていないが、可能性は否定できない」と説明。その上で、既に実施している見舞金・弔慰金制度に代え、補償の観点からさらに踏み込んだ対策を検討すると述べました。今後患者や支援団体と意見交換し、来年4月の制度実施を目指します。
 患者側は、石綿関連病で労災認定を受けたクボタの従業員に対し支払われている労災保険に同社の上乗せ分(1500万円前後)を加えた計3000万円程度の補償を求めています。幡掛社長は「従業員か住民かで差別しない」と明言しましたが、同席した福田俊弘専務は「労災は国の制度であり、(労災が適用されない住民に)労災の分も含めてクボタが対応するのは難しい」と語りました。

(2005.12.26赤旗)


公共施設/石綿除去も起債対象/政府が自治体財政の支援方針

 政府は12月24日、都道府県や市町村のアスベスト(石綿)対策を財政支援するため、自治体が所有する公共施設の石綿の除去費用を地方債の起債対象とすることを決めました。地方財政法など関係4法の改正案を「石綿による健康、生活環境被害防止整備法案」(仮称)としてまとめ、来年1月召集の通常国会に被害者救済法案とセットで提出します。
 総務省が11月にまとめた調査結果によると、自治体が所有する学校や公民館、庁舎などのうち石綿が除去されていない施設は6617箇所。地方財政法では、石綿の撤去や飛散防止といった応急事業の経費は、起債対象となっている「建設事業費」には当たらないとされていることから、自治体が石綿対策の財源を確保できない恐れがあります。
 このため緊急措置として、公共施設の石綿が原因の健康被害を防ぐため、同法に特例規定を設け、地方債による財源措置の対象とすることを決めました。所要財源に対する起債充当率は今後詰めます。

(2005.12.25赤旗)


アスベスト被害・泉州で調査/軍需産業の生産の歴史/吉井議員が聞き取り
 55年ごろから健康被害/地域指定し健診窓口を

 日本共産党の吉井英勝衆院議員は12月23日、大阪府泉南市、阪南市を訪れ、アスベスト(石綿)被害について関係者から話を聞くとともに、かつて多くの石綿工場があった地域の状況を視察しました。
 ほとんどの石綿工場は転廃業しており、住宅地などは変わった地域が多いものの、昔の建物がそのままになっているところもあります。「泉南地域の石綿被害と市民の会」の柚岡一禎世話人代表、林治世話人、山下甲太郎世話人が応対しました。
 泉南地域の石綿産業の歴史や工場の作業実態、健康被害の広がりなどについて話を聞いた吉井氏は「泉南の石綿産業は戦時中、軍需産業として国策で発展してきた歴史がある。石綿による健康被害が1955年ごろから報告されていたのに、何も手を打たなかった不作為も明らかだ」と国の責任を強調。また、泉南地域の中小零細企業を下請けとしてきた大企業には、石綿の危険性や被害防止対策などを伝えてこなかった責任があると指摘しました。
 柚岡氏は「いろいろな石綿会社の社史を調べると、国策でやってきたことがよくわかる」とのべました。
 石綿会社で30年以上働いてきた山下さんは「国が早くから対策をとっていれば、被害はこれほど広がらなかったのではないか。ぜひ地域指定をして、公費で地元の病院などに健康診断の窓口をつくってほしい」と要望しました。
 被害の発生源であると道義的責任を感じている零細事業者が多いことについて、吉井氏は「下請けと大企業の責任は全然ちがう。零細業者は被害者の面が大きい」と指摘。「来年1月に出てくる国の救済法では責任問題があいまいにされている。零細業者と労働者、周辺住民の連携をつくっていくことが大切だ」とのべました。

(2005.12.24赤旗)


新たに20人に見舞・弔慰金/石綿被害でクボタ

 機械メーカー「クボタ」の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)周辺のアスベスト(石綿)による健康被害問題で、同社は12月23日までに、新たに患者1人に見舞金、死亡した19人の遺族に弔慰金を支払いました。
 尼崎市内で記者会見した患者と遺族の団体によると、弔慰金が支払われたうちの1人は、昨年に63歳で死亡した男性。旧神崎工場そばの会社に勤めていましたが、住所は奈良県で家の周りに工場などはなかったといいます。
 同社が弔慰・見舞金を支払ったのは12月22日現在で累計46人(見舞金7人、弔慰金39人)となりました。

(2005.12.24赤旗)


石綿原因肺がん判定議論/専門家会議「小体」リスクを検討

 アスベスト(石綿)健康被害の救済基準を、医学的に検討する環境省の専門家会議が12月21日、東京・港区で開かれ、アスベストが原因の肺がんの判定について、肺がんのリスクを2倍にする肺内のアスベスト小体やアスベスト繊維で判断する方法を論議しました。
 アスベスト小体は、アスベストが肺内沈着したもので、アスベスト小体が多いほど、肺がんリスクが高くなるため、ベルギーやフィンランドなど各国でもアスベスト健康被害の職業病判定基準として用いられています。
 この日の会議では、アスベスト小体が肺1グラムあたり5千本以上あるアスベスト職業病の肺がん患者が3.5%を占めていたことなどが報告されました。日本で年間6〜7万人発生する肺がん患者のうち、3.5%がアスベスト被害とすると年間約2千人に相当することが明らかにされました。
 議論では、肺胞洗浄などでアスベスト小体あるいはアスベスト繊維を検出する方法や基準を検討。ベルギーなどでは肺中に年間25本などの基準があります。
 肺がんのリスクが2倍となる基準をめぐって、海外の研究論文などをもとに検討しました。
 中皮腫については、大多数はアスベストが原因で、アスベストによらないことを医学的に明らかにすることは困難だとして、中皮腫と確定診断されればすべてが救済対象となる見通しです。

(2005.12.22赤旗)


アスベスト対策どうする/解体の飛散防止議論/東京弁護士会

 アスベストの被害拡大防止策のあり方や、被害救済策を考えよう−と東京弁護士会は12月17日、東京・世田谷区内でシンポジウム「建て替えラッシュに向けてアスベスト対策は大丈夫か!?」を開きました。
 アスベストは1970年代に輸入がピークに達しました。そのアスベストが使用された建物の解体時期を今後、迎えることになります。
 「アスベスト被害の拡大防止策」のテーマでは、現在建物に使用されているアスベストを安全に除去していくためにはどのようにすべきかを議論しました。
 国土交通省の担当者は、増改築時の除去、封じ込めまたは囲い込みを義務付けするなどの対策を説明。解体時等の飛散防止について「解体業者などに関係法令遵守を徹底していく」と話しました。
 パネリストとして出席した千葉大学の鎌野邦樹専門法務研究科教授は「フロンも行っているように、製造者などが環境に最後は返すというような制度が必要」と指摘しました。

(2005.12.18赤旗)


アスベスト廃棄物溶融/環境省法改正へ

 環境省は12月17日までに、アスベスト(石綿)廃棄物を安全に処理するため、高温で溶かして無害化する手法を普及させる方針を決めました。年明けの通常国会に廃棄物処理法改正案を提出し、2006年中に溶融炉の認定制度を創設します。
 認定制度は、産廃処理や金属関係などの民間業者が所有する溶融炉について、国が個別に安全性を判断します。通常は産廃の業者・施設として都道府県の許可が必要ですが、それを不要にして手続きを簡略化します。同省は1300度以上の高温で石綿廃棄物を溶融処理できる大規模施設は、国内に10数カ所あるとみています。
 石綿は現存する建築物の建材などに約4000万トン含まれているとされ、解体による廃棄量は年100万トン以上と推計。現在は埋め立てがほとんどですが、無害化でき、量も3分の1に減らせる溶融を新たな処理方法として確立させます。

(2005.12.18赤旗)


アスベストから命守る/兵庫・尼崎「会」結成の集い

 「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」の結成の集いが12月13日夜、兵庫県尼崎市内で開かれました。被害者はじめ、広範な市民、弁護士、労組や市民団体、医療関係者ら100人が参加し、会の正式結成を確認。船越正信・尼崎医療生協理事長を会長に選出しました。日本共産党市議団や地元党組織からも多数参加し、宮田静則党兵庫県議が司会を務めました。
 同市内で石綿製品を製造していた「クボタ」旧神崎工場の元労働者79人が中皮腫や肺がんなどアスベスト(石綿)関連の疾患で亡くなっていたことが6月末に判明。以来、同工場(現クボタ阪神事務所)の周辺住民にも石綿関連の疾患が広範に及んでいることが次々に明らかになり、市民の中に不安が広がりました。
 同会は、これを受けて9月16日に準備会として発足。10月24日から事務所を構えて活動を始めています。
 集いでは▽加害企業と対策を遅らせて被害を拡大した国の責任を追及する▽被害者を救済する▽国・加害企業の責任による有効な健診制度の確立を求めるなど会の5つの目的を紹介。被害者の掘り起こしや、すべての被害者の補償を求める請願署名に取り組むことなどが報告されました。
 参加者からは「父母から『尼崎で子育てしたことで、もし子どもに被害があったら無念でたまらない』など切実な声が出ている」(保育関係者)、「地域医療を支える開業医の立場からがんばっていきたい」(兵庫県保険医協会)などの発言がありました。結成に先立つ学習会では、アスベスト新法について八木和也弁護士と船越医師がそれぞれの立場から問題点を指摘しました。

 (2005.12.15赤旗)


石綿産業で健康診断/従事者55%に石綿肺/大阪・泉南

 大阪・泉南地域の石綿産業に従事した労働者や周辺住民、約百人の健康診断で、石綿産業従事者の55%、周辺住民の33%に石綿肺の所見が認められたことが12月12日わかりました。泉南地域の石綿被害と市民の会、大阪じん肺アスベスト弁護団、大阪民主医療機関連合会の独自の調査によるもの。
 3団体が大阪市内で記者会見して明らかにしました。同日、府に石綿工場の立地状況や疫学調査を申し入れるとともに、「行政の責任で緊急に被害調査と住民の健診を」と訴えました。
 3団体は先月27日の医療・法律相談会で、99人の健康診断や聞き取りを実施。レントゲン撮影を受けた83人中53人中に異常がありました。
 会見では、石綿工場で約26年間働いた夫が肺がんで93年に亡くなり、自身にも肺の異常が見つかった女性や、親族の経営する石綿工場で16年間働き現在肺がんで入院中の男性などの事例が紹介されました。
 「国が使用を認めていた以上、国はきちんと補償してほしい」「大きな集じん機を5台使用しても、工場内は石綿の粉末が舞い、ほうきで床を掃くと目の前が見えなくなるほどだった」など、要望や当時の深刻な実態が報告されました。
 市民の会の柚岡一禎さんは「泉南地域では、石綿紡績・紡織が地場産業として100年以上続いてきた。ほとんどが中小零細企業とその下請けの家内工業。仕事と生活が一体で、母親が乳のみ子を背負って仕事をしていた例もある。歴史の長さと住民への広がりを考え、とても焦っている」とのべ、大阪民医連アスベスト問題対策委員の水嶋潔医師は「被害の多さに驚いた。想像していた以上だった」と語りました。

 (2005.12.13赤旗)


石綿新法案 低い支給額/“労災並み補償”に遠く

 政府が11月29日決めた石綿(アスベスト)被害者救済の新法案大綱で、患者や遺族が求めていた「労災並みの補償」には遠く及ばない支給額が明らかになり、不満と失望の声があがっています。
 石綿関連工場の周辺住民や従業員の家族など労災の対象外の人が中皮腫や肺がんで死亡した場合、遺族に「特別遺族弔慰金」260万〜280万円が支給されることになります。
 しかし、労災なら、仮に年収360万円の労働者(給付基礎日額1万円)が死亡した場合、遺族(60歳以上)には153万円の年金が補償されます。このほかに一時金として「特別支給金」300万円が出ます。
 60歳以下で受給資格のない遺族には、「遺族補償一時金」が支給され、日額が1万円なら1000日分、1000万円になります。
 新法の補償の低さについて、環境省の担当者は「労災の場合は保険料を払っている労働者を対象としたもので、新法の場合とは性格に違いがある」と説明しています。
 しかし、石綿関連の裁判についてみれば、原因企業が敗訴の場合、遺族に対し5000万円以上の支払いになります。中皮腫で死亡した関西の労働者の遺族が起こした裁判では、会社の安全配慮義務違反があるとされ、原告の妻と子どもら3人にそれぞれ1898万円の支払いが命じられています。東京地裁では5700万円の支払いを命じた判例もあります。
 石綿被害を拡大した国の責任の重さや、特定の疾病で働けなくなった労働者に最低限の生活補償を定めた労災、判例に比して、新法の遺族弔慰金や療養手当(約10万円)はあまりに低額です。
 環境省は「労災との格差に不満があれば、裁判でということもある。新法ができたからといって裁判に訴えるのを妨げることはない」とのべています。

■運動広げることが大事

 日本共産党の吉井英勝衆院議員の話

 政府・与党は、低い水準の補償額でも新法をつくればアスベストの運動も沈静化するだろうと考え、決着を図ってくると思います。しかし、被害者が安心して暮らせる補償とはかけ離れたものですので、法律ができたからといってあきらめずに運動を広げることがますます大事になります。

(2005.12.5赤旗)


石綿新法に矛盾/施行後死亡なら弔慰金なし

 「石綿被害者救済の新法案に関して患者や遺族から「不公平なケースが出る」と不安の声があがっています。新法施行前に死亡した被害者の遺族には特別弔慰金の支給が検討されているのに対し、新法施行直後に死亡した場合は弔慰金をもらえず、不公平なケースがでることがわかりました。
 「政府は、新法が成立する以前に死亡した被害者について特別弔慰金を支給することを決定し、額は260万〜280万円で調整を続けています。新法成立後に死亡した場合は、弔慰金が支給されないことになります。新法成立後は、患者の医療費と療養手当(月10万円で検討)が支給されるから、というのが政府の説明です。すると新法成立から仮に3カ月後に死亡した場合は、その間の医療費と療養手当3ヶ月分の30万円が支給されるだけとなります。成立前に死亡した場合と比べると2百数十万円の差がでることになります。
 これについて環境省は「あまりに大きな差が出るので、調整することを考えている」と説明しています。政府の調整が注目されます。

(2005.12.3赤旗)



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