健康被害が大問題/アスベストQ&A


■どんなもの

 Q アスベストってどんなもの?

 A 昔から石綿と呼ばれている、繊維状の鉱物です。蛇紋岩(じゃもんがん)系と角閃石(かくせんせき)系に大別され、角閃石系の青石綿、茶石綿はより毒性が強いことがわかっています。
 飛散すると空気中にただよい、目に見えません。発がん性があり、吸い込むと肺や胸膜、腹膜などからがんを発生させたり、肺の機能をそこなう石綿肺(じん肺)などになる恐れがあります。

■どこに使用

 Q どんなところに使われているの?

 A アスベストは熱に強く、燃えにくい、電気を通さない、薬品に強く腐食しない、曲げる力や引っ張りにも強い、安価、といった特徴があります。このため、「奇跡の鉱物」といわれ、工業用から電気製品、日用品にいたるまで、約3000種にのぼる広い範囲で使われました。とくにアスベストの九割は、天井・壁材、スレート瓦など建築材として使われています。

■政府の対応は

 Q そんな深刻な被害が出るのに、日本政府はどうしたの?

 A アスベストが「発がん物質」と米国で指摘されたのは1935年とかなり早い時期でした。64年には米国の「ニューヨーク科学アカデミー」の国際会議で、肺がん、中皮腫を発生させるとする警告が「勧告」として出されました。72年には国際機関である世界保健機関(WHО)や、国際労働機関(ILО)がそれぞれ危険性を指摘しました。
 しかし、日本では60年代の高度成長期から建物や製造現場でアスベストが大量に使われ、国際的にも危険がはっきりしてきた70年代から90年代初めにかけて、アスベスト輸入のピーク期を迎えました。30年代から総計990万トンが輸入されています。
 日本政府は、71年にアスベスト製造加工工場での吸引防止策などをもりこんだ特定化学物質等障害予防規則をつくりましたが、これは工場内だけ。72年には、旧環境庁も委託調査で工場周辺住民の健康被害を認識していましたが、89年まで排出基準をつくりませんでした。やっと75年になって、アスベスト吹きつけを禁止しました。しかし、すでに使われたアスベストの撤去はおこないませんでした。
 95年になって毒性の強い青・茶石綿を製造禁止にしましたが、これも回収はおこなわれていません。政府がアスベストを原則禁止にしたのは04年になってからです。それでも「代替品のないもの」は除かれ、完全禁止は〇八年まで先送りにされています。
 とくに建材では、ことし3月末時点でも、繊維強化セメント板7万7千枚、屋根用化粧スレート9000平方メートル相当などの在庫があります。2004年10月以前に製造したものは経過措置として販売が認められています。

■外国の場合は

 Q 外国ではどうなの?

 A 80年代にはすでにヨーロッパ諸国で相次いで全面使用禁止になりました。米国でも89年からアスベストの生産・輸入を段階的に規制しています。

■救済と予防は

 Q 被害者救済と被害予防にはどんなことが必要?

 A まずアスベストを一刻も早く全面禁止にすることです。そして今後、アスベスト建材を使った建物を解体するときには、アスベストを周辺に飛散させない、作業で吸い込まない対策も必要です。
 以前にアスベストを吸い込んでしまっている建設労働者や退職者、住民などにたいしても、肺がんや中皮腫の早期発見のための検診、労災認定、補償を迅速化し、拡充することが国に求められています。たばこによる肺がんなどとされてきた死者も患者の職歴やアスベスト特有の胸膜肥厚斑(ひこうはん)を調べることも必要です。専門医は「今後は過去にアスベストを吸い込んだことがないのかも、診断時に調べるべきだ」と指摘しています。

■どんな病気に

 Q アスベストでどんな病気に?

 A いま一番問題になっているのは、長い潜伏期後に発病する肺がんと胸膜、腹膜からのがんである悪性の中皮腫です。中皮腫はとくにアスベストとの関係が非常に深い。日本では、政府が統計を取り始めた1995年からの9年間で中皮腫で6060人もの死者が出ています。吸い込んだアスベストが肺や胸膜などの細胞に突き刺さり、がんを発生させるとされています。
 潜伏期は肺がんで10年以上、中皮腫では30〜40年以上もあります。吸い込んだ量が多いほど、発病の危険性は高くなります。しかし、少ないからといって安心はできません。旧労働省の専門家会議がまとめた報告書(1978年9月)は「中皮腫は少量でも発生する可能性がある」と指摘しています。
 ニチアス工場の労働者の発病例では、1年間のアスベスト作業で発症しています。労働者の服についたアスベストから家族や工場周辺住民にも被害が及ぶ場合があります。とくに建設関連労働者に深刻な被害が出ています。
 アスベストを吸い込んだ可能性の高い工場周辺の住民や、建設労働者やその家族などは定期的な健康診断で肺がんなどを早期につかみ、初期治療することが大事と専門医は指摘しています。

(2005.7.29赤旗)


石綿関連で健康管理手帳/交付はわずか592人/山口議員に労働基準局長

 アスベスト(石綿)が原因とみられるがんの一種、中皮腫などで、健康管理手帳の交付を受けている患者が2004年度末現在、全国で592人、東京都でわずか3人にとどまっていることが27日、分かりました。衆院厚生労働委員会で、厚労省の青木豊・労働基準局長が日本共産党の山口富男議員の質問に答えたもの。
 健康管理手帳は、がんなどの重度の健康障害にかかるおそれのある業務を行った労働者が離職の際か離職後、申請し認められた場合、交付されます。交付された人は、離職後も年に2回、無料で健康診断を受けられます。
 厚生労働省によると、特定化学物質等障害予防規則で石綿検診を義務付けられている2004年の対象者は約2万人。ところが健康管理手帳を申請し、交付されているのは全国で592人です。
 山口氏は、潜伏期間の長いアスベストにかかわる疾病は、その変化を医学的に把握することが、健康管理をすすめる上で、きわめて重要になると指摘。「アスベスト対策で非常に重要な意味をもつ手帳の交付が、あまりにも少ない。よく吟味する必要のある問題だ」と主張しました。
 青木氏は「健康管理手帳(の交付)が少ないという面もある。専門家による調査で検討してもらいたい」と認めました。
 尾辻秀久厚労相は「足らないことがいろいろあると率直に思っている。やれることは、どんどんやりたい」との認識を示しました。

(2005.7.28赤旗)


アスベスト・政府の責任は重大/市田書記局長 腰すえた取り組みを

 日本共産党の市田忠義書記局長は7月25日、国会内で記者会見し、アスベスト(石綿)による深刻な健康被害が広がっている問題で、「安全対策も不十分のままに製造、使用をつづけてきた企業の責任と、危険性を認識していながら長期にわたって容認してきた政府の責任は重大だ」とのべ、あらためて早急な対策を求めました。
 日本共産党国会議員団は、被害が報告されている企業への調査をおこない、今月11日に市田書記局長を責任者として、アスベスト対策チームをたちあげました。14日には、小泉純一郎首相あてに、政府による緊急全国実態調査の実施と調査結果の公表、石綿製品の製造・使用の全面禁止、石綿の労災認定の抜本的見直しなど7項目を申し入れていました。
 市田氏は、「腰をすえた中長期の取り組みが大事になる。当面の問題だけでなく、国会の内外でもとりあげ、現場の調査もさらに行いたい」とのべ、日本共産党としてひきつづき取り組む姿勢を示しました。

(2005.7.26赤旗)


共産党がアスベスト問題で緊急学習会/近畿圏全体取組み強化を/兵庫、奈良の地方議員も参加

 日本共産党大阪府委員会は7月23日、被害が拡大しているアスベスト問題について緊急学習・交流会を開きました。
 府内の地区委員会、支部、地方議員とともに、被害発生を公表したクボタとニチアスの工場がある兵庫、奈良両県の地方議員らも出席し、計60人が参加しました。
 冒頭、吉井英勝衆院議員がこの間の調査活動を踏まえて、危険性を知りながら安全対策なしでアスベストを使い続けてきた企業と、それを容認してきた国の責任を追及。「今後の対策のために、 被害の全体像と実相を明らかにしていく必要がある。1960年代後半、 公害闘争の先頭に立って住民の命と健康を守る取り組みをしてきた党として、また、アスベスト被害を国政の重要問題として70年代から追及してきた党として、国会議員団と地方議員団が連携し、腰を据えて取り組んでいこう」と訴えました。
 黒田まさ子府議と小南かおる大阪市議は、議会での追及や当局への申し入れについて報告。兵庫の宮田静則県議と早川進尼崎市議は、住民の不安にこたえて情報提供や相談の態勢をとり、調査活動に力を入れていることを紹介しました。奈良の幡野美智子王寺町議も発言しました。
 参加者発言で、多数の廃車解体経験をもつJR西日本の労働者は、旧型車両に多量のアスベストが使われ、はがれたアスベストが飛散しているおそれが強いとのべ、「私もせきやたんがよく出るので心配だ」と不安を語りました。マンションの生活相談にあたっている党員は、電気室にアスベストが使われている問題を報告しました。
 吉井氏は、近畿圏全体の党の取り組みを前進させていく、と決意をのべました。

(2005.7.24赤旗)


石綿危険知らず現場仕事/建設労働者・遺族ら会見/労災認定迅速に

 アスベスト(石綿)をふくむ建材を扱った建設労働者に中皮腫や肺がんの被害が多発しており、労災認定の迅速化が緊急に必要だ――。7月23日、首都圏(1都3県)の建設労働者の被害者や、遺族、専門医らが記者会見し、建設労働者に深刻な被害が広がっていることを訴えました。
 会見したのは、全建総連加盟の東京土建(組合員12万人)、埼玉土建(約8万人)、神奈川県建設労連(同約5万3千人)、千葉土建(同約2万5千人)と、アスベスト問題にとりくむ職業病疾患疫学リサーチセンターの5つの団体。
 「夫は労災申請して2日後に亡くなった」と訴えたのは、東京・目黒区に住む浅野初枝さん(67)。「労災認定を求めて、書類づくりに4カ月もかかり、大変な思いをした。夫は配管工でアスベストで覆われた耐火パイプの切断をしていた。何十年も前の仕事の記録をそろえねばならず、認定に1年1カ月かかった。認定を迅速化してほしい」と強く訴えました。
 杉並区の塗装工、根本利明さん(57)も「肺がんの疑いがあるといわれ、肺の中からアスベストが出てきた。労災認定まで7カ月もかかった。時間がかかりすぎる。30年前の職場を調べ、書類を集めるのは大変だった」と語りました。
 職業性疾患疫学リサーチセンターの海老原勇理事長は、「建設労働者のアスベスト健康被害は、中皮腫だけでなく肺がんも多い。なのに、職業性肺がんが見逃されてきている」と強調。医者の立場から早期の全面救済を求めました。5つの団体代表は「アスベストの9割が建材に使われた。被害を受けているのはわれわれの仲間だ」と強調。使用・製造の即時全面禁止、労災適用の柔軟簡素化や時効五年の見直しなど5項目を国に要求しました。

(2005.7.24、赤旗)


アスベスト被害政府怠慢/大甘規制29年放置/遅い禁止・裏に大量在庫

 吸いこんでから20〜30年以上も後に悪性腫瘍(がん)を引き起こすアスベスト(石綿)。政府の遅すぎる対応が日本での被害の深刻化と不安を広げています。WHO(世界保健機関)やILO(国際労働機関)がアスベストの危険を警告してからすでに30数年たつのに、アスベスト完全禁止は2008年という怠慢――。政府の姿勢が問われます。

 アスベストの発がん性などが国際的問題になったのは、1964年にさかのぼります。この年10月に、ニューヨーク科学アカデミーがアスベストの健康影響を検討する国際会議を開催。ドイツ、イタリア、イギリス、米国の経験から、アスベストを吸引すると肺がん、がんの一種の中皮腫を発症することを警告する「勧告」を採択しました。

 日本は輸入急増
 この会議で、製造工場だけでなく造船所や建設労働者のほか、工場周辺の住民にも中皮腫被害が出たことが報告されました。「いま日本で問題になっていることは、40年前に警告されていたことだ」と専門家も断言します。ところが、日本ではこのころから逆にアスベスト輸入が急増(図参照)。70年代初めには年問30万トン前後の輸入になりました。
 政府が、アスベストの健康被害への防止を初めて盛り込んだのは、1971年に制定した特定化学物資等障害予防規則でした。製造・加工工場で換気装置の設題や吸引防止対策、健康診断を義務づけました。しかし、対象は従事者だけで対策内容も不十分でした。
 他方、72年には、WHOやILOの専門家会議がアスベストの発がん性を指摘。この年、日本共産党の山原健二郎衆院議員は、アスベスト製造工場で従業員に肺がんが多発している実態を取り上げました。旧厚生省は、工場周辺の住民にも被害が出る可能性を認め ましたが、その具体策はとりませんでした。
 旧環境庁も、労働衛生研究所に委託した調査で、72年に工場周辺住民に健康被害がでる危険を認識していましたが、89年まで排出規制基準がつくられませんでした。国がアスベスト使用に初めて歯止めをかけたのはやっと75年。危険が高いアスベストの吹き付 けを原則禁止にしました。
 76年には、旧労働省が通達で、作業場のアスベス卜粉じん濃度の基準(空気1リットル中、2千本以下)を初めて定め、アスベストを扱う工場労働者の家族や周辺住民への健康被害の危険性も指摘しました。しかし、家族や周辺住民の健康診断などの対策は放置してきました。
 80年代になって、学校施設や旧国鉄・JRなどの車両のアスベスト使用も大きな問題になりました。

 WHO基準200倍
 他方、WHOは86年に安全の基準値を「空気1リットル中、10本以下」という日本よりはるかに厳しいものにしました。ところが、日本政府は、このWHO基準の200倍にもなる76年の通達基準をことし4月まで、なんと29年間も放置してきたのです。
 89年には、大気汚染防止法改正で、工場の敷地境界の震度をWHOの86年基準と同じレベルにしましたが、作業場の濃度はそのままにしてきました。毒性の強い青石綿(クロシドライト)と茶石綿(アモサイト)とを、日本が使用禁止にしたのも1995年のこと。ILO条約で青・茶石綿の使用禁止(88年)から7年後の ことでした。
 輸入されたアスベストの9割以上は建材として利用されています。建設関係労働者や業者の健康被害とともに建物の解体時に周辺に大量飛散した危険性があります。
 ことし7月から石綿障害予防規則が制定されアスベスト作業の規制が強化されましたが、それでも企業の責任が努力目標とされています。
 政府が、代替品のないものを除くアスベストを原則禁止したのは2004年。完全禁止は2008年までに先送りされました。代替品がありながら2008年までに完全禁止というのは、昨年10月時点で14社にアスベスト製品の大量在庫があるからだ、と指摘されています。

 各国と比べ遅れ
 厚生労働省の戸苅利和事務次官は「ヨーロッパ、アメリカの取り組みと比べると、とりわけ遅かったことはない」(7月21日の定例記者会見)と釈明します。
 しかし、事実は反対です。全面禁止は2008年までという日本とは違い、1980年代にはすでにヨーロッパ諸国で相次いで全面使用禁止になりました。
 使用禁止はアイスランドが1983年。その後、ノルウェー(84年)、スイス(85年)、デンマークとスウェーデン(86年)などと続き、98年にフランス、99年に英国も。欧州を中心に20カ国以上が使用禁止しています。
 米国では89年にアスベストの生産・輸入を段階的に規制。環境保護局は「アスベストに安全量はない」として、屋根・床などの建築材料のアスベスト全面禁止を打ち出しています。
 日本では、今まで労働者や家族、周辺住民の健康被害の実態調査もおこなわれてきませんでした。政府がアスベストの健康被害を予防する実効性ある対策をとってこなかったことが、今後も肺がんや中皮腫といった健康被害者を増やす深刻な結果を招いています。

(2005.7.23赤旗)


アスベスト被害/官房長官“補償も検討”/政府対応適切でなかった

 細田博之官房長官は7月21日午後の記者会見で、アスベスト(石綿)による健康被害で、旧労働省が1976年に危険性を指摘していながら政府として有効な対策を取っていなかった問題について、「規制の着手、規制手順、時期などについて 再検証しないといけない」と表明。政府の対応を検証、被害との因果関係を含め調査し、行政責任が明確になった場合は被害補償も検討する方針を明らかにしました。
 細田長官は「(政府の対応が)被害者が出ていることの原因であるのか含めきちんと分析したい」と強調。調査結果を公表する考えを示すとともに、行政責任が明確になった場合の被害者への補償について「そういうことも当然、検討対象に含まれる」と述べました。
 政府は同日、厚生労働、経済産業、環境各省などの局長級による関係省庁会議を開いて対応を協議。工場従業員らの被害実態や労災認定状況の把握、工場の近隣住民の健康被害調査などを急ぎ、今月中に政府としての対策を取りまとめることを確認しました。
 これに先立ち、細田長官は同日午前の記者会見で「今となってみれば、被害者がたくさん出ているわけだから、もっときちんと対応できれば良かった」と、過去の対応が適切ではなかったとの認識を表明していました。
 小泉純一郎首相も同日昼、記者団の質問にたいし、「過去の問題も踏まえて、関係省庁がしっかり連携しながら対応していかなければならない。事実を踏まえていろいろ調べることもある」と述べました。

(2005.7.22赤旗)


70年代からアスベストの危険指摘/禁止求めた共産党国会議員団

 深刻な被害が浮かび上がるアスベスト(石綿)。日本共産党国会議員団は70年代から一貫して国政の重要問題として取り上げ、労働者の健康被害や環境対策を国会で追及してきました。先駆的な問題提起は7月20日の衆院厚生労働委でも注目され、マスメディアでも「周辺住民らへの影響の可能性を国が30年以上前に認識していたことを裏付けるもの」(「朝日」7月21日付)と1面トップ記事でふれました。(小林拓也)

■72年
 「朝日」が紹介したのは1972年の山原健二郎衆院議員の質問です。アスベストの製造工場で従業員に肺がんが多発していると明らかにし、全国的な問題として「がんの定期検診とかあるいは精密検査、健康診断などがなされているんでしょうか」と当時の厚生省に質問。厚生省は「その(工場)周辺の者、住民というような問題が起こり得る可能性がある場合には、一般住民の検診についてはわれわれのほうで考慮する必要がある」(滝沢正・公衆衛生局長)と答弁しました。

■85年
 85年には、上田耕一郎参院議員が建設委員会で、建設労働者の実態を紹介。アスベストは「労働者も吸うし、通行人の付近の人も吸う。これもやはりいろんな人間の健康に対する悪影響が出ている」と、周辺住民にもかかわる問題として労働省(当時)に取り締まりの検討を求めました。

■88年
 88年には革新共同の田中美智子衆院議員が社会労働委員会で、直通寝台特急「北斗星」の食堂車にアスベストが使われている問題を指摘。そこで働く労働者の安全性を調査することを要求しました。

■89年
 政府の対応の遅れが問題となっていますが、日本共産党はアスベスト製造・使用の禁止も政府に提起してきました。89年には沓脱タケ子参院議員が環境特別委員会で、アスベストががんの一種である中皮腫の原因であると指摘。アスベスト使用規制を提起し、政府側は「規制を加えたいというぐあいに考えている」と答弁しました。

■92年
 92年には、西山とき子参院議員が厚生委員会で質問。「アスベストの使用の禁止というのは世界の趨勢(すうせい)になっている」と強調し、「製造、使用を抜本的に規制する方向を打ち出すべき」だと求めました。

■労災認定
 労災認定の視点からも取り上げ、2000年には、大森猛衆院議員が労働委員会で、中皮腫とアスベストの因果関係を指摘。中皮腫の患者の全面的な調査を行うことを要求しました。アスベストの全面禁止を求めましたが、政府は「十分な情報収集を行った上で、適切な対応をしたい」と言うにとどまりました。

■実態調査
 阪神・淡路大震災直後の95年2月10日に岩佐恵美衆院議員が環境委員会で、神戸のマンションの崩壊現場でアスベストがむき出しの状態になっていて大気中に飛散していることを紹介。実態調査を求めました。(肩書はすべて当時)

(2005.7.22赤旗)


「決定的、省庁の失敗」/厚労副大臣が失政認める

 国が早くから、アスベスト(石綿)による健康被害が工場周辺住民や労働者の家族にまで広がる危険を認識し、1976年には全国の労働基準局にあてた通達を出しながら対策をとらなかった問題で、厚生労働省の西博義副大臣は「決定的には、省庁の失敗だった」と、7月20日の衆院厚労委員会でのべました。「この事実(周辺住民被害)を分かりながら後々のフォローができていなかった。今では取り返しのつかない問題です」と、失政を認めました。
 西副大臣は、「労働災害ということをひきずってきたため、家族、近隣のみなさんの被害に気が付かなかった」と釈明。
 しかし、「労働行政の中で、環境という側面からも、厚生行政の中でも拾えなかった。いわば三者の谷間という状況にあった」とのべ、縦割り行政にも問題があったという認識を示しました。
 同通達は、海外での住民被害の「資料を参考に石綿の有害性についての周知を図り、関係事業場の石綿粉じんによる健康障害の防止措置の徹底を図られたい」としていながら、その後、周辺住民の健康被害の実態をつかむことも使用禁止もとられませんでした。 

(2005.7.22赤旗)


アスベストの被害を国は1976年に認識/旧労働省、有効策とらず

 アスベスト(石綿)による健康被害が工場周辺住民や労働者の家族にまで広がる危険を、旧労働省が1976年に認識していたことが7月20日、わかりました。同省は当時、有害性の周知などを要請する通達を出しただけで、アスベスト輸入や製造の禁止などの有効な予防対策はとりませんでした。
 この通達は、1976年5月22日付で各都道府県労働基準局長あてに出した「石綿粉じんによる健康障害予防対策の推進について」。資料として、ロンドンの病院でびまん性中皮腫と診断された患者83人(男性41人、女性42人)のうち、工場近くに居住していた人が11人、家族が9人含まれるとの調査結果などを添付していました。
 当時の通達は「資料を参考に石綿の有害性についての周知を図り、関係事業場の石綿粉じんによる健康障害の防止措置の徹底を図られたい」と要請しただけで、国は実効性ある対策をとらず、周辺の健康被害の実態調査もされずに放置してきました。その結果、工場労働者に多数の健康被害者をだした大手機械メーカー「クボタ」では最近、周辺住民31人が石綿との関連が深い中皮腫で死亡するなどの被害が判明しています。

(2005.7.21赤旗)


アスベスト労災110番/全建総連 全国で7月24日に

 アスベスト(石綿)による健康被害が大きな問題になっています。建設労働者、職人などで組織する全建総連(全国建設労働組合総連合)は7月24日、日本労働弁護団の後援をえて、全国22の県連などで電話によるアスベスト労災相談にとりくみます。
 例年実施している「建設労働110番」としてとりくむもので、賃金不払い、工事単価の一方的な切り下げ、現場で事故にあっても労災にしてもらえない(労災隠し)などの相談も受け付けます。
 相談時間は24日(日)午前10時から午後4時。各県の相談電話番号の問い合わせは、TEL03(3200)6221(全建総連)まで。

(2005.7.21赤旗)


アスベストが原因の労災認定・前年の1.5倍/04年度 中皮腫など186人に急増

 アスベストが原因で肺がんなどの健康被害の労災認定をうけた労働者は2004年度に全国で186人にのぼり、前年度の約1.5倍に急増していることが7月20日、厚生労働省のまとめでわかりました。

 同省によると、アスベストが原因のがん、中皮腫は127人、肺がんが59人。04年度までのアスベスト健康被害による労災認定者は、中皮腫が約500人、肺がんとあわせると849人に達します。

 04年度の労災認定者が2003年度の121人から急増していることについて、同省は「アスベスト輸入量は70年代から80年代にピークを迎え、30年前は作業現場でとりあつかう量が多かった。中皮腫は潜伏期間が30年から40年とされている。逆算すると、そのころ作業者が吸った影響がでてきている」とみています。

 アスベストの発がん性の危険は遅くとも70年代初めまでに国、企業が把握していました。製造・使用禁止が立ち遅れた結果、今後も健康被害者が拡大する恐れがあります。同省の人口動態調査にもとづく04年の中皮腫の死者数がわかるのは九月ごろといい、同死者数も前年の八百七十八人より激増していると予測されます。

(2005.7.21赤旗)


アスベスト被害者救済へ/全国調査の実施早く/衆院厚労委で吉井議員要求

 アスベスト(石綿)による中皮腫、肺がんなどの健康被害への不安が広がるなか、日本共産党の吉井英勝議員は7月20日、衆院厚生労働委員会で、被害者の救済のため、早急に全国調査を実施し、健康被害の実態を把握するよう要求しました。
 吉井氏は、「我が国における悪性胸膜中皮腫死亡数の将来予測」(2002年)によると、アスベストの健康被害者が2000年からの40年間で約10万人も増え、過去10年の約50倍になる可能性があるとされていることを指摘。アスベストの使用を中止してからも、30〜50年後に発症するという健康被害の実態を公表したニチアス(東京・港区)のデータは、この予測を裏付けていると強調しました。(※データをもとに作成したグラフ)
 吉井氏は、早急に全国の労働基準監督署のデータと、アスベストを扱った企業の協力を得て、被害の実態を明らかにする必要があると主張。厚生労働省の青木豊・労働基準局長は「労災認定をされた人たちを、個別に実態調査したい」と答弁しました。
 吉井氏は、1972年に当時の日本共産党の山原健二郎議員(故人)が、衆院科学技術振興対策特別委で、アスベストに関する安全対策について質問し、滝沢正・厚生省公衆衛生局長(当時)が「一般住民の検診についてはわれわれのほうで考慮する必要がある」と答弁したことを紹介。「33年前に約束したように、健康診断をする必要がある。労働者には労災補償があるが、家族や周辺住民が被害者になった場合、医療費などの補償がない」とのべ、アスベストに関するすべての健康被害者を救済するよう要求しました。
 環境省の滝澤秀次郎・環境保健部長は「情報収集をした上で、専門家に科学的な助言をしてもらい、どのようなことをすべきか、どのような調査が可能か、検討していく」と答えました。

会議録全文

(2005.7.21赤旗)


アスベスト被害/尼崎全市民の死因調査へ/過去3年間

 兵庫県尼崎市は7月15日、市内のクボタ旧神崎工場周辺の住民がアスベスト(石綿)が原因とされる中皮腫を発症していたため、過去3年間に死亡した全市民の死因を調査する方針を決めました。アスベストによる一般住民の被害の広がりを把握するのが狙いで、全国の自治体では初めてです。
 調査は死因が記載されている厚生労働省の人口動態統計死亡票を利用。中皮腫などアスベストとの因果関係が疑われる死者を確認し、遺族から聞き取ります。全国で中皮腫の死者は2003年までの9年間で6060人にも及びます。

(2005.7.16赤旗)


県に実態調査要求/神奈川/建設労連が調査結果公表

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込んだ労働者の健康被害の問題で、神奈川県建設労働組合連合会(山本敏親会長・組合員5万2000人)は7月15日、アスベストが原因とみられる中皮腫や肺がんで労災認定を受けた組合員のうち、7割以上がすでに死亡していることなど実態調査の結果を発表しました。
 同労組は、この調査結栗も示して、松沢成文県知事あてに緊急要請をして、石綿の使用届をしている事業所の実態調査と結果の公表、相談窓口の設置などを求めました。
 同労組によると、▽1987〜2005年3月までに石綿肺の労災認定を受けた患者12人のうち6人が死亡▽1994〜2005年3月までに肺がんの労災認定を受けた患者19人のうち15人が死亡▽1989〜2005年3月までに中皮腫の労災認定を受けた7人のうち全員が死亡。20年近くの間に、労災認定された38人のうち7割を超える28人が、アスベスト汚染が原因とみられる中皮腫や肺がんで死亡しています。
 また、2004年度の胸部レントゲン再読影結果からは、健康診断を受けた同組合員約2万人のうち、3.8%にあたる765人に、アスベストを吸い込んだ痕跡となる胸膜肥厚斑(きょうまくひこうはん)があることなども分かりました。
 同労組の県知事への要請には、日本共産党の、ふじたちえこ県議が同席しました。

(2005.7.16赤旗)


総合的対策を早く/「患者と家族の会」など2団体が提案

 「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」と「中皮腫・アスベスト疾患患者と家族の会」は7月15日、東京都内で共同の記者会見を開き、国や企業にアスベストによる被害の救済と総合的な対策を求める提案を発表しました。
 同センターの名取雄司代表らは、アスベストが主な原因となる中皮腫や肺がんの健康被害の実態が次々に明らかになるなか、政府や関係自治体に対して、被害の実態調査や補償、予防策を求める国民の声が日増しに高まっていると指摘。アスベストの全面禁止、関連する疾患の健康対策の充実、地震の際の対策などの必要性を紹介しました。
 また、アスベストに関し、石綿製造業者(下請会社や工場を含む)は、保有する石綿関連疾患の情報を公表すること、国は早急に、職業や環境、家族のばく露の診断に有効な中皮腫登録制度を導入すること、死亡診断書の提出されている、過去の悪性中皮腫の全数調査を行う調査研究班を設置すること−などを提案しました。
 患者や遺族ら5人は、アスベストによる被害について、切実な思いを語りました。現在、療養中の中村實寛さんは「アメリカで使われているような治療薬を日本でも使えるようにしてほしい。中皮腫の患者に明日はないのです。明日をください」と涙ながらに訴えました。

(2005.7.16赤旗)


アスベスト/27社で374人が死亡/経産省公表/家族・下請けなど含まず

 アスベスト(石綿)が原因の肺がんや中皮腫などの健康被害者は、建材メーカーなどで29社462人にのぼり、うち27社374人がすでに死亡していることが、経済産業省が7月15日に公表した調査結果でわかりました。これには、家族、下請け・孫請けなどは含まれず、被害実態のごく一部です。政府はこれまで被害実態の調査もしていませんでした。
 調査は、7月1日から日本石綿協会などの業界6団体を通じて加盟65社など計89社を対象に実施し、13日時点で集計したもの。死因の内訳は中皮腫114人、肺がんなどが106人。じん肺は154人。
 同調査では造船業界、電力業界、JR、建設作業にたずさわった業種は含まれず、従業員の家族や周辺住民も対象外。
 また同省調査で、メーカー9社が規制対象となっていないアスベスト含有製品を現在も製造・加工していることが判明。業界を通じ代替品への切り替えを要請します。

(2005.7.16赤旗)

>>アスベストによる健康被害に係わる状況調査結果(PDFファイル262kb)


日本共産党・アスベスト対策を要請/首相あてに全面禁止・救済制度求める

 アスベスト(石綿)を吸い込んだことが主な原因となる中皮腫や肺がんで労働者や、家族、住民らが死亡している問題で、日本共産党国会議員団のアスベスト対策チーム(責任者・市田忠義書記局長)は7月14日、首相官邸に細田博之官房長官を訪ね、アスベスト対策に関する緊急の申し入れを行いました。同チーム責任者代理の吉井英勝衆院議員、穀田恵二衆院議員、井上哲士参院議員が小泉純一郎首相あての申し入れ文書を手渡しました。
 吉井氏は、「クボタ」や「ニチアス」本社を調査した結果、被害実態がつかめていないことが対策の障害になっていることが分かったと指摘。政府が緊急に全国実態調査を実施して、石綿製品の製造と使用を全面禁止するとともに、石綿の労災認定を抜本的に見直すこと、被害労働者・家族、周辺住民も含めた石綿に関する健康被害者を救済する新たな制度(公害健康被害補償法の適用も含む)を早期に実現すること―などを申し入れました。
 細田氏は「申し入れもふまえて、政府として真剣に、かつ積極的に取り組む。関係局からもよく連絡を取るようにさせるので、よろしくお願いする」と応じました。

(2005.7.15赤旗)

>>申し入れ書全文


アスベスト対策会議開く/政府要請など緊急に

 日本共産党国会議員団のアスベスト対策チーム(責任者・市田忠義書記局長、責任者代理・吉井英勝衆院議員)は7月11日、この間、実施してきたクボタとニチアスなどへの調査にもとづいて第1回の対策会議を国会内で開きました。
 会議では、労働者だけでなく家族や地域住民にまで広がる被害実態の深刻さや政府の長年にわたる無責任な対応を指摘。緊急の行動として政府への申し入れ、国会での審議要求、地方議員とも連携した被害実態調査などに取り組んでいくことを確認しました。
 会議には、吉井氏のほか井上哲士、小林みえこ各参院議員、穀田恵二、佐々木憲昭、赤嶺政賢各衆院議員らが出席しました。

(2005.7.12赤旗)


吉井・山口両衆院議員/アスベスト被害を調査/ニチアス本社で説明きく

 アスベスト(石綿)が原因の肺がんやじん肺などで多数の死者がでていた問題で、日本共産党の吉井英勝、山口富男両衆院議員は7月6日、141人の労働者が死亡していたことが明らかになったニチアス(本社・東京港区、旧社名・日本アスベスト)を訪れ、健康被害の経緯などについて同社の高木慶一管理本部長らから説明をうけました。
 同社は、アスベスト関連製品を2004年まで製造していた5工場の周辺住民に健康被害はないとしていますが、行政と相談して住民健康診断や住民説明を開く意向を明らかにしました。
 高木管理本部長らは、1970年に米国から青石綿の発がん性について危険だという情報があり、71年に中止したと説明。「もっと早くわかっていたらこんなに被害はでなかっただろう」と語りました。
 アスベスト関連工場では1972年以前、作業者にマスクを着用させる程度で、換気や必要な防護措置がとられていませんでした。
 工場ごとの労働者の死者は、奈良県王寺町の王寺工場で31人、岐阜県羽島市の羽島工場で21人、横浜市の鶴見工場で5人、静岡県袋井市の袋井工場で4人となっています。茨城県結城工場ではアスベストによる死者はでていないといいます。工事関係者とじん肺などで亡くなった141人は、労災認定をうけていたとしています。
 アスベストの健康影響は潜伏期が30年以上にもなり、今後、がんなどを発病する恐れもあります。
 吉井議員は、退職者も含めた労働者らの健康モニタリングなどを求めました。同社は調査し報告すると説明しました。

(2005.7.7赤旗)


アスベスト汚染/共産党がクボタ本社に情報開示など求める

 大手機械メーカー「クボタ」(本社・大阪市)が6月29日に公表した同社の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)のアスベスト汚染問題で、日本共産党衆院近畿ブロック事務所は7月4日、同本社を訪れ、調査・懇談しました。
 吉井英勝衆院議員、平松順子衆院比例候補、宮田静則兵庫県議、田村征雄尼崎市議ら7人が参加しました。
 クボタからは伊藤太一安全衛生推進部長、苅田一彦安全衛生推進部担当部長らが応対しました。
 今回明らかにされた健康被害では、従業員ら78人が「中皮腫」というアスベストが原因のがんなどで亡くなり、近隣住民5人も発症、2人が死亡しています。
 吉井衆院議員らは、アスベスト製品を製造していた当時の情報提示を通じて、問題の解明と今後の対策に取り組んでいく必要があると指摘。被害の実態と今後の調査、補償と住民への説明などについて質問し、意見を交わしました。
 今後の被害拡大防止に欠かせない情報開示については、死亡した従業員の経歴は現在整理中といいます。製品の納入先は記録が残っていませんでした。工場内と周辺地域のアスベスト濃度についても、作業環境測定法と大気汚染防止法によって測定を始めた、それぞれ1977年、1989年以後のデータしかなく、調査内容も限定的であることがわかりました。
 周辺住民への影響については、国・自治体や医療機関と協力した対応が必要と強調し、クボタ側も同意しました。
 宮田県議は「旧神崎工場は、JRの脱線事故が起きた現場から2キロくらいの所。周辺住民は、企業が人命や安全対策をどう認識しているかに敏感になっている。市南部では、多くの人が大気汚染公害の被害に今も苦しんでいる」として、住民感情を踏まえたていねいな対応を求めました。

(2005.7.5赤旗)


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