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検査なぜ軽視
日本共産党吉井英勝衆院議員にきく
原発の根本問う事故
老朽化で危険増大
関西電力美浜原発3号機で起きた蒸気噴出事故をどう見るのか、何が問われているのか。現地調査した日本共産党の吉井英勝衆院議員に聞きました。きき手・三浦誠記者
――今回の事故をどう見ますか。
経済産業省原子力安全・保安院は、放射能が外部にもれていないということで、軽微な事故という評価をしています。しかし、4人が亡くなったという重大さに加え、原発の根本問題が問われた事故だと、思います。とくに重要視されるべき点は、二次冷却水が大量に喪失したということです。
美浜3号機は加圧水型原発です。原子炉で直接熱せられた一次冷却水を蒸気発生器に導き、そこで二次冷却水を熱して蒸気を発生させます。この蒸気でタービンを回し、発電する仕組みです。(図参照)
二次冷却水は、炉心内を流れる一次冷却水を冷やして核燃料の熱を外に運び出す役割をもっています。冷却水がなくなる事故は、「炉心溶融」につながります。核燃料棒が熱で溶けて、放射能が外部に放出される最悪の事態を招きます。
政府や電力会社は、冷却水が喪失しても原子炉を守る「多重防御」の仕組みがあるから大丈夫だ、といってきました。例えば、炉心を冷やす「緊急炉心冷却装置」などです。
しかし、これまで国内の原発で緊急炉心冷却装置の破損や中部電力浜岡原発で制御棒が原子炉に入らなくなる制御棒駆動装置の異常が見つかっています。「多重防御」といっても、肝心な装置がきちんと働かなければ意味がないのです。
実際、日本の原発はできてから30年近くたつものが多く、老朽化が著しくなっています。そうなると事故時に「多重防御」の装置が働かなくなる危険性が高くなっていきます。また、大型地震の場合には、一斉に故障が起きる可能性があります。それゆえに今回の二次冷却水の喪失は決して軽視できない重大な事故なのです。
被害の拡大も
――運転中の原発に大量の労働者が入り込んでいたというのもショッキングな出来事でした。
関電は運転中の原発に、定期点検の準備作業のため多くの作業員を入れていました。本来は準備作業も含めて定期点検というべきで、原発を停止してから行うべきものです。事故当時、タービン建屋にいた人は104人です。すべて下請けの作業員でした。
現地調査で分かったのですが、パイプが破裂して遅くとも2分後には3階建ての建屋すべてが100度近い蒸気に覆われていました。
関電は死傷者が11人と発表していますが、事故当時、建屋内で作業してた残りの93人も、気管支などをやけどしている可能性があります。私たちは厚生労働省に労働災害として早急にすべての作業員の健康調査をするよう求めています。
検査の問題点は
――破裂した配管は、検査対象からもれていました。検査の問題点は?
実は今年7月に関電は同じ福井県の大飯原発1号機の二次冷却水系で、配管が薄くなったと公表しています。大飯1号機は美浜3号機よりも新しい原発です。この時点で、すべての原発を止めて検査していれば、美浜の事故は起きなかった。1カ月前に事故の予兆があったのに、停止して検査しなかったという責任は重大です。
本来、検査は関電の責任で行うべきものです。にもかかわらず検査項目を自社で確認せず、下請けに丸投げしています。ほかの火力発電所では検査データの改ざんまで明らかになっています。
関電の安全より利益第一主義という立場が示されています。
定期検査は本来、国が責任をもってチェックすべきですが、「規制緩和」で、だんだん企業まかせにしてきたことも重大です。
国のチェック機構として、原発を規制する原子力安全・保安院がありますが、これは、原発を推進する経済産業省に置かれています。安全を厳しくチェックするには推進機関と規制機関を分離することが国際的取り決めであり、保安院を経済産業省から独立させるべきです。
これらの背景には「原発安全神話」があります。安全だから検査を短くしたり省略してもいいという考えに電力会社や政府は立っています。
事故の教訓は
――事故の教訓をどのように生かすべきでしょうか。
今回の事故原因の徹底解明とともに全国の原発の総点検を急ぐべきです。私たちは原発は未成熟な技術にたったものであり、とくにプルトニウムをリサイクルさせて使うプルサーマル計画の中止や原発依存のエネルギー政策からの転換を主張してきました。今回の事故はその主張がいよいよ大事になっていることを示しました。
原発の「安全神話」を一掃し、原発の危険から住民の安全を守ることを第一にする行政に転換することです。
また、原発の総点検を通じて老朽化原発は廃炉にすることなど検討するべきです。
今後は、小規模水力、風力、太陽光、バイオマスなど再生可能な自然エネルギーに電力を置き換えていく努力が求められます。
再生可能なエネルギーの研究開発費を増やす。そういう取り組みを通じて、いまある原発の段階的撤退に向かうべきであることが、今回の事故から得るべき教訓ではないでしょうか。
(2004年08月22日,日曜4面 ,04頁)
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