163国会 衆院総務委員会 2005年10月20日

  ○麻生国務大臣・・・・麻生 太郎・総務大臣         
  ○戸谷政府参考人・・・戸谷 好秀・総務省人事・恩給局長 


○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、最初に国家公務員退職手当法関連から質問をしていきたいと思います。
 政府参考人にまず伺います。国民の皆さんの批判は、一回の退職金が高額であるのに加えて天下った先でも退職金をもらうという、いわゆる高級官僚の渡り鳥問題、ここにあります。一昨年の退職手当法の見直しの際に役員出向という制度を導入しましたが、この役員出向という制度は、政令で定める独立行政法人等への出向という形を認めることによって退職手当の支給なしでの関連団体への勤務を認めるもので、天下りのたびに退職金を手に入れているというこの批判にこたえたものですね。これは、ちょうど二〇〇三年四月のこの法案の審議のときにも、当時の片山総務大臣も、退職金を二重取りさせないようにということが今回の改正の一つの趣旨なんだ、こういう答弁をしております。
 そうであるならば、本来もっと役員出向という形がとられてもよいと思うのですが、公表されている幹部職員の再就職状況を見ると、その事例は非常に少ないんですね。なぜ少ないのかをまず政府参考人の方に伺います。

○戸谷政府参考人 お答えいたします。
 政府として、いわゆる天下りの弊害を是正し、公務員が志を持って行政に専念できる環境を整備するため、平成十四年十二月の閣僚懇談会申し合わせに基づきまして、早期退職慣行の是正に取り組んでおります。
 役員出向につきましては、先生おっしゃいました、一つは職務経験の多様化や早期退職慣行の是正に資するとともに、短期の在職期間で高額の退職金を支払っているのではないか、こういう御批判にこたえるために、平成十五年六月から運用しております。
 出向数でございますが、どうしても役員出向は行く先が理事クラスということでございますので、退職者数に比べると大きいものにはなかなかならないのでございますが、実績値で見ますと百人は超えておりまして、私どもとしてはかなりの数が行っているのではないかと思っておりますし、在職期間の長期化、これに寄与していると考えておるところでございます。

○吉井委員 皆さんの方から資料もいただいているんですが、「再就職状況の公表について」という総括表をずっと出していらっしゃいますが、これは、要するに各府省課長・企画官相当職以上で退職した職員の、八月十五日までに退職された人のその年度の十二月一日までの再就職状況ですね。退職者合計が、二〇〇二年が千二百七十三人、二〇〇三年が千二百八十五人、二〇〇四年が千二百六十八人。要するに、全然変わっていないわけですね。毎年千二百人以上の方が退職という状況、役員出向というのはその形を変えるものになっていないわけですね。
 現状を役員出向というのは変えているようには思えないんです。この点、政府参考人、これはこのとおりだと思うんですが、どうなんですか。

○戸谷政府参考人 役員出向で各独立行政法人等の役員になっておられます国家公務員につきましては、再就職状況の公表の中では外数でございますので、再就職状況としては、そこは一たん退職金をいただいて再就職された数を出しております。
 現在のところ、先ほど申し上げましたように、百人以上の方がこの形で独立行政法人に勤務するということで、全体として、ある意味、退職年齢を遅くするということには効果が出ているのではないかというふうに考えております。

○吉井委員 いや、そうじゃないでしょう。役員出向するというのは、また戻ることが前提なんですよ。再就職の議論というのは、一度退職して退職金を払って、そして天下りをしていって、おっしゃったようなところにしても、そこでまた退職したときには退職金をもらうからいわゆる高級官僚の二重取り、三重取りの渡り鳥問題なんですね。
 そうおっしゃるんだったら、先に伺っておきますが、役員出向は戻ることが前提なんですから、出向した人で戻った方の数というのは今どうなっているんですか。

○戸谷政府参考人 現時点におきましては、私ども具体的な状況については把握しておりませんが、平成十五年六月に官房長と申し合わせを行いまして、「法人における職務経験を公務に活かすことを目的の一つとするものであることから、退職出向させる職員の選任に当たっては、国への復帰を前提とする」ということで出向いただいております。
 まだ状況は把握しておりませんが、各省においてこの申し合わせ等に基づき適切な運用というものに努力されているというふうに考えております。

○吉井委員 片山大臣も言われたように、要するに二重取りさせないというのが役員出向だということでやったんですが、要するに数字を調べていないんですね。これはきちんと調べて、やはりきちんと公表しないことには、役員出向という制度をつくったんだけれども、しかし余り効果が出ていない、一体それはなぜなのかということを考える上でも、何の根拠も資料もないわけですから、そこはきちんと調べて公表されますね。

○戸谷政府参考人 お答えいたします。
 まず、復帰後の状況その他につきましては、制度運用開始後三年が経過しておりますし、早期退職慣行是正のフォローアップの観点から、私どもとしても、どのような把握ができるか、これについて検討してまいる所存でございます。
 それから、退職者の数というところになりますと、やはり行って戻っても、またどこかの時点で退職されますので、そこのところは少しずつ遅くなるという形で出てくるのではないかというふうに考えております。

○吉井委員 そんなことはわかっているんですよ。出向して戻る人もおれば、出向したんだけれども退職する人だって当然いるわけですね。
 だから、それをきちんとつかまないことには、役員出向の形をつくって、高級官僚の二重取り問題、渡り鳥問題をなくそうということで片山大臣も言われて、二年前の法律改正のときにはそれをやったわけですね。やったんだけれども、やっただけでさっぱり何にもつかんでいない。これでは私は意味がないと思うんですね。
 そこで、大臣に伺っておきますが、一番新しい退職公務員等の状況によると、国から独立行政法人等へ役員出向している人が百十四人なんですが、その前年の調査の数字が十二人なんですね。それからだけ見れば、何か大きく伸びたような感じですね。だけれども、この中身は、ふえた要因は、国立大学の独立法人化の結果であって、必ずしもこれは、退職金を何度でも手にできるこのシステムにメスが入っての話じゃないんですね。
 ですから、実際、各府省課長・企画官相当職以上で退職した職員の再就職状況というのは、先ほどいただいている資料で私出しましたけれども、これを見ても、退職者の合計数というのはこの三年間、大体千二百人台で変わっていなくて、それで先ほどもお話がありましたように、この役員出向の方が、これも百人ぐらいで余り変わっていないんですが、実際に、形は最初はそうだったんだけれども、また戻ってきたのかどうかとか、何にもつかめていないというのが現実の姿であります。
 そこで、役員出向が国立大学の独法化でふえてはおるんですが、独立行政法人への再就職も四年前は実は九人だったんです。一昨年、これは七十六人と大幅にふえているんですが、役員出向制度を導入したけれども、現実の再就職状況にはほとんど、渡り鳥問題なんかの解決には無力に近いというのが現状だというのが総務省の方からいただいている資料で出ているわけです。
 ですから、何度でも退職金を受け取るというこの仕組み、渡り鳥問題に大臣としてどうメスを入れていかれるか、ここを伺っておきたいと思います。

○麻生国務大臣 今、渡り鳥に限らず、特殊法人等の退職金が高過ぎるんじゃないかという御批判等々、もう強いものがあるということはよく承知をしております。
 その批判にこたえるべく、一連の話が出てくるんですが、まず国家公務員出身者の割合、特殊法人に出る割合を、ほとんど十人のうち八人とか九人が昔は普通だったんですが、だめ、半分以下ということで、これはたしか二分の一になったと思います。出身者の比率を間違いなく半分にしろと。
 それから、いわゆる特殊法人等への退職公務員の再就職状況については公表せいということで、今公表したのが一つと、もう一つは、退職金が高過ぎるじゃないかという点に関しましては、百分の三十六を百分の十二・五に、とにかく月額三十六から十二・五に引き下げたんだと思います。
 いずれにしても、これは御批判のあるところでもありますが、今物すごく難しい話であります、正直なところを申し上げて。勧奨退職の話やら何やらとひっかかってくるところでもあります。勧奨退職をせずにずっと置いておいて上がるのも問題ですし、また給料をある程度フラット化させないかぬとか、いろいろな難しい現実問題はあろうとは存じますけれども、この種の批判というもの、こういったような話をまた言われないように、きちんと対応していくような努力なり配慮というのは当然せねばならぬものだと存じます。

○吉井委員 高級官僚の退職金が高いという問題と、天下っていったところの退職金が高い、今大臣おっしゃったとおりなんです。だから、それがあるから役員出向の仕組みを設けて、出向してまた戻るということにしておけば高い退職金の二重取りはないということでもともと考えてきたわけですね。それが、現実はそうはなっていないものですから。今、これからいろいろ努力するということですが、それをやはりきちっとやっていかないと、国民の皆さんの批判にこたえるような改革というものになっていかないというふうに思います。
 次に、一般職給与法にかかわって伺います。
 先日、甲府地裁の判決で、社会保険庁職員が過労自殺したのは社会保険庁が安全配慮義務を怠ったためだとして、国に損害賠償を命じる判決が下りました。国家公務員の過労死や過労自殺で判決は初めてでありますが、この過労自殺の土台には長時間残業がやはりあったわけですね。
 麻生大臣に最初に伺っておきます。この過労死・自殺のような過労の根底にある公務員の長時間残業の是正、これをやはりきちっと進めていくべきだと思うんですが、この点を最初に大臣に伺っておきます。

○麻生国務大臣 超過勤務手当等々、これは超過勤務の時間が一千時間とか、ちょっと普通の民間では考えられないような話というのはよくあります。最近は、昔ほどはなくなったとは思いますけれども、私が当選したころは、とにかく三日徹夜とか、我々バッジ族も似たようなものでしたから、そういった、今から比べればかなり激しい時代があったので、あのころと比べますと少しは変わってきたとは思います。
 いずれにしても、各省庁の官房長が、たしか国家公務員の労働時間短縮対策というのを運営協議会を開いて決めて、いろいろ取り組みをやってきて、いわゆる見直しというのを行わないと、現実余り減っておらぬではないかということで、幹部職員によりますいわゆるコスト意識を持った話というものをしないといけないんだということで、勤務時間の管理を図る等の観点を新たに盛り込んだ対策を立てろということで、一昨年の九月にできたんだと思います。
 いずれにいたしましても、これは、何となく長く頑張っていればいかにも働いたような感じのするところは、それは人間としてわからぬわけじゃありませんけれども、不必要な部分もいっぱいあろうかと存じますので、そういった意味に関しましては、適切な勤務時間の管理というものは、これは今後とも大切なものなのであって、過労死というのは、ちょっと正直、職務に忠実であったがために亡くなったなんというのはかなり悲惨な話でもありますので、そういったことのないように、これは管理に努めねばならぬものだと考えております。

○吉井委員 霞が関の中央府省二十二の労働組合で構成されております霞が関国家公務員労働組合共闘会議が、働いている皆さん、国家公務員の一割に当たる四千百三十八名の方からアンケート調査をやった結果が先日発表されておりますので私は見ましたが、過労死の危険ラインとされる月平均八十時間以上の超過勤務が組合員等のとうとい命を奪いかねないという危機的状況にあることが浮き彫りになったということを述べて、実は、休日出勤ありという回答が五五・五%、休日出勤に対する手当等の有無で、何もなしが四六・五%、残業手当も代休もないという答えが約半数なんですね。
 実は、厚労省の方が二〇〇一年四月六日に出した通達では、長時間残業の規制とかサービス残業の是正ですね。民間ではただ働き代、サービス残業についてはきちんと、企業によっては何億あるいは何十億という形で支払うぐらい、お金も払うし長時間残業についてはきちんと是正するとやっていっているわけですね。国がこの通達を出しながら、国の方がきちんといかない、過労死・自殺が出てくるというのは異常なことですから、これは大臣、一言でいいですから、やはり、先ほどもおっしゃいましたけれども、これは本当に是正していくという考えというものをお聞かせいただきたいと思います。

○麻生国務大臣 無給で働かせる、結果的にはそういうことになっておるという点の御指摘なんだと思います。それは労働基本権のいろいろな問題にもひっかかるところでもありますし、その他の法律にひっかかりかねぬ話だと思います。この間、郵政公社のときに似たようなことがあったと記憶しますけれども、あれも是正をすることに昨年させていただいたりしておりますので、今言われましたように、一番大事なところだと存じますので、対処してまいりたいと存じます。

○吉井委員 次に、地方の賃金と経済にかかわって伺っておきたいのは、今回の給与構造改革というのは、政府の説明によると、国の方では、本俸四・八%削減と、調整手当を廃止して、それを原資にして地域手当新設や管理職手当の増額を図るというものですが、一方、地方の方は削減は国準拠ということなんです。それで、手当は国とは違う。だから、地方は六千億円の削減ということになってまいります。
 地方の方は、本来、国の人事院に相当するもので人事委員会なり公平委員会なりで官民比較で勧告して給与水準を決めてきたわけですが、国準拠の押しつけということでやっていきますと、地方で六千億削減ということはそれぞれ下がっていくわけですが、民間賃金をさらに引き下げるという要因にもなってくる、そうすると、官民で賃金引き下げの悪循環に踏み込んでしまうことになっていきますね。
 地方公務員賃金を六千億削減ということになると、これは、今は地域経済が大変ですが、要するに、GDPの六割を占めているのが個人消費ですが、この個人消費がさらに落ち込んでいく、それはまた地域経済にとっても影響は非常に重大ですし、地域経済にマイナスとなれば地方税収もまた落ち込むわけですね。
 ですから、官民ともに賃金を下げる悪循環と地域経済も落ち込んでいくという悪循環に陥らせるようなことになっちゃあかんと思うんですね。ここのところを大臣として、この問題について今どういうふうに考えていらっしゃるかということを伺っておきたいと思います。

○麻生国務大臣 一つは、吉井先生も御存じのように、この六千億というのは、いきなり来年から六千億という話じゃありませんで、これは五年間かけて段階的にやってまいりますので、約一千二百億ずつぐらいの話なんだと存じます。五百兆の中に占める一千二百億の話で、影響がゼロとは申しませんけれども、基本的には考えておかねばならぬ大事なところだと思います。
 特に、余りうまくいっていない地域というのが多いことは事実でもありますので、いろいろな意味で、見直し等々につきましては地域差があるという前提を忘れるなということなんだと存じますので、そこのところは十分に考えておかねばならぬところだと存じます。

○吉井委員 いずれにしても、賃金もそれから地域経済も悪循環に落ち込んでいくような、こういうやり方は絶対にやるべきじゃないということを申し上げまして、質問を終わります。