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163国会 衆院厚生労働委員会 2005年10月19日
○尾辻国務大臣・・・・尾辻 秀久・厚生労働大臣
○寺田政府参考人・・・寺田 達志・環境省大臣官房審議官
○青木政府参考人・・・青木 豊・厚生労働省労働基準局長
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
七月の当委員会に引き続いて、きょうはアスベスト集中ということで質問をいたします。
私、先日の石綿による健康被害の救済に関する基本的枠組み案、あれについていろいろな御説明をいただきましたけれども、対象疾病が中皮腫と肺がんという二つになっておりましたので、実は、この問題についても記者会見をされた細田官房長官にこの間、十月十二日の内閣委員会でこの問題について質問をいたしまして、それは、そのとき私が紹介しましたのは、七月にも御紹介しましたけれども、ニチアスという会社のあの死亡された石綿被害者の方の疾病は中皮腫と肺がんだけじゃなくて、じん肺、間質性肺炎、急性呼吸不全、急性肺炎、肺炎・気管支炎、じん肺・肺がんなどであることも紹介し、同時に、二〇〇三年九月十九日の労働基準局長通達では、石綿による疾病として、中皮腫と肺がんのほかに石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚などを労災認定の基準として挙げていらっしゃるということも紹介をして、その上で、アスベスト由来の疾病というのは中皮腫と肺がんの二つだけでなく、これらすべてを対象としてきちんとすき間なく救済していくべきではないかという質問をしたわけです。
これに対して、細田官房長官の方から、当然ながら病名を限定する必要はないので、アスベスト由来の疾病であるということがはっきりしておれば当然含まれるという答弁をいただいておりまして、ですから、私はこの問題、繰り返しの質問をしても余り意味がありませんから、きょうはこの上に立って、尾辻厚労大臣にまず幾つか、確認的なものも含めて質問をしたいと思います。
中皮腫と石綿被曝の履歴などの因果関係というのは、これはなかなか明確にするのは難しい場合もありますね。それから、かなり痛い思いをしていただかないときちっと把握することは難しいとか、いろいろありますから、中皮腫の人は全部まず救済する、こういう立場で臨まれるというふうに理解していいのか、ここを伺います。
○尾辻国務大臣 今後検討いただく部分はありますけれども、基本的に、私は、もう中皮腫はアスベスト被害だという考え方でいいと思っておりまして、よく、疑わしきは救済すべしという表現で言っておるのはそういう意味でございます。
細かく言うと医学的にいろいろな、またありますけれども、大きくお答えを申し上げます。
○吉井委員 それから、私は大人になってからはまずたばこというのはやめていますから吸っていない方ですけれども、石綿と喫煙との問題は、肺がんの方ですね、これはこの因果関係がどうといっても、二対八なのか三対七なのかとか、なかなか簡単にはわかる話じゃありませんが、石綿にかかわる職業履歴や居住履歴に関係する人の疾病であれば、これは喫煙歴の有無にかかわらず、私のようにたばこをもう長くやめている者は余り関係ないということにしても、あるいはひょっとしたら昔のことがかかわりがあるかもしれませんが、それはおいておくとして、やはりかかわったという履歴があれば、これは喫煙歴の有無にかかわらず中皮腫や肺がんなどの人はすべて救済していく。
逆に言えば、石綿と関係のある職場にいたこととか、あるいは工場近くに住んでいた人なら、肺がんが、喫煙したかもしれないからといってなかなか決めないということじゃなくて、そういうふうにしてしまうと肺がんの人がなかなか簡単に救われないということもありますから、ここはやはり先ほど中皮腫について大臣がおっしゃったように、大臣の方で、こういう場合についても職業履歴、居住履歴等がはっきりしている場合、そして肺がんということになってくれば対象として、もうその比率がどうだこうだということは別にして考えていくということがやはり大事なんじゃないかと思いますが、これも大臣のお考えを伺っておきます。
○寺田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま職業履歴等々の御質問ございましたけれども、石綿による健康被害の救済に関する基本的枠組みでは、対象となる疾病を、石綿を原因とする疾病であることを証明する医学的所見があることということをもって認定をするということにしております。対象疾病、石綿を原因とする中皮腫及び石綿を原因とする肺がんとしております。
この制度の考え方というのは、平均三十八年に及びます長い潜伏期間があって発症する病気であるということでございますので、基本的には、どのような職業につかれていたかとか、あるいはどのようなところに居住されていたというような履歴は問わずに、アスベストによって罹患したということが医学的に証明できれば救済するという考え方をとっているところでございます。
○吉井委員 先ほどの中皮腫の場合にしても、医学的にということはもちろんあるんですけれども、しかし、かなり痛い思いをしないとわかり切らないという場合、そこはきっちりしないと救われませんということではなかなか大変だというところから大臣の先ほどのお考えも示されておりますので、これは、たばこの方が主たる原因であるとか石綿の方が主たる原因であるとか、そこがはっきりしないから相手にしないというのではなかなか救われません。
ですから、医学的に石綿とのかかわりがある人で、当然その場合、職業履歴や居住履歴等でちゃんと見ることも、かかわりもわかってくるわけですから、その場合にはたばこ云々にかかわらずきちんと見ていくようにする、こういうことは先ほどの大臣の考え方と私は一致するものだと思うんですが、だから、大臣に伺っていたんです。
○尾辻国務大臣 中皮腫に関しては先ほど申し上げたとおりであります。
ただ、肺がんにつきましては、今先生もお述べになっておられますけれども、喫煙との関連も極めて大きいものがございます。したがいまして、やはり現在の認定基準におきましては、原発性肺がんであるということ、それから石綿を原因として発症したものと推定できること、これが今先生が言っておられる痛い思いという話でもあるんですが、それからおおむね十年以上の石綿暴露作業従事歴があることといったようなことで認定をいたしておるところでございます。
これをどうするかというのは、いろいろ御議論もあるところでありますが、やはり冒頭申し上げたように、肺がんについてはいろいろな原因が考えられるものですから、アスベストであるということをきっちり突きとめてという対応になることは、今のところこういうやり方でありますし、今後の議論ではあるでしょうけれども、改めてお答え申し上げてもそういうお答えになるところであります。
○吉井委員 だから、冒頭申しましたように、厳密な因果関係となると、これは医学的な究明といえども、喫煙によるものが三の割合で石綿が七の割合とか、その逆だとか、それは多分、相当きっちりしたことをやらぬとなかなか難しいと思うんですね。
それがきちんと解明されないから、当初考えておられた二つの症例のうちの肺がんとはなかなか認めてもらえないとなると、それは救われないことになります。だから、私は、たばこを吸っている人の場合、一〇〇%石綿が原因だということが確認されるまではだめというふうには決めつけないで、石綿によるものとうかがわれる人で、厳密に言えばたばこが主因かもしれないけれども、しかしその人もきちんと救済を図っていくということがやはり大事だと思うんですね。そのことを言っているんです。もう一言で結構です。
○尾辻国務大臣 言葉で言いますと、アスベストが何らかの原因になっているということがわかれば、それは当然、救済の対象になるということでございます。
ただ、それをどう判断するか、現実の判断というのは大変難しい問題もあろうと思いますが、今後、また医学の進歩などで、そしてまた、特に中皮腫に関して言えば、治療法を早く見つけなきゃいかぬ。これはまた研究班も立ち上げて努力もいたしておりますし、そうしたいろいろなことの中で、医学の進歩の中で、今後、これはアスベストが原因だなという診断もつきやすくなるところもあると思いますので、そうした中でこうした問題に対応していかなきゃならないというふうに思っております。やはりアスベストが原因であるということをはっきりさせないとなかなか対応しづらいということは御理解いただきたいと存じます。
○吉井委員 私は、そこはもうこれ以上言っても、そこから変わってこないでしょうから。
やはり石綿の職業履歴、居住履歴、因果関係が認められて、石綿と思われる肺がんとなっている方の場合、たばこを吸っているから、あなたはたばこが原因かもしれないということでやり出すと、これはなかなか救われません。ですから、厳密に一〇〇%ということに至るまで救われないということでは、これはせっかく基本的枠組みを考えられたけれども、だんだん話を聞いているうちにその枠はうんと小さいものになってしまうというのでは意味がありませんから、ここは私の申し上げました趣旨をよく生かしたもので考えていってもらいたいというふうに思います。
次に、健康管理手帳に関しては参考人の方に伺っておきますが、これを受けた労働者の方は、退職後の治療費等は給付されるわけですが、この場合、石綿専門の医療機関が近くにない場合、たしか通達だったらかなり一定の距離があったかと思うんですが、自宅から四キロ以上とか、遠距離であっても通院費はきちんと支給されるということになってきますね。これを伺っておきます。
○青木政府参考人 現在、労災保険におきましては、移送費ということで、災害現場から医療機関への移送でありますとか、転医などに伴う移送ということで一定の給付をしておりますけれども、同時に、今委員がお触れになりましたように、四キロという距離を言っておりますけれども、自宅から医療機関までの距離あるいは医療機関の専門性等について個々に判断して支給の可否の判断をしているところでございます。
○吉井委員 それでは、次に、被害者を救済する上で、やはり住民の方たちの健診ですね、つまり、最初は、ひょっとしたらアスベストによってという思いはあっても、なかなかわからないんですね。
例えば、私にしても、アスベストにかかわる研究もやれば仕事にも携わっておりましたけれども、まさか自分がかかわりがあるとは思っていませんから、よくわからなかったんですね。しかし、エックス線ぐらいですと、これはひょっとして昔肋膜をやって自然に治った跡じゃないかぐらいでも、CTかけたらやはり胸膜肥厚というのはわかるわけですね。胸膜肥厚とわかってきたときに、定期的にきちんと追跡しておかないと、それが広がっていく問題とか、さらに中皮腫その他になっていってもいけませんから、これもきちっとまず管理しなきゃいけないんですが、問題は、多くの方の場合、アスベストの工場周辺に住んでいて今問題になっていらっしゃる方たちは、わからないんですね。
そうすると、わかってから認定ということであれば、わかるまでの間の救済というのはないんですね。私は、健康診断にしても手術にしても抗がん剤使用にしても、将来、認定されたら手術、抗がん剤使用等はもちろん変わってくるにしても、やはりすき間なく対策ということですから、そうすると、今だったらアスベスト被害者がすべて最初の健診等は負担しなければいけないわけですが、これはやはり国の方でも放置してきている間に被害が広がってきておりますし、既に自治体の方ではこれは各地で取り組んでいるわけですね。
かつて、十年ほど前になりますが、熊本県の松橋の方では、あそこでは、松橋町のころは約二万数千人、三万人近い町民の方の中で、一万人ぐらいの方の健診を公的に行って、約一千人を超える方が要管理ということで、今、本当はもう少しきちんとした管理をしなきゃいけないと思うんですけれども、とにかくそういう公的にもやっているわけですね。自治体では、尼崎にしろそのほかのところにしろ、鳥栖もこの間そうですが、住民健診に取り組んだりとかしているわけですね。
私、やはり認定を受けたら後の対策をということだけじゃなしに、今大事なことは、一定の地域について、一億二千万全部という話じゃありませんから、おのずからわかってくるわけですから、それは公的にも住民健診も行って、きちんとそういう段階から被害者の救済に当たっていくというこの取り組みというものを考えていくべきじゃないかと思うんですが、ここは大臣に伺っておきます。
○尾辻国務大臣 今お話しいただきましたような、周辺住民の方々含めまして、いろいろな不安も感じておられます。そうした皆さんに対する健康診断をどうするかというのは大変重要な課題の一つだというふうに考えております。大きく不安への対応ということでは、環境省とともに真摯に対応してまいりたいと考えております。
そうした中で、周辺住民の方々に対する健康診断につきましては、健診の対象でありますとか、効果的な手法というのがどういうものであるか、それから技術的な面での検討も必要でございますので、今、専門家の方々にお集まりをいただきまして、専門的に、そして最新の知見をもって検討していただいておるところでございます。
専門家の皆さんの御意見をお聞きしますと、いろいろな御意見が出てくるものですから、今、御意見を伺いながら検討いたしておるところでございまして、答えを出したいと考えております。
○吉井委員 現段階では検討ということで、しかし、これは本当にやってもらいたいと国民の皆さんが願っていらっしゃることですから、それから、大臣もお聞きになっておられると思いますが、地方自治体の方からもそういう声が出ているときですから、これは本当に真剣に取り組んでいくべきものだというふうに思います。
そして、この住民健診をやって、さっきの松橋ですと、要管理の方の中でも亡くなられた方とか転出された方とかいらっしゃいますから、昨年度ですと、管理実数で千百五十二名の方とか、転出された方は、実は、私は大阪ですけれども、近いところにおられて、熊本の松橋でお兄さんは中皮腫の疑いで手術された方ですけれども、妹さんの方が大阪へ移ってこられて、それからやはり中皮腫で酸素が欠かせないという暮らしをしておられます。そういう場合、松橋の方で被害を受けたんだけれども何の救済もないというのが現実なんですね。
ですから、これはやはりきちんと健康調査をやって、そして要管理者が見つかったときには、そのときからは恐らく考えていらっしゃる、この基本的枠組みに基づく法律の中でも何らかのことを考えていかはると思うんですね。そこへ行くまでの間に、まずその段階でも必要なんですよ。
そして、私は、その健診を受けて一回目は大丈夫でも、私なんかは昔それほどそういう心配はなかったんですけれども、やはりだんだん出てきましたから、異常が見つかれば定期的にフォローすることが大事なんですね。そういうことをやっていくとなると、松橋の方では要管理者としてやっていらっしゃるんですけれども、やはりその場合には、労働者の方の場合は、現役のときは労災があり、退職後は健康管理手帳と。ですから、やはり周辺住民の方たちについても、そういう健康管理手帳の交付を行ってきちんとした対応をしていく。それをやっていかないと、法律を考えてもそれはなかなか生きたものになっていかないと思うんですが、この点についてはどのように進められますか。
○寺田政府参考人 お答え申し上げます。
アスベストに暴露した可能性の高い方たちに対するフォローアップということだろうと思いまして、私どももその重要性は認識しているところでございます。
環境省におけます検討を申し上げますと、実は、本年七月からアスベストの健康影響に関する検討会という検討会を設けまして、一般環境経由のアスベストによる周辺住民の健康被害に関する調査や検討を進めております。また、先ほど来委員御指摘の尼崎等におけます健診の実態、情報等についても把握に努めているところでございます。
こうした情報を踏まえましてこれから検討してまいりたいと思いますけれども、健診等ということになりますと、既に幅広く行われております既存の健診制度などとの関係も考えながら、必要性、あり方、実施する場合の費用負担、実施主体等々、いろいろと検討することがあるのではないかと考えているところでございます。
○吉井委員 地方自治体含めて、既にもう負担をして進めているんです。国がどういう対応をしていくのかということが今求められているときです。ですから、実際、市民でアスベストによる疾病にかかられた方についても、健康調査だけじゃなくて、そちらについても保険制度その他で地方自治体も本人も負担しているわけですから、問題は、国の方がそれに対してどう取り組んでいくかということです。ただあちこちのデータを集めて検討していますだけでは、今の環境省のお話だけでは、これは皆さんの納得できるような話じゃありませんから、大臣も、政府を挙げてきちんとした対応を早く取り組んでいただきたいというふうに思います。
そこで、私、この石綿産業というのは、ある意味では、これはもともと国策から始まった面があるなというふうに最近地域の市史などを読んでおりまして感じるんですが、例えば大阪の泉州の石綿工場について調べてみると、これはもう二十年近く前になりますが、一九八七年の二月現在で、泉州九市町村で実は八十三社石綿工場がありました。その内容を見てみると、従業員が一人から五人の零細企業が三十六社で四三%、六人から十人の中小企業が十六社の一九%と、いずれにしてもほとんど九割が二十人以下の零細なところなんです。
では、それをもう少したどってみれば、どのころからかというふうに関心を持って見ていくと、実は、一九一二年、明治四十五年のことですが、泉南市の信達というところに日本石綿工業というのができたんですが、これが創業二年後にちょうど第一次世界大戦が始まって、事業を拡大する時期に入ってきたんですね。
特に大きな買い付けといいますか、それは当時の軍艦ですね、艦船の建造、軍備拡張の中で石綿需要がぐっとふえて、陸軍、海軍の事実上の下請工場という形でどんどん大きくなっていったという経過があります。それから、航空会社の下請、これは当時ですと軍事とかかわったものですが、そういう中で青石綿も白石綿も茶石綿もつくられてきたということなどが地域の市史に紹介されております。そういう点では、石綿工業というのは、陸軍、海軍の下請工場から始まって、そして、言ってみれば国策として隆盛をきわめた、そういうのが戦前の最初の始まりでした。
ですから、そういう点では、国としても、この地域における石綿の被害者、また零細でやっておったものですから、非常に深刻な問題が今だんだん明らかになってきているんです。私も、泉州もそうですし、奈良の王寺の方で聞いたときも、昔は石綿を忙しいときに手でつかみまして手がちくちくしましたとか、綿ぼこりが舞うようにとか、今から考えればなかなか深刻な状況の中で働いていた。
しかし、それに対して、国として、被害はあったんですけれどもきちんと手を打っていなかったということがありますから、私は、石綿の被害の問題については、やはり国として、今度も国の責任ということも考えて費用負担とかいろいろ考えていかれるようですが、やはり石綿の問題については、国もかかわってこれを始めて大きくしてきたということと、それから、石綿の被害がかなり早い段階でわかっていたのにきちっと対応してこなかったという面で、やはり国としてかなり大きな責任を感じて取り組んでいただくということが必要じゃないかというふうに思いますが、この点について大臣に伺っておきます。
○尾辻国務大臣 今私どもが考えておりますのは、アスベストの潜伏期間というのは平均して三十八年というのが私どものデータでございます。いずれにしても、大変長い潜伏期間がある。それをさかのぼりまして、因果関係など言いますと、責任がきっちりどこにあるかとかいう話になりますと、どうしてもそうした因果関係なども言わざるを得なくなってきますから、今考えておりますことは、とにかく非常に深刻な事態であることだけは確かでありますから救済しよう、とにかくまず救済するということを考えておりまして、そのことに、これは政府挙げて、まさにそういう意味では政府の責任で救済をするということにいたすつもりでございます。
○吉井委員 私、この点では、国の責任ということを考えていく上では、せんだっても質問主意書の中でも上げておきましたけれども、一九五七年二月四日と一九五八年十一月、半世紀前ですね、石綿被害がうかがわれるということで、大阪の石綿紡織工場等の環境調査を既にやっているんですね。それは七一年に定めた基準からすると五十倍以上の汚染だったという非常にすさまじい状態だったんですが、結局、基準を設けてきちんと対応しようとしていったのはそれから十三年も後のことでした。
それから、もう一つ、大阪の労災病院の方ですね、これは厚労省管轄ですが、そこの医師の方の論文が一九七一年に既に発表されているんですが、その中でも、一九五六年から一九七一年の三月にかけて石綿肺で労災認定された方が四十五人いたということ、それから、石綿肺に高率な肺がん合併の主因、合併の症状があるんだけれども、その主因は、上皮の異常増殖の部位が多発して、がん発生の組織素因を形成しているという指摘など、もう随分前から実は厚労省の関係する方たち、それは労基署が調べたりとか労災病院の方が既に調べて発表したりしていたのに、この点では、厚労省の、国の対応というのは非常に遅かった、半世紀前からいろいろな取り組みをやりながらおくれてきたということについて、私は、改めて今検討等をやっておられますが、その責任というものをどのように考えていらっしゃるか、その責任に基づいてこれからどうするかというその決意だけ伺って終わりにしたいと思います。
○尾辻国務大臣 これはいつもお答え申し上げておることでありますが、四十七年にILO、WHOががん原性を指摘します。それ以前、私どもはやはり粉じん対策として対策を講じてきた。その後、がん原性ありということで対策を講じた。そこのところで大きくターニングポイントとでも申しますか、対策、対応が変わっております。
したがって、粉じん対策でやっていたときとそれ以降のことで分けて考えなきゃならない。そうなると、先ほどの三十八年の潜伏期間ということを考えますと、検証というのは今後さらにいたしまして、とにかく十年後の検証をきっちりやるべしと私は言っておるところでございまして、その辺で、私どものこれまでしてきました対策、対応が効果があったのかどうかというのを判断したいというふうに考えておるところであります。
○吉井委員 要するに、第一次大戦後から、国策もあって石綿工業がどんどん発達して日本の軍備を支えてきたわけです。同時に、戦後の中では、もう半世紀前から厚労省の管轄のところで、労基署にしても労災病院にしても深刻な事態をつかんで調査などをしていたわけですから、それが具体的に禁止措置などをやるのがおくれた、そこはやはり国の責任は重大だということを申し上げて、時間が参りました、質問を終わります。
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