163国会 衆院国土交通委員会 2005年10月18日

○北側国務大臣・・・・北側 一雄・国土交通大臣      
○山本政府参考人・・・山本繁太郎・国土交通省住宅局長


○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 先日のパキスタンの大地震の場合にも、多くの方が建物の倒壊等によって犠牲になられました。私は、まず最初に、犠牲となられた方に対しまして心より御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、すべての被災者の方に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 さて、建物の耐震改修というのはもう日本でも待ったなしのことですが、本法案は、東海、東南海地震など切迫する大地震の発生に備えて、住宅・建築物の耐震化を緊急に進めるための耐震改修促進の法律の改正ということでありますが、この委員会で説明があったように、住宅で千百五十万戸、建築物で百十六万棟がいまだ耐震化できていないと推計されておりますが、この十年間で、住宅六百四十万戸、特定建築物五万棟の耐震化を進めて、全体として九割の耐震化を目標としております。
 そこで、政府参考人の方にまず伺いますが、確認しておきますが、この目標を達成するためには、どれだけの規模、どれだけの量の改修が必要か、これまでの実績はどれだけで、このテンポをどれだけに上げていく必要があるのかということを最初に伺います。

○山本政府参考人 住宅それから特定建築物について、現行の七五%の耐震化率を九割とするためには、住宅につきましては、量的にはやはり建てかえでございまして、建てかえが、現状、年間四十万戸ございますが、これを四十五万戸程度に増加させるということに加えまして、耐震改修の戸数につきましては、現状の年間五万戸程度ありますものを、二から三倍に当たります年間十から十五万戸程度のテンポに増加させる必要があると考えております。
 それから、特定建築物につきましても、建てかえを現状の年間一千七百棟程度から二千棟程度とするほか、耐震改修の棟数を、現状の千二百棟から、やはりこれも二から三倍の年間三千棟程度に増加させる必要があると考えております。

○吉井委員 ですから、いずれにしても、大幅にペースの引き上げというものを本格的にやらないと、これは絵にかいたもちになってしまうわけですね。ですから、自助努力、自己責任だと言って所有者個人に任せているだけでは、これは目標の達成はできませんから、国や自治体がどれだけ、耐震改修を促進するインセンティブを与えるようなそういう施策を進めていくのか、そのための直接、間接の支援をどれだけ親身になって進めていくかということが、私は、この法律の成否はここにかかっているというふうに思うわけであります。
 そこで、住宅の耐震改修について、これは大臣に伺いますけれども、内閣府が九月に発表した地震防災対策などに関する世論調査ですね。これで、今後十年間に自分の住んでいる地域で大地震が起こると感じているという人が六四%、自宅について、耐震改修、耐震診断のどちらも行ったことがないという人が八二%、住宅の耐震改修をしたいけれども、それはお金がたまってからだという方が半数を超え、改修できる条件としては、公的な支援があることだという人が三八%、住宅の耐震化に向けて国や自治体がやるべきことのトップに挙げているのが、耐震改修の費用の負担というのが六三・八%と、やはり公的支援の重要性というのが示されているというふうに思うわけであります。
 国の耐震改修補助制度について、昨年十一月九日の当委員会で穀田委員も指摘しましたが、二〇〇三年度までの実績は、共同住宅で四十戸、戸建て住宅は実績なし。二〇〇四年度で、国の補助は、戸建て住宅は十四件、共同住宅四十戸のままですから、これはなかなかうまくいってないわけですね。
 なぜこうなってくるのか。ここには、国の耐震改修補助の活用が進まない原因、つまり最大のネックになっているのが、一つは、一戸当たり平均で約二百万円かかる費用負担ですが、国の戸建て住宅の改修費に対する補助率八%、地方が同額負担しても一六%程度ということで、極めて低いわけですね。結局八四%、二百万で言うたら百六十八万円まず自己負担しないとなかなか進められないということがあります。
 それから二つ目には、この制度を使いたくても使いにくい、使えないという要件の設定がありますね。これは昨年の秋の当委員会で、山本政府参考人の答弁にも、非常に厳しい要件がありますというお話がありました。例えば道路沿いの住宅に限るなど、厳しいものですから、適用を狭くしていっている。これでは、目標を達成しようにも、これはなかなか間尺に合わぬと思うのですね。
 ですから、耐震改修化促進という国の責任を果たそうということで、大臣、取り組んでいかれるわけですから、そうすると、国の補助が使えるように、補助率の大幅なアップとともに、やはり要件緩和、むしろ要件を撤廃して、耐震改修が必要な住宅すべてに使えるように、すべての住宅を対象としたものへと、そういう取り組みというものをやらないと、これは私はなかなか進まないと思うのですね。
 ここは、まず大臣に伺っておきたいと思います。

○北側国務大臣 まずは、これはもうすべての防災対策で共通していると思うのですけれども、私はまず、国民の皆様、住民の方々の意識を、そういう防災意識というのをしっかり啓発していくということが非常に大事であると思っております。
 その上で、今委員のおっしゃったように、もっと使い勝手がいいようにすべきであるということにつきましても取り組みをしなければならないと思っておりまして、例えば、この十八年度の予算要求におきましては、今まで住宅・建築物の耐震改修事業につきましては地域限定をしておりました。東海地震だとか南海地震だとか、そうした地域限定をしておったんですけれども、その地域要件を撤廃、緩和したということ。
 そして、特に緊急性が高い緊急輸送道路沿道のマンション等の耐震化に係る補助率については、かさ上げをしました。これにつきましては、国が三三・三、地方公共団体三三・三と、国と地方で三分の二を見ましょう、残りの三分の一については建築物の所有者等に対して無利子貸付制度を創設しましょう、これは要求段階でございますが、そういうことを予算要求しておるところでございます。
 また、予算額そのものにつきましても、平成十七年度の二十億円に対して、八倍の百六十億円に増額等の要求も行っております。
 さらには、地域住宅交付金制度というものを平成十七年度予算から認めていただいておりますが、地方公共団体の提案事業としてそうした耐震改修補助事業を地方独自でやろうとするところにつきましては、この地域住宅交付金制度を活用していただくような手法も、今回、十七年度予算で取り入れをさせていただいているところでございます。
 さらに充実ができるように、しっかり取り組みをさせていただきたいと思います。

○吉井委員 国民の意識については、さっきも御紹介しましたように、内閣府の調査によっても大地震が起こると感じているという人が高くて、変えようという意識はあるのだが、なかなか費用の面が大変だということがあらわれているわけです。ですから、先ほど申しましたように、国の耐震改修補助制度だけが厳しい要件をつけている、ここのところを、やはり厳しい要件を撤廃して、そして求める人々に、必要な住宅すべてを対象にして取り組んでいく。
 もう一遍聞いておきますけれども、この厳しい要件を外す、この大臣としての取り組みだけ、一言で結構ですから重ねて伺っておきます。

○北側国務大臣 先ほども申し上げたように、平成十八年度予算要求でそのような、先ほど申し上げたような取り扱いをしていただくように、今要求をしているところでございます。
 さらに申し上げますと、税制上も、そうした耐震改修費用について税額控除ができるように、これも今強く求めているところでございます。
 さらには、耐震改修費用そのものをできるだけ技術的に安くできないかというふうなことも今取り組みを進めているところでございまして、これは、多くの方々が耐震改修について実際にやり出していただきましたならば、この単価についても私は安くなってくるというふうに思いますし、また、技術的にも、もっと安いやり方で耐震性を増していくというふうな方法についても、業者の方々の中で今さまざま研究も進んでいるところでございまして、そうした取り組みをしっかりと支援させていただきたいというふうに思っております。

○吉井委員 次に、政府参考人に特定建築物の耐震改修について伺いますが、問題になりましたスポパーク松森ですね、つり天井が落下するという事故について、これは耐震用の振れどめがついていなかったということがありましたけれども、不特定多数が集まる建築物の天井が地震で落下する崩落事故というのは、これまでも二〇〇一年三月の芸予地震、二〇〇三年九月の十勝沖地震などあって、そのたびに技術的助言というのを出してこられたんですね。これまで既にそれをやってきているのに、地震の避難所となるべき公共施設で、しかも新築の施設、なぜこれがこういうふうに、通達を出して、助言を出していても起こったのかということですね。
 私は、これはなかなか深刻な問題だと思うんですね。幾ら国交省が言ったって、技術的助言をやったって、さっぱり生きてこない。こういうのを繰り返されてはだめですから、なぜこういうことが起こったのかを伺います。

○山本政府参考人 これまで何回か経験いたしました震災被害の状況を踏まえて出しました技術的助言、具体的に平成十三年、平成十五年に発出しているわけでございますけれども、御指摘いただいたこの技術的助言が、このスポパーク松森においてはきちんと守られていなかったということが原因でございます。
 そういうふうになりました原因につきましては、まず、施工者が施工計画書どおりに工事をしなかったということ、それから、法令で求めております工事監理者が設計図書どおりに工事されるよう適切な工事監理を行わなかったことが原因である可能性が高いというのが、今現在の認識でございます。
 このために、同じような事故が発生しないように、国土交通省におきましては、公共団体に対して、建築の確認、中間検査、完了検査におきまして、崩落防止対策が講じられているかどうか的確に審査するよう通知をいたしまして、技術的助言の周知徹底を図ったところでございます。

○吉井委員 最初に助言を出して、徹底する努力をされたと思うんですね。二回目も出して努力されたと思うんですよ。しかし、なかなかこれは生きてきていない。
 今度の問題では、仙台の幹部の方のお話も報じられておりますが、耐震確認は建築基準法に基づく検査項目の対象外だとか、事業はPFI方式で、耐震確認も民間業者が行うべきだ、そういうふうに言っているんですけれども、要するに、どこの責任だ、あっちの責任だ、こんなことを言い合っておっても話にならぬわけですね。
 ですから、やはり新築の建築物の耐震化を徹底するための完了検査が確実に実施されていなかったのが問題なんですから、そこをどうするか。PFI事業であったために、行政当局とPFI事業者、施工を請け負った建設業者が互いに責任をあいまいにしてしまうとかいう問題ですね。それから、通達は出したが徹底されていないということなど、私は、整理すればやはり三つぐらい問題があったと思うんです。
 ここは大臣にも伺っておきたいんですが、通達だけじゃなしに、やはり法令で義務化する必要というものがなかったのかどうか。国交省の対応に問題がなかったのかどうか。ここのところは、大臣も中心になってもらって、きちっとこのことを検証して、技術的助言をしたらそれが確実に生かされるという、私は、そのためには、通達だけじゃなしに法令で義務化することなどをきちんと考えなきゃいかぬと思うんですが、これは大臣に伺っておきます。

○山本政府参考人 建築基準法令についてはっきりしておりますことは、天井を含む内装材について、「地震その他の震動及び衝撃によつて脱落しない」という規定を設けているわけでございまして、その意味では、基準法では義務化してあるという理解でございます。
 問題は、的確に現場で施工監理、施工が行われているかどうか、運用が的確に行われているかどうかということが今回の問題だというのが私どもの認識でございまして、先ほども御説明しましたが、建築確認、中間検査、完了検査において、この防止策が適切に講じられているかどうか、審査の徹底を図るように公共団体等に対して通知しているところでございます。

○吉井委員 何か今のお話を聞いていますと、現場の問題、運用の問題ということになってしまうんですね。私は、大臣に伺いましたのは、政府参考人のときは私はちゃんと政府参考人と指名してやっているんですけれども、大臣に、やはり現場の問題だというふうな振り方じゃだめなんですね。ここは、やはり大臣として、なぜこういうことになったのかということをきちんと検証して、いや義務化してありますからと言うんだったら、では、なぜその義務がきちっと生きないのか。それは、国交省の責任者がやはり徹底してそれをやるということをやらない限り、同じことを繰り返しますよ。大臣に伺います。

○北側国務大臣 おっしゃっているとおり、平成十三年、そして平成十五年において、国交省から各地方公共団体の担当のところにそうした技術的な助言について周知徹底をしているにもかかわらず、実際にまた宮城県でこのような事態になっているじゃないかということでございまして、そこは甚だ遺憾であるというふうに言わざるを得ないと思っております。
 今回の地震での事故を受けまして、同様の事故を防止するために、建築確認、それから中間検査、さらには完了検査において、天井の崩落どめ対策が適切に講じられているかどうか、審査の徹底を図るように改めて地方公共団体に対して通知をしているところでございますが、きちんとフォローをできるようにしてまいりたいと思います。

○吉井委員 要するに、耐震改修工事を実施したけれどもきちんとできているかどうかとか、そういうことも耐震改修後の問題として当然出てくるわけです。ですから、現在は耐震性が確保された建築しか認められないんですが、きちんと工事ができているかどうか、中間検査や完了検査は物すごい重要だと思うんです。耐震改修実施後のチェック、これは、悪質リフォーム詐欺なんかが今問題になっているときだけに、非常に大事だと思うんです。
 そこで、最後に、法案作成に先立って検討された住宅・建築物の地震防災推進会議の提言でも、この法律には改修実施後のチェックの仕組みがないという指摘がありますね。私は、だから大臣、さっきの問題なんかもそうなんです。助言をした、生きているはずだというだけじゃうまく徹底されないというところがありますから、改修実施後のチェックの仕組みというこの指摘なども含めて、この点、どういうふうに改善をしていくのかということを最後に伺って、時間が参りましたので、質問を終わりにしたいと思います。

○山本政府参考人 第三者による耐震改修工事のチェックでございますが、耐震改修促進法に基づく計画の認定を受けて行われる建築物の耐震改修につきましては、認定計画に従って改修が行われていない場合には、特定行政庁による報告徴収、改善命令によってチェックをする。認定を受けた計画に従って耐震改修が行われることを担保する仕組みが整備されておりますので、できる限りこの制度を生かしていきたいということでございます。
 計画の認定を受けないで耐震改修を行う場合につきましても、建築士などの専門家が所有者からの要請によりまして耐震改修工事のチェックができるように、建築士会とか建築士事務所協会などの関係団体と協力して、相談体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

○林委員長 日森文尋君。