163国会 衆議院内閣委員会 2005年10月12日 

 ○細田国務大臣・・・・細田 博之・内閣官房長官
 ○村田国務大臣・・・・村田 吉隆・国家公安委員会委員長
 ○安藤政府参考人・・・安藤 隆春・警察庁長官官房長 

○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 最初に、細田官房長官にアスベスト対策について伺いたいと思います。
 先日、五日の日にも、所信あいさつでも述べられましたし、実は八月二十六日の関係閣僚会議の後の記者会見も見せていただきましたけれども、その中で、労災補償を受けずに死亡した労働者、家族及び周辺住民について、すき間を生じないような仕組みで、救済のための新たな法的措置を講ずることとしたというふうに、すき間のない対策をということで、そして内閣挙げてということで表明しておられますので、そのことに関して伺っておきたいと思うんです。
 それで、十月七日の日に昨年の人口動態調査が発表されまして、中皮腫による死亡者は九百五十三人、九五年に中皮腫の項目が設けられてから累計七千人に達しておりますが、それだけじゃなしに、アスベストによる健康被害というのは年々拡大して、実は、石綿由来の肺がん、そちらの死亡者は中皮腫よりもはるかに多くて、大体年間八千人ぐらいになるという専門家の指摘もあります。
 ですから、石綿による肺がんも今回の政府の枠組みの対象疾病になっておりますけれども、石綿による疾患にかかった被害者の方、その人たちについてすき間のない対策をとっていくという立場だということを確認しておきたいと思うんです。

○細田国務大臣 今、吉井議員がおっしゃったように、発病まで非常に時間がかかるということ、過去のいろいろな法規制の歴史はあるけれども、例えば労災等につきましても、すぐに時効になって、その後にまた発病され、あるいはお亡くなりになるという方も多いということで、新しい法制度を今検討しておりますが、すき間なく救済する仕組みを考えているわけでございます。
 そのための法案を次期通常国会のできるだけ早い時期に提出したいと思いますが、今、吉井議員がおっしゃった中皮腫は、大体の罹病者あるいは死亡者はほとんどアスベスト由来であるという科学的知見、医学的知見もあるようでございますので、これはできるだけ広く救済をまずしたいということがあります。それで、どういう由来であるかもそれぞれ検討していかなきゃならないと思います。
 問題は、今おっしゃった肺がんの関係は、それぞれ、アスベスト由来のものもありますし、一般的に肺がんという病気も数の多いがんの一つでございますので、どういう経緯があるのか、それぞれによく調べていかなければならないということが非常に大きな難題でございます。やはり医学的な見地その他専門家の意見をよく聞きながら今後の対応ぶりについては検討していきたいと思っておりますが、アスベスト由来であることが推定される限り、すき間なくやっていきたい、措置していきたい、こういうことでございます。

○吉井委員 実は、クボタ、ニチアスの問題が出ましてから、私は両社とも本社へ参りましたけれども、ニチアスへ行って、労災認定を受けた方でアスベスト疾患で亡くなった方のリスト、もちろん固有名詞は個人情報の問題がありますからいただいておりませんが、このリストをいただきました。
 これを整理して見てみると、胸膜中皮腫で十三名の方、腹膜中皮腫で二十二名、石綿肺・肺がんで二十三名、肺がんで二十四名、じん肺で五十名、間質性肺炎二名、急性呼吸不全一名、急性肺炎一名、肺炎・気管支炎一名、じん肺・肺がん四名、合計百四十一名の方が亡くなられたわけですね。
 つまり、石綿による被害であって、そこははっきりしているんですが、死因というのはさまざまなんですね。中皮腫と石綿由来の肺がんだけに絞れるかといったら、そうじゃなくて、それ以外にも、アスベストによるじん肺死など非常に多数あるわけですね。これらはやはりすべてを、石綿に由来するものについてはすべてを対象として考えていくということが必要だと思うんですが、この点を伺っておきます。

○細田国務大臣 これまでの死亡者あるいは罹病者、これははっきりしているわけですから、その方々がどういう症状であったのかということに加えて、例えばどういう職場環境、あるいはアスベスト飛散の場所等に勤務していたかどうか。
 たしか倉庫で働いていた、何か商売をやっている方が、どうもやはり明らかにその倉庫に飛散していたアスベストの被害であるということが認められたと思うんですけれども、そういう因果関係について幅広く調査する必要は当然あると思います。医師の診断も、中皮腫、肺がんあるいは周辺の病もいろいろありますので、ただ、環境その他で強く推定されるかどうかということが、最後、患者さんにとっての必要な判断だと思います。
 それから、過去にかかった人と現在かかって苦しんでおられる方ですね。過去というのはかかってお亡くなりになってしまったという診断書が残っているという方、それから現在かかっておられる方、それから、これからまた発病の可能性がありますので、それぞれについてきちっとした体制をとっていかなければならないと考えております。

○吉井委員 実は、二〇〇三年の九月十九日に、労働基準局長通達で、石綿による疾病の認定基準というのをちゃんと示していますね。そこでは石綿による疾病としては、石綿肺、肺がん、胸膜、腹膜等を含めた中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、こういったものを労災認定の基準として挙げているわけです。
 まさにその人たちがニチアスの例で、先ほど御紹介しましたが、亡くなっておられるわけですから、石綿由来の疾病によって被害を受けた方については、これは中皮腫、肺がんという先ほどおっしゃった二つだけじゃなしに、これらすべてを対象としてきちんとすき間なく救済をしていく、その立場が大事だと思うんですが、重ねて伺っておきます。

○細田国務大臣 当然ながら病名を限定する必要はないので、アスベスト由来の疾病であるということがはっきりしておれば、当然含まれると思っております。その因果関係をしっかりと調べていかなければならない、こう思っております。

○吉井委員 そこで次に、すき間なく救済するというのは、当然、先ほども少しおっしゃいましたが、労災以外に、家族の方、一般周辺住民の方があるわけですが、一般住民まですき間なく救済するということになりますと、まず救済のための対策として今必要なことは、健康被害の実態調査、そして住民の健康診断です。しかし、検討していらっしゃる法案は、この間説明いただいたんですが、公的に負担して住民の健康診断を行うということが抜け落ちているわけなんです。
 実は、石綿の問題が大きな社会問題になってから、工場周辺で死亡者を含む健康被害者が多数出ております尼崎とか鳥栖市とかは、市の方が予算を組んで一般住民の検診を実施しておりますね。かつて、熊本県の松橋町の方では、これは公費でもって約一万人の健康調査をやって、そのうち約一千人の方が要管理ということで、継続して管理をしていかなきゃいけないということで、これは自治体の方での取り組みはあるわけですが、すき間なくやるには、アスベスト由来で、周辺に住んでいたとかそういうことで労災にはまらない人についても、やはりまずきちんと健康調査をやって、そして健康管理を行っていくということが大事だというふうに思うんですが、この点についても伺っておきます。

○細田国務大臣 どのような枠組みでやるかはまだ検討中でありますが、当然ながら、検査あるいは調査をしなければなりませんので、その過程でアスベスト由来かどうかがわかるような形で調査も進めなければならない。これは、既往症の方ということになると思うんですけれども。
 あるいは、では今後はどういうふうに対応するかというと、やはり常にそのような角度から対応していかないと、発病自体に何年もかかるという例が多いようにも聞いておりますので、そういった絶えず漏れなく調べていくということも大事であると思いますが、地方公共団体と政府の役割分担とかそういう問題もございますね。したがって、そういった点も含めて検討してまいりたいと思います。

○吉井委員 大臣もお時間のようなので、最後にもう一問伺っておきますが、要は、これは自治体の方も、今少しおっしゃった財政のことを含めて、自治体は当然一番身近なところですから取り組んでいらっしゃるんです。しかし、それに対して、国の方が、その自治体の取り組みについてもきちんと財政的にも国も考えていくということをやらないと、現に、国は国保その他保険料の方でも見ていますし、住民の方も本人負担分で見てやっているわけです。
 かつて、一九七二年、もう随分古い話になりますが、衆議院で日本共産党の山原議員が質問したときに、当時の滝沢さんという公衆衛生局長が、周辺住民には国が健康管理の立場から実施する必要がある、一般住民の検診について、我々国の方でやはり考える必要があるんだということを、当時既に、一般住民検診について我々の方、つまり国の方もやっていかなきゃいけないというお考えは述べたんですが、あれからもう長い間実現されずにここまで来ていますので、この機会に、これは国の方で、例えばアスベストの健康管理手帳を交付するとか、やり方は今後考えるにしても、きちんとした健康調査をやって、後のフォローを定期的にやっていける、このことをやはり今あわせて考えなきゃいけないと思いますが、これを伺っておきます。

○細田国務大臣 これは、やや技術的な点もございますので、担当の部局ともよく今後協議してまいりたいと思います。
 やはり疾病の症状として何らかのものが出て、健康被害が出て、これはおかしいぞと。異常なせきが出るとか、あるいは肺がおかしいとか、何らかの兆候がどういうふうに出ているかということがあって、それをさらに精密に検査するということに恐らくなっていくんだろうと思います。
 もう既に特定の中皮腫とかそういうものになっている人は当然病名も明らかでございますが、その前段階にある人をどうするかというのはなかなか難しい問題であろうと思いますし、もしその地域が、本当にアスベストの生産等でいわば歴史的に見てもかなり汚染されている可能性のある地域であるかどうかという判断もあります。一億何千万人の全国民を調べるというようなことではないはずでございますから、やはり濃淡があると思いますけれども、今後すき間なくと申し上げている中では、そういったことも含めて検討対象になると思っております。

○吉井委員 一言だけ聞いておいていただいたら、もうお時間ということですから、結構です。
 実は私もアスベストを使った研究をやったり仕事もやりましたから、普通わからないんですけれども、エックス線でなかなかわからなかったんですが、CTで胸膜肥厚というのはわかったんですね。これは、それが進行しないように定期的に検査しなきゃいけないんです。ですから、周辺の住民の人たちについても、健康管理の定期的なフォローというのは物すごい大事なんですね。熊本県の松橋の方ではそれをやっていこうとしてきたわけです。
 ですから、健康診断と後のフォローを本当に進めていくということをやらないと、ほっておいて悪性中皮腫になってしまってからでは遅いんですね。早く管理をする、そういう点では国を挙げてやるというお話ですから、そのことを含めてきちんと対応を進めていただきたいということを申し上げまして、記者会見のお時間だそうですから、次に、国家公安委員長の方に伺いたいと思います。
 ことし三月三十日の内閣委員会で、村田大臣は、愛媛県警裏金疑惑などの問題に関して、「市民の目線に立ってその調査の結果については一定の評価をされるのではないか」と調査などについておっしゃっておられました。警察庁が六月に本委員会に報告書を出したわけですが、あの愛媛県警の調査結果報告書は、資料の公表、科学的な根拠を明らかにされていない問題とか、証明なき結論の押しつけというものと私は思っているんですが、公安委員長は、あの調査結果が市民の目線に立って一定の評価を受けたと考えておられるかどうか、国民の多くの納得を得ることができるものと考えていらっしゃるかどうか、これを最初に伺っておきたいと思います。

○村田国務大臣 この報告書でございますけれども、その調査については、愛媛県の公安委員会の管理のもとに、愛媛県警がさまざまな書類を調査し、それからまた聞き取り調査も行った結果でございまして、そういう意味では、その結果につきましては、私も愛媛県の公安委員長に対しても、スピードアップしてしっかりやるようにという電話でのお願いもしたわけでございます。私どもは、そうした愛媛県警の調査につきましては、公安委員会がそうした調査を了としている以上、私どもも適正に調査がなされたものというふうに考えておるわけでございます。

○吉井委員 実は、愛媛テレビが愛媛県警裏金問題の警察の調査について世論調査をやりました。
 不正流用はなかったという県警側の説明に納得していますかという問いに、納得していないと答えた人は八六・七%ですね。個人的な不正行為だと思うか、組織的なものと思うかという問いには、組織的なものと答えた人が八五・三%なんです。ほかの警察署でも不正があったと思うかという問いには、あったと思うが八五・三%です。
 つまり、これは愛媛テレビの世論調査ですが、これからわかることは、警察が調査で否定してきた不正流用とか組織的不正行為、これはなかった、不正は大洲署以外はないとする調査結果を、圧倒的な人々がそれは本当だと思っていないということを明白に示していると思うんですが、国家公安委員長は、この六月の報告が、六月に出したあの警察の報告書、あれが市民の目線に立った調査結果と言えると思わはりますか。

○村田国務大臣 私ども国家公安委員会といたしましては、愛媛県の公安委員会の判断というものを尊重していきたいというふうに考えておるわけであります。

○吉井委員 尊重するのと、市民が、要するに、八五%を超える方があの報告書というのはもう全然信用できないと言っているんですから、それを、公安委員長の立場だったら、やはり本当はきちんとした解明をするように取り組むのが私はあなたの仕事だと思うんです。
 六月の本委員会に報告されたあの調査結果報告書の警乗旅費問題について伺っておきます。
 あの中で、仙波氏が、ほかの人を含めてですね、要するに列車に警乗したのに手当が出ていなかった問題、この警乗手当が裏金づくりにかかわったという問題がこの警乗旅費の問題としてあったわけですが、警察の調査では、仙波氏の長距離警乗については当時の関係文書のいずれにも記載がないとして、仙波巡査部長は長距離警乗に従事していたことは認められなかったとしていたわけです。
 極めて不思議なことで、調査結果を発表した愛媛県警の長谷川警務部長は、当時の鉄警隊長から、長距離警乗に消極的だったから命令しなかったんだという証言がされているんですね。記者会見で言っております。警察庁の安藤官房長も、六月十四日の参議院内閣委員会で同様の発言をしております。
 しかし、この長距離列車警乗というのは、警ら、警戒警備、雑踏警備などと並ぶ鉄道警察隊の基本的な任務なんですね。当時は駅頭警戒と並ぶ二本柱とされていたんですよ。そういう任務であったわけですが、鉄道警察隊の基本的任務であり、当時の重点任務である長距離警乗に本人が消極的だったからといって任務を命じなかったという言い分は、これはちょっと信じがたいんですね。
 大体、警察は上意下達の組織ですから、そういう場合は任務だということできちっと命令するわけですが、警察の言うのが事実だったら、命令に反する勤務態度不良として処分があったことになると思うんですよ。
 私の調査によれば、逆に、仙波さんは勤務優秀で何回か表彰を受けていることがわかったんです。警察では表彰を記録し、保管していると思いますが、仙波さんはどういう表彰を受けられたんですか。

○安藤政府参考人 お答えいたします。
 仙波巡査部長は、これまで警察本部長から十件、警察署長から六十三件など、合計七十八件の表彰を受けているものと承知しております。

○吉井委員 四国管区警察局公安部長からの賞までもらってはるんですね。
 この賞は、一九九九年六月に、京都、岡山、愛媛、高知、香川、福岡の四管区、六府県が捜査共助、指名手配していた大物すりを松山駅で逮捕したことがあって、重要な指名手配の犯人を逮捕したのは愛媛の鉄道警察隊で初めてだということで、この犯人逮捕によって仙波氏は四国管区から表彰されたと思うんです。しかも、これは仙波さんが鉄道警察隊に異動してわずか四カ月後のことですね。同じ時期に、仙波さんは長距離警乗に消極的だと隊長に判断されたということになっているんですね。
 基本的な任務に消極的な者がどうして、先ほどたくさんの表彰をもらったということですが、警察の職務上著しい業績ある者が表彰されるような犯人逮捕ができるのか。これは普通の国民の感覚からすれば、委員長もそのように思わはるでしょう、不思議なんですよね。
 一方で職務に消極的と評価し、一方で四国管区の表彰を受けるような優秀な警官と評価している。これは、国家公安委員長、どうですか、評価が全然違うじゃないですか。

○村田国務大臣 その表彰の評価あるいは職場の長としての評価、それぞれその時点においてあったんだろうというふうに、私は今委員からの御説明を伺っておりまして、それぞれのケースにおいてそれぞれの判断があったんだろうと私は思っております。

○吉井委員 要するに、ことしの初めにこの委員会で取り上げましたのは、ほかの人も警乗手当は国から出ていても受け取っていない、受け取っていないのにそれがどこへ消えたか。これが、金額は一つ一つは小さいけれども、警察の裏金というものになっている原資じゃないかということを私はそのときに提起したものです。
 それで、いずれにしても、鉄警隊へ異動して、その方が消極的だといって長距離勤務に乗せなかったというんだけれども、この人は非常に大きな大手柄を上げて管区警察局の方から表彰されるぐらいですから、私は、やはり警察の職務に消極的だったからというふうな言い分は全くためにするものであって、本当はやはり、では、これはまた別の機会にしますが、警乗旅費をだれがどのように受給したかというこの事実を全面的に公開すれば明らかになってくるわけです。
 ですから、委員長にお願いしますけれども、やはりことしの春の国会でも、そういうことを、事実を明らかにしようということで、裏金問題の究明と是正に資料を全面的に開示してもらうことやら、それから、前国会から懸案になっております仙波さんの参考人招致などをぜひ実現していただいて、本当に、委員長が所信あいさつでお話しになったようにうみを出し切るように、本委員会としても徹底的な究明を行う、この立場でぜひ、私たちも頑張りますから、委員長にもぜひ計らっていただきたいというふうに思います。

○佐藤委員長 理事会で相談します。