162国会 衆院・内閣委員会 2005年6月3日

 村上国務大臣・・・・村上 誠一郎・規制改革担当大臣
 滑川政府参考人・・・滑川 雅士・内閣府構造改革特区担当室長
 河政府参考人・・・・河  幹夫・内閣府市場化テスト推進室長
 横田政府参考人・・・横田 尤孝・法務省矯正局長
 金森政府参考人・・・金森 越哉・文部科学省高等教育局私学部長

 
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、最初に監獄法等の特例についてから質問したいと思います。
 それで、今回の監獄法の特例による大幅な業務委託ですが、刑務所のPFIと一体で行われるもので、行刑施設の建設や運営を大きく変えるものになってくると思います。
 刑務所業務については、これは食事の提供、洗濯、掃除など民間委託が可能な業務があることをもちろん否定するわけのものじゃありません。また、今回の刑務所医療機関を市立病院に委託するという措置も、まあ、当然の考え方だろうと思います。
 刑務所医療機関の民間委託というのは、行刑改革会議で、刑務官の受刑者に対する暴力問題に関係して、矯正医療のあり方の問題として提案されてきたものであって、もともと、本来PFIとはこれは別のものだということを言っておかなきゃならないと思うわけです。
 そこで、政府参考人に幾つか伺いますが、今回の監獄法の特例とする民間委託を可能とする収容監視、職業訓練、健康診断、信書の検査補助、領置物の保管などの業務について、これは従来は法務省は民間委託を拒否してきたと思うんですね。刑罰や保護の処分というのは国の主権にかかわる重要な公権力の行使であるということで法務省は従来反対してきたわけですが、今回これがどのようにクリアされているのかを伺います。

○横田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十四年度の総合規制改革会議におきましては、民間参入の拡大による官製市場の見直し、そういう観点から議論がなされまして、国の事務事業のうち民間への委託、移管が可能な事務として、刑務所の事務が対象とされました。
 この官から民への事務の移管の手法につきましては、民営化や包括的な業務委託も含まれておりましたところ、法務省といたしましては、刑務所の事務は捜査や裁判とともに一連の刑事司法手続を構成するものでございまして、国家刑罰権の実現という、まさに主権の行使に直接かかわるものでありますことから、民営化や包括的な業務委託にはなじまないと考えました。
 しかし、その一方で、刑務所では権力的な事務から非権力的な事務まで幅広い事務を行っておりまして、このうち、受刑者の身体、財産を直接侵害する実力行使や、受刑者に対して直接に義務を課し、または権利を制限する処分を伴う事務といった、およそ民間委託にはなじまない事務以外につきましては、PFI手法の活用も含めた民間への部分的な業務委託は可能であると考えまして、その対象となる事務及び民間委託のあり方については今後検討を進める旨総合規制改革会議に示したところでございます。
 要するに、私どもは、民営化や包括的な業務委託、これはできない、そういうスタンス、しかし一部の業務については、例えば法律上の根拠を置くなどの措置をとればできるというふうに考えたところでございます。
 それで、こうした考えに基づきまして、山口県美祢市の刑務所のPFI事業では、施設の設計、建設のほか、施設の警備や受刑者の処遇の一部など運営も含めた民間委託を行うとしたものでございまして、運営のすべてを委託するいわゆる民営刑務所の整備を行うことは考えておりません。
 以上でございます。

○吉井委員 美祢の話はまた後ほど伺いたいと思うのですが、二〇〇二年六月の規制改革会議に出した法務省の回答は、今冒頭におっしゃったとおりのことなんですね。
 法務省の反対理由というのは、要するに業務が公権力行使の中心か否かの問題ではなかったわけで、刑罰、保護処分というのは国の主権行使にかかわる事務事業だから民間に移管できる事業、事務ではない、ここが一番根幹の部分なんですね。刑罰、保護処分のこれらの事務事業の性格は実のところ変わっていないと思うんです。だから、もう一遍確認しておきますが、問題点はクリアされていないということになるのじゃないですか。

○横田政府参考人 繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、やはり刑罰の執行、そういう国家刑罰権の実現、そういう主権の行使に直接かかわる部分につきましては、これは民営化や包括的な業務委託はできない、なじまないという考え方でございまして、このことは今回の法案におきましても何ら動くところではないというふうに理解しております。

○吉井委員 事務事業の性格は変わっていない、なし崩しに民間委託を拡大する。
 なぜ法務省が態度を変えたのかということで、新聞で紹介されているのは、不祥事が相次いで明るみに出たことで事態が一変、法務省は条件つきでPFI刑務所を認めることにしたというふうに言われていますね。
 PFI刑務所では、これはことし三月のパブリックビジネス・リポートに、矯正局総務課西田博国際企画官が語るということで紹介されております。
 御存じのことと思いますが、PFI刑務所では、受刑者の生命財産を直接侵害する行為以外何でも民間化する。レポートの方でさらに、紹介している側の書いている文章ではありますが、「「市場化テスト導入刑務所」のモデルケースにもなりそうだ。」と書いていますね。
 これでは公権力行使の範囲がやはりなし崩しに狭められて、限りなく民営化に接近する。こうした無原則的なやり方というのは、これは国の責任を後退させるということにつながっていくと思うんですね。法務省はそこのところはどういうふうに考えてはるのか、伺います。

○横田政府参考人 お答え申し上げます。
 なし崩し的に主権の行使の一つである国家刑罰権の行使といった業務がどんどん民間に行ってしまって、委員のおっしゃるのは、恐らく、最終的には民営刑務所になってしまうのではないかという御懸念かと思いますけれども、私どもは、繰り返しになりますけれども、民営刑務所、あるいは刑務所の業務一切合財を民間委託に、いわゆる俗な言葉で丸投げをするということは決してございません。
 先ほど来、別の委員の御質問にもお答え申し上げておりますように、やはり刑務所の業務を細かく見ていきますと、いろいろな性質、いろいろな内容がありまして、それはそれぞれ個性があるわけですけれども、それを大きく分ければいろいろ分類できるわけで、その中でやはりきちっと法律の根拠を置いて、そしてさまざまな担保措置を講ずれば、それは民間に委託していいのじゃないかという事務があるわけでございますので、それについて今回いわゆる特区法によって可能ならしめようというのが趣旨でございますので、繰り返しになりますけれども、御懸念には及ばないと考えております。

○吉井委員 今のレポートに書いてある市場化テスト導入刑務所のモデルケースという話ですが、やはり今回の措置は、PFIと特区で民間委託と制度の複合的活用というのが特徴なんですね。つまり、公務の民間化制度をかなり使ったやり方なんですが、これは今後、市場化テスト導入が今検討されておりますが、公務とか公権力の行使を民間化するということがますます進んでいくということになると、これは国の責任放棄につながっていくという問題が出てきて、非常に懸念すべき問題なんですね。
 そこで、村上大臣に伺っておきますが、刑務所の建設や運営の民間化、規制緩和はこの法律の範囲内までで、刑務所民営化はしないのだ、このことはきちっとここで言えますね。

○滑川政府参考人 今回御提出申し上げております監獄法等の改正におきましては、一部事務の委託ということでさせていただいております。それから、先ほど法務省当局から御答弁がございましたように、民営刑務所というのは困難というふうに御答弁されております。私どもはそういうふうに法務省の御答弁を受け取っているという状況でございます。

○吉井委員 ですから、一部事務の民間委託までなんですよ。だから、大臣、そこで聞いているのですよ。ここまでであって、刑務所民営化はしない、そういうことで臨みますね。

○村上国務大臣 委員は御聡明ですからよくおわかりだと思いますけれども、公権力の行使にかかわることについてはしないという前提でやりますから、そう単純には民営化という話にはならない、そういうふうに私は考えています。

○吉井委員 しかし、これはこれからやっていこうという話ですから、やはり参考になるのは、実際にPFI刑務所で大幅な民間委託というのが民営化への第一歩になっているという、アメリカの実例を我々は見ておくことが大事だと思うんですよ。
 刑務所民営化のアメリカの実例を見ますと、いろいろな問題が起きていますね。アメリカの民営化も、当初は業務委託から始まっています。その後、受刑者の過剰拘禁、そして政府の財政支出の削減などを契機にして、企業のビジネスチャンスだとして民営化が進んでいったわけですよ。
 刑務所の民営化後、移民者の犯罪に重罰化が行われて、移民者に重罰を科して拘禁者をふやすという政策に変わってくる。つまり、アメリカでは民営刑務所産業が働きかけたことがそこで問題になってきたわけですね。
 民営刑務所の経営安定のためにはいつも受刑者で刑務所をいっぱいにしておかないと経営がなかなか大変だ。これは企業の特質としては、自分のところの経営を成り立たせるという発想はよくその部分に関してはあるにしても、そういう特質を持つ民営化というのは、これは本来行刑政策とは相入れないと思うんですね。
 これは政府参考人に確認しておきますが、これは相入れないでしょう。

○横田政府参考人 同じことで申しわけございませんけれども、私どもはこういう刑務所の民営、国家刑罰権の行使を全部民間にゆだねるということは、これはまさに主権の、国家刑罰権の極端に言えば否定だと思いますので、そのように考えておりません。

○吉井委員 考えていないというのをずっと貫くということであれば、そういうことにならないと思うんですが、アメリカの場合は、やはり最初は業務委託から少しずつ少しずつこじあけて、なし崩しで結局、民営刑務所に変わっていったわけですね。
 刑務所民営化で見ておく必要があるのは、アメリカの刑務所不況と今言われているんですね。アメリカの刑務所不況と各国の民営化導入の流れ、これは特に、日弁連は提言の中で、この点では、「ごく最近、カナダ、南アフリカでも民営化が決定した。このように、民営刑務所は急速に広まりつつあるが、イギリスの旧植民地やアメリカと極めて近い国に限定されている。」「アメリカ本国での民営化の停滞と後退により、アメリカを中心とする刑務所民営会社は、発展途上国への民営刑務所計画を輸出しようとしている。たとえば、二〇〇三年韓国でも、agape社が六百人定員の民間運営の刑務所の入札に成功し、二〇〇五年に開かれる予定」だというんですね。日本にあらわれている一連の動きも、このようにアメリカを中心とする刑務所民営会社の販路拡大の一環と見るべきであるというのは、これは法曹界からも指摘されているところであります。
 そこで、村上大臣、私、さっきの質問であなたに言ったのも、こういうふうな動きになっていくことについて、業務の一部民間委託なんですという話でとどまるのか、ずるずるといくのかというところがやはり非常に問題になってくるところで、大臣はこうしたアメリカの刑務所産業の動向についてはどういうふうな認識を持っておられるか、伺います。

○村上国務大臣 委員の御指摘もわからぬではないんですが、まず、アメリカと日本との風土というか文化が随分違うんじゃないかなという気がするんですね。それからもう一つは、先ほど来法務省が説明しているように、公権力の行使に関することについては、今回のモデル事業においても外していますし、今後においても外す方針でありますから、多分、日本の風土や文化やそういう方針でいけば、委員の御心配は当たらないんじゃないかな、そういうふうに私は考えています。

○吉井委員 大臣も私も戦前に生まれて、戦後、学校で……(村上国務大臣「私、戦後ですよ、済みません、十年先輩なんです、徹底的な民主主義教育を受けていますから」と呼ぶ)ああ、あなたはそうか。いやいや、随分アメリカナイズされてきて、だから、日本の文化とか風土とかいっても、そう簡単なものじゃなくて、特に最近の弱肉強食の自由競争至上主義といいますか、十年ほど前の規制緩和万能論が展開されたころから随分変わってきているわけですから、日本だから心配ないよというのは簡単に言えるような話じゃないので、私はそこのところをきちっとしておかなきゃならぬというふうに言っているわけです。
 さっき出ておりました山口県美祢市のPFI事業によって刑務所を新設するということに伴ってとられる、これは今国会の特区の措置でもありますが、先日、ここは新日鉄、セコム、清水建設を中心にした美祢セコムグループが落札したわけですね。地元では地域活性化と期待していたんですが、地元企業の入り込む余地は、要するに大きいところがとっちゃうわけですから、なかなかないんですね。
 PFIで物をつくるというのは、私たちの住んでおりました赤坂宿舎でもそうなんですけれども、大体それをとって、あと管理から皆やっちゃおうというわけですね。だから、言われているのは、四月六日のNHKの「クローズアップ現代」でもこれを紹介していましたが、地元企業は入れてもすき間程度と。すき間産業、すき間を探して、どこかちょろちょろと入るかどうかというところですね。
 ちょっと聞いておきますけれども、地元企業の受注額というのは、全契約総額の中で何割ぐらいになると、つまり、地元の活性化というからには、八割、九割が地元だったらわからぬこともないんですが、実のところ、ほとんどこの受注割合というのは、余りめどが立ってこない。まあ、そこの下請、孫請ぐらいはひょっとしてあるかもしれませんが、何かどれぐらいの割合で見通しが立つとか、見通しについては検討されたことがあるのかどうかだけ伺っておきます。

○横田政府参考人 お答えします。
 具体的に言えば、美祢のPFI事業、予定している刑務所ですけれども、ここで、今おっしゃったように、いわゆる美祢セコムグループが落札をいたしました。グループとしては大企業でございますけれども、今委員もちょっとおっしゃいましたけれども、言ってみれば、この下でまたいろいろ、人を供給したり、あるいは資材を購入したり、供給したりといったさまざまな経済活動が行われるわけですけれども、それにつきましては、地元の企業、事業者を使うということが契約の内容といいますか、基準の中に入っておりますので、その点については、できるだけ地元の活性化につながるような運用の仕方をしてまいることになります。
 具体的にどのくらいの割合かということにつきましては、これはまだ今動き出したばかりでありまして、そこまでまだ具体的に検討しているわけでもありませんし、実際に動いてみないとまたわからない部分もあろうかというふうに思います。

○吉井委員 ですから、NHKでも紹介されたように、地元企業は入れてもすき間程度だ、すき間産業ですと、結構、東大阪の中小企業なんかは物づくりでやるわけですけれども、本当にすき間程度のものだというのが言われているところなんですね。
 PFI方式をとると、大きな受注額で、受注の多くの部分は、やはり新日鉄とかセコムとか清水建設の分野なんですよ。二十年間の長期計画、それから今後の全国展開が望める。ですから、そういう点では、大企業にとっては非常に魅力のある仕事なんですね。地元の中小企業の活性化に役立つかどうかについては、多分、少しぐらいはなるんじゃないかという期待はあるにしても、余り大きなもうけ口になるような話でもない。
 では、一体だれがそれを進めているのかということで、これは規制改革・民間開放推進室の体制を出していただいて見てみると、要するに規制改革・民間開放推進会議の委員十三名のうち九人の方は、これはトヨタ、ソニー、三井住友海上、セコムなど、ずらずらと大企業の役員の方が並んでいるわけですね。
 事務局は、規制改革・民間開放推進室、これは室長以下三十三人のメンバーのうち十八人と、過半数以上が民間企業からの出向者なんですね。室長一人、参事官一人、企画官三人、室員二十八人、その中で、企画官三人中一人、室員二十八名中十七人が民間からの出向者。
 まず、この推進会議と推進室の構成について、私が今申し上げたこと、これは数字の点だけ確認しておきます。

○河政府参考人 私、直接その推進室の担当じゃございませんけれども、同じフロアで仕事をしている者として、今おっしゃっている数字は正確だと理解しております。

○吉井委員 ですから、結局、小泉内閣が言ってきた官から民へということで、今進めている公務の民営化ですね。大企業の側は百年に一度のチャンスだ、パブリックビジネスだ、五十兆円市場だということでウの目タカの目でねらっているというのが、これは経済誌等でも紹介されているところです。
 そして、トヨタ、ソニー、セコム、オリックス等々、これでは情報はいち早く、要するにこの会議に出ているんですから、出向元に流れてくる。公正さを欠き、いわばこれらの大企業が、みずからのためにみずからの仕事をつくり出している、ビジネスチャンスとしてやっているということになってくるわけですから、私は、こういう官から民へという言葉だけで踊っちゃいけない。本来、民といったら国民の民であっていいはずなんですが、これだったら民間の一部の大企業の民になってしまう。
 私は、やはり官から民だけでいいのかということが今問われているということをまずこの点では申し上げて、次に、学校法人の関係に移りたいと思います。
 私立学校法の特例の問題ですが、今回の法案のポイントは、要するに地方公共団体が施設を提供する、株式会社が公私協力学校法人を設立しようというものです。
 公私協力学校法人をめぐっては、文科省は昨年まではこの提案に対してCランク、つまり特区としては対応不可という方針でありましたが、その方針を変更して、今回私立学校法を特例化し、学校法人の資産要件を緩和した、その理由というのは何ですか。

○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
 検討の経緯ということに関してのお尋ねでございますが、私どもでは、いわゆる骨太の方針二〇〇三などにおける公設民営学校について、中央教育審議会での議論も踏まえ、具体的な制度のあり方につきまして、構造改革特区に関する提案の趣旨を最大限実現する、また、公立学校の性格に照らし、法制上の課題等を踏まえるなどの観点から検討を行いまして、今回、構造改革特区における公私協力学校の制度としてその実現を図ろうとしているものでございます。

○吉井委員 要するに、学校法人の資産要件を緩和した理由は何ですかということを聞いているんです。

○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の公私協力学校制度では、地方公共団体と民間主体とが協力して設立いたします協力学校法人の設立認可に当たって、都道府県知事による資産要件の審査を要しないこととする特例措置を講じております。
 なぜこういう特例措置を講じるのかということでございますが、通常の学校法人は私人の寄附財産により設立され、その運営経費につきましても基本的に授業料などの自己収入により賄うのが通常でございます。このような法人につきましては、継続的、安定的な学校経営を担保するためには、法人設立時において相当の財産的基礎の保有を求めることが必要でございます。
 しかしながら、一方、協力学校法人につきましては、校地校舎などの必要な基本財産を特区地方公共団体が提供いたしますとともに、毎年度の運営費につきましても、協力学校法人の自己収入のみでは不足する分を特区地方公共団体が補助するなど、通常の学校法人とは異なり、協力学校法人の資産については特区地方公共団体が責任を持って支援を行うことといたしております。こういうことから、協力学校法人につきましては、都道府県による資産要件の審査を省略して学校法人の設立を認めることとしたものでございます。
 この特例措置によりまして、公私協力学校が設置しやすくなり、民間の創意工夫を生かしつつ、地域のニーズに的確に対応した特色ある学校の設置が促進されることとなると期待しておりまして、生徒等や保護者に対してもより多様な学校教育を提供できることとなるものと考えております。

○吉井委員 私は、民間の創意工夫とか、余りその種の呪文を唱えてやることはうまくないと思うんですよ。
 公設民営というんですが、実際は学校施設、資産を持たない株式会社が学校経営を行う。株式会社の最大の目的というのは株主利益の追求なんですよ。では、なぜ学校法人という法律で資産要件を示してきたのか。やはり意味があるわけですね。それは、教育を受けることを求めるすべての人たちに教育サービスを安定的に供給することを通じて、教育理念の達成ということが根底にあるわけですよ。
 だからこそ、経営破綻とか倒産だということで教育が放棄されたらこれは大変な迷惑が及びますから、そういうことにならないように資産要件をきちんとする。もちろん、私学助成その他、それはいろいろな面については、大臣も私学助成では地元で御要望を受けられて、いろいろ頑張ってきはったと思うんですよ。そういうことがあるわけなんですね。
 今回の特例措置というのは高校と幼稚園に一応限っていますが、特区の次には義務教育への範囲を広げていく、そういう布石になってくるんじゃないかと思うんですね。文科省、そこはどうなんですか。

○樋口政府参考人 今回の公私協力学校につきましては、御案内のとおり、幼稚園と高校についてまず特区で試みとしてやるというものでございまして、私ども、義務教育の問題は、先ほどもお答え申し上げましたとおり、地方公共団体に小中学校の設置義務が課されている、あるいは授業料の面を見ましても、無償制の義務教育と授業料を取る幼稚園、高等学校教育とはおのずから異なるということで、やはり義務教育制度の根本にかかわる問題だということで、こういう制度的な、財政的な問題については十分慎重に検討していく必要があるというのが私どもの基本的な考え方でございます。
 まずは幼稚園、高校におけるこの特区での試行というものを十分目指していただきながら、その成果を十分検証しながら、今後の課題として研究をしてまいりたいと思っております。

○吉井委員 何か幼稚園と高校で実験をやってみて、それならば義務教育もというお考えに聞こえますが、それは本当に大変なことだと思うんです。
 北九州で今、株式会社の公設民営の高等学校法人設立計画がありますが、ずっとレクを聞いておりましても、実は公募されていないんですね。公の自治体の施設を使って、ここは施設は使って株式会社で経営するというからには、類似の株式会社が七つ八つあるわけですから、本来公募するとか競争入札とか、仮にこの方向に行くにしても、やはり公正なものじゃないといかぬと思うんですね。
 ところが、この仰星国際高等学園という名前の株式会社は、既にホームページ等では、もう企業情報で、平成十八年四月一日、学校法人認可が決定していると書いているし、民間主体の選定継続に当たって、地方公共団体の政策意図その他の条件をあらかじめ公表された上で公正な審査で決められなきゃいけないのに、そんなこと全然お構いなしなんですね。特区というのは公正さは要らないんでしょうかね、公募は要らない。それから、議会決議も、地方自治体の場合、公共財産の場合は必要なんですが、そういうのも何もない間に、もう決まりましたということでやるようなやり方、これが正常なんでしょうかね。
 私、最後に伺っておきたいのは、学校法人といっても実質的に株式会社が設立する学校なんですが、だから、営利のためには授業料の値上げとか、経営の破綻とか、教育を受ける側の負担や犠牲の問題を常に考えておかなきゃいけないんですね。もともと学校法人というのはそこを考えてやってきたわけですよ。
 公私協力学校の設立に当たって、株式会社は無償または廉価で地方自治体の施設提供を受けることができる、しかも、譲渡された施設を抵当に入れることも可能だし、経営破綻した場合も、もとの自治体所有の施設がどうなるかわからないということがあります。そして、ここは、一応公私協力にしても、学校法人ということで、法人税とか地方税の税の優遇も受けるわけですね。それでは、モラルハザードを防止する保障措置は一体あるのか、ここは非常に大事なところだと私は思うんです。
 時間が来ましたので、大臣、モラルハザードを防止するための保障措置、大臣として何かお考えなのか、伺います。

○松下委員長 簡潔に答弁お願いします。

○金森政府参考人 お答えを申し上げます。
 今回の公私協力学校の制度におきましては、特区地方公共団体が公私協力学校の施設設備や運営費について支援を行います一方で、当該学校の設置運営に関し一定の関与を行うことといたしております。
 すなわち、公私協力学校の教育内容や教育水準につきましては、特区地方公共団体が公私協力基本計画においてその基本的方針を示しますとともに、毎年度の事業計画や収支予算につきましては特区地方公共団体の長の認可に係らしめるなどにより、学校運営の適正を期することといたしております。
 こういう仕組みから申しまして、公私協力学校につきましては、これらの仕組みによって適正な学校運営を十分確保できるものと考えております。

○村上国務大臣 まず、先ほどの御質問でお答えを要求されなかったんですけれども、委員御高承のように、行政改革だとか規制改革を真剣にやればやるほど、ぶつかり合ってあつれきが出てくるわけですね。そのために、規制改革のメンバーや、いろいろ言われるんですけれども、私は、一緒に仕事をさせていただいて、そういう人たちが我田引水のようなことは一切していないですし、また、そういうことで判断していないというふうに確信しています。
 それから、いま一点、これは本来はやはり南野法務大臣や中山文部大臣の範疇だと思うんですが、刑務所の業務についても、それから義務教育の内容の質についても、両大臣とも多分私と同じで、質を下げたり、また、安易に民間に委託するというようなことは毛頭考えていない、そういうふうに私は考えております。

○吉井委員 思いは思いとして伺うにしても、現実はそうじゃありませんので。
 さっきのモラルハザードというのは、公募という公正さが欠けているところからモラルハザードにつながるものが既に始まっているということだけ申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。