|
162国会 内閣委員会 2005年4月15日
西川(京)議員・・・西川京子衆院議員
後藤田議員・・・・・後藤田正純衆院議員
井貫政府参考人・・・井貫晴介・水産庁増殖推進部長
高橋政府参考人・・・高橋 直人・農林水産省大臣官房審議官
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
きょう、私は、法案の第7条、環境と調和した生産について、また食糧自給率について触れている部分についてですが、ここを中心に質問したいと思います。
政府参考人に最初に伺っておきますが、アサリガイの産地の表示が最近社会問題になってきておりますが、我が国のアサリ生産を見ると、1990年に7万トンを超えていたのが年々減少して、一昨年の統計で5万トンを切っている。反対に輸入量の方は、1990年の3万トン余りだったものが、2000年の約7万6千トンをピークにして、若干今は減っているようですが、明らかに輸入の方が国産を上回っている。アサリの面でも自給率がぐんと落ちてきているわけですね。
なぜアサリ生産が落ちたのか、自給率が落ちたのかについての考えを伺っておきたいと思います。
○井貫政府参考人 アサリの国内生産量につきましては、昭和58年の16万トンをピークに近年では3万トン台まで減少しております。このような状況を見まして、水産庁におきましては、平成15年度から17年度までの3年間の予定で、独立行政法人の水産総合研究センター、それから都道府県等と連携いたしましてアサリ資源全国協議会というものを開催いたしまして、アサリの生態の解明や効果的な増殖手法の研究に取り組んでいるところでございます。
この協議会におきまして、アサリ資源の減少の原因として、海岸線の埋め立てによります生息適地の減少、生息の場であります海底の底質の悪化、それから貧酸素水の発生によります窒息死、そして過度の漁獲による親貝の枯渇等が挙げられておりますが、現段階では必ずしもそれぞれの原因の特定には至っておりません。
引き続き、アサリの増産につきましては、方策を確立するため、この本協議会を活用いたしまして、関係者間で原因の解明に努めてまいりたい、そしてアサリの自給率を高めていきたいというふうに考えてございます。
○吉井委員 農業、漁業ともに自給率をどう高めるかという発想で、今アサリを1例に挙げているわけですが、グラフで見ましても、最近ちょっと上がってきた。ところが、上がってきているかと思うと、中には、これは熊本日日のインターネットで引いた報道でも出ていますが、北朝鮮産アサリが九千トン入ってきて、あるものは中国産に化けたものがありますが、熊本産というのに化けているものもある。
つまり、こういうふうになってくると、国産の自給率のカウントがそもそも減っている中でも最近少し改善されたかのように思ったら、実はどうもそうでもないということもあり得るわけで、ですから、私は、この点では、水産物の表示は、JAS法では国産品の場合は水域名か都道府県名を、輸入品の場合は原産国名を表示しなければならないとなっていますね。
ところが、食品の表示は食の安全と非常に深い関係があるんですが、ちゃんと表示されておれば、食育基本法の立場で食について関心を高めた消費者が安心して食生活を送れることになると思うんですが、しかし、そもそもこういうことがあると、消費者には全くわからないわけです。
だから、報道によれば九州の2つの業者が北朝鮮産などのアサリを有明海産、熊本産として表示していた問題などありますが、農水省は業者に改善を指示したというんですが、このアサリの表示について、実態調査をどのように進めて、どういう結果になっているのかも伺っておきます。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
私どもは、日ごろから食品の原産地表示に関しましては調査を行っているところでございますが、本年1月から、アサリにつきまして表示根拠の確認調査を実施しております。2月末までの調査状況といたしましては、小売店舗1343店舗、それから中間流通業者につきましては346事業者の調査を行っております。
この中で、小売店舗におきましては38商品、それから中間流通業者におきましては30商品の不適正表示を確認したところでございまして、これらにつきましては、その発生原因も含めて確認調査を行った上で文書指導などの措置を講じております。
それから4月1日には、今委員からお話がございましたように、この調査の中で不正表示が確認されました1輸入業者及び1小売業者に対しましてJAS法に基づく指示を行い、その旨を公表したところでございます。
なお、この確認調査はなお継続中でございまして、今後さらに、さまざまな案件があれば適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
○吉井委員 調査中でもあるということですから、速やかに進めて報告されたいと思います。
輸入業者とか流通業者にとっては、これは余り問題にならないのかもしれませんが、しかし、消費者にとって大事な問題は、私は、例えばアサリについて3つあると思うんですね。
1つは蓄養と言われているものです。有明海などでは、輸入されてきたアサリを蓄養場に入れて、輸入のアサリをばらばらとばらまいて、2、3カ月したら、これを地元産と表示して売られるという問題とか、輸入品が干潟で国産品に化けてしまう。農水省は、原産地は最も生育期間が長い場所が原産地国という見解ですが、生産者との解釈は異なっているように思うんです。解釈があいまいでは食の安心には結びつかないと思うんですね。だから、線引きをきちんとせないかぬと思うんです。
つまり、生産者も流通業界も消費者も判断に困ってしまうような表示はまずいので、原産地何々国、蓄養地何々県とか、あるいは、稚貝で入れて今の基準からすると国産になっているものについても、稚貝の原産地はどこどこ、生育地はどこどことか、やはり、そのアサリならアサリがどれぐらい日本の漁民の皆さんの手できちんと安全が管理されて生育してきたものかとか、消費者がそこをわかるように表示するということが大事だと思うんですが、この点について政府参考人に伺います。
○高橋政府参考人 ただいま、現在では、畜産物あるいは水産物につきましては、その生育期間の最も長い地区を原産地と表示するというのは、これはルールでございます。この点につきましては事業者の方々にも十分周知をしていまして、このような徹底はされているというふうに考えております。
今お話しの中で、幾つかの場所を転々とした場合にはそれぞれの場所を明示すべきというお話がございましたが、これは、食品にいろいろなものがございます。ほかにも、例えば牛なんかもいろいろな場所を転々としますけれども、そういったすべての食品について、最初の産地から最後までの産地を全部表示するということになりますと、これは大変複数の地名が記載されるということで、実際はその主たる生産地がどこにあるかというのがなかなか表示しづらい。
あるいは、では、それぞれの期間はどれぐらいの長さであったのかもあわせて明示ということになりますと、これは、よく食品のパックにつけますラベルの大きさの問題がございますので、その中の大きさとの兼ね合いでどこまで記載ができるかという限界がございますので、お話の趣旨は私どもも十分理解できるんですけれども、そういった複数の成育地ごとにすべてのものをいろいろ表示するというのは、なかなか現実には難しい問題があるというのは、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
○吉井委員 商品であれば転々と流通するのはよくわかるんですよ。しかし、稚貝なり稚魚なりを入れて、それが転々とすることは、全くないわけじゃないんですけれどもね、それはわかるんです。しかし、それを、飼育、成育地が例えば27カ月で、それでその後蓄養ですか、そこが3カ月であれば、長い方ということで、AとBでいけばAの方が原産地となるんですが、私はそこで、少なくとも主たる稚魚、稚貝の原産地、それからそれこそ長期にわたって生育したところ、そこをやはりきちんと書くことが、消費者にとっても非常によくわかるんですね。消費者に、賢くなれ、食育だと言いながら、そこがあいまいでは、本当のところを言って消費者は情報不足でわからない、これはやはり考えなきゃいけないと思います。
次に、2つ目に、これも政府参考人に伺っていきますが、稚魚、稚貝の輸入問題なんですが、先日、参考人の答弁の中でもありましたが、バクテリアの問題とかがやはり出てくるんですね。コイとサケとクルマエビ属のクルマエビ以外には水産物の種苗の伝染性疾病対策としての輸入許可というのは要らないことになっていますね。
コイヘルペスの場合は、ある意味では池とか特定の水域対策ということで、ある程度感染対策というものが考えられるんですが、しかし、日本の沿岸部の方で稚魚、稚貝等を入れて、バクテリア等を持ち込んできたときには海洋汚染となるんですね。その対策は非常に難しいんです。
もちろん、蓄養の場合も感染問題というのは考えなきゃいけないんですが、私は、この点ではやはり漁業者の方を応援して、日本の漁場の安全対策をどう進めていくのか、そして、日本でとれた魚や貝は安全なんですよということがまた食糧自給率を高めるということにもつながってくると思うんですね。
この点についての参考人の答弁を求めます。
○井貫政府参考人 特に養殖業の関係につきましては、漁場の環境を維持する、それからいい種苗を入れる、いいえさをやって、いい品質に育てるという商品としての養殖業の品質管理が非常に大事だと思っておりますので、その一環の中でいい種苗を入れるというのが、結局バクテリア等の付着物等のない形であるということが基本だと思います。
特定の疾病、非常に大きな被害を与える可能性のある疾病につきましては、先ほど先生御指摘ありましたように、水産資源保護法なり持続的養殖生産確保法で強制的な措置もできる形でとめている、そういう状況で、今後もそういう養殖業の品質管理という中の一環で、そういった種苗の面も厳格に指導していきたいというふうに考えてございます。
○吉井委員 これは、私この間もお話ししたことがあるんですが、我々人間だって、日本の風土病には耐えられる体になっていても、外国の方の熱帯その他のところへ行ったらその風土病には耐えられないということがあるように、バクテリアの問題、微生物菌、細菌の問題というのは非常にきちんと見ていかないと、日本の水産業全体にとって大きな問題になってきますから、今は3つですよね、コイとサケとクルマエビ属のクルマエビということですが、それ以外のものについてもこれはきちんとした対策というものを考えていく必要があると思います。
3つ目に、外国産のアサリの稚貝にまじって放流された中にサキグロタマツメタガイという外来種の巻き貝がいて、これがアサリの稚貝を食べてしまう、食べ尽くされるという問題が起こっています。ブラックバスの問題と同じように、やはり対策をとらないと、日本産のアサリがなくなって、日本産のアサリということで見れば自給率ゼロになってしまう、これは本当に真剣に取り組まないと大変なことになるんじゃないかと私は思うんです。
こういう点では、農業も漁業も、自給率の向上には環境保護という観点からの取り組みも大事だと思うんですね。同時に、農業、漁業が日本の環境を守っていく、そういう立場に立った、外来種の巻き貝等によってアサリが食い尽くされるという問題などについても、やはり、簡単に外国からの稚貝、稚魚の段階でも何でも入れればいいというものではないと思うんですね。そこの対策をしっかり見て、そして、本来は、日本のアサリの稚貝を育てて、日本産のアサリというもの、その自給率を高めていく、こういうことが大事だと思うんですが、この点も政府参考人に伺っておきます。
○井貫政府参考人 先生御指摘のサキグロタマツメタによります被害につきまして、国内の一部の地域において大きな被害が出ているということについては承知してございます。
このサキグロタマツメタといいます巻き貝につきましては、外国からの輸入アサリ稚貝に付着してなり、まじって国内に入ってきたという情報もございますけれども、もともとこの巻き貝は日本にも存在する貝でありますので、その由来については現在のところ判明していないというふうに考えております。
水産庁といたしましては、先ほど申し述べましたが、アサリ資源全国協議会の中で、アサリの親貝、卵、それから浮遊幼生、それから付着稚貝、それからだんだんと大きくなっていく段階、そういった段階すべてを踏まえまして、どういう対策を打てばアサリの資源回復ができるかという観点で考えておりまして、その中でツメタガイ等の食害生物対策も視野に入れて検討しているところでございます。
○吉井委員 そこで、提案者にお伺いします。
私、アサリというのは1例を挙げてきょうは取り上げたわけですが、アサリ1つとってみても、蓄養の問題、稚魚、稚貝を輸入して、入れて育てる中での、外国から簡単に日本の海に魚が入ってくる、あるいは貝類が入ってくるということは本当に大丈夫なのかということをよく見ておかないと、もちろん温暖化の中での海洋環境の変化もありますけれども、これはやはり日本の漁業環境にとっても大事な問題になってきているんですね。
さらには、外来種の害になるものが入ることによって日本のアサリが稚貝の間から食い尽くされていくとか、こういうことを考えたときに、地産地消の推進、食育の推進の向上はやはり当然なんですが、食糧自給率向上の責任を、これらの問題は消費者に求めても消費者はどうしようもないわけですから、やはりここは、見直さなければならないのは、国内の多くの生産者に打撃を与えている輸入の野放しや、生産価格を市場任せにしている問題ですね。
これは、輸入業者やあるいは流通業者、販売業者はもうどうでもいいのかもしれません。しかし、ここは、食育を大事にすればするほど、消費者からすれば物すごく大事なことなんですね。このことをちゃんとしないと、本当の意味での安心、安全な国内産の農産物の自給率を高めるということにつながらないと思うんですね。
ですから、国内の農産物の生産量が本当にふえていくように、そういった角度からも、やはり、この法律を通すとともに、かなり、安全の問題とかいろいろな角度から自給率を高めていくという取り組み、具体的な取り組みなしにはこれは進まないと思うんです。
これをどう進めるのかということについての考え方というものを提案者に伺っておきたいと思います。
○西川(京)議員 先生のおっしゃること、大変共感を覚えます。言うなれば、日本で本当に本来独自にとれていたものを自然に食べていれば、まずもう当たり前の、問題がないということに近づけていくことだと思うんですね。それが、生活圏がすべて大きく広がった中で、今それをいかに近づけていくかということに尽きるんだろうと思います。
そういう中で、今消費者と生産者とが大変距離が遠くなっている、言うなればフードマイレージの距離が物すごく広がっているわけで、それをいかに近づけて、消費者と生産者のお互いの信頼関係を構築する、そのことが本当に地産地消のこれからの拡大につながっていくことだと思います。それは、都市と農村の対流、交流その他、今政府がいろいろなことをして、それを少しでもそういう方向に持っていくように努力しておるところでございますので、ぜひ、その辺の御理解もいただきたいと思います。
そして、自給率については後藤田議員の方からお答えいたします。
○後藤田議員 お答えいたします。
先生おっしゃるとおり、輸入の問題につきましては大変重要な問題だと思います。ただし、やはり、我々の自給率の現状を考えますと、すべて輸入がだめだということになると、我々のフーズセキュリティー、いわゆる食糧安全保障が非常に危機に瀕する。ですから、フーズセキュリティーとフーズセーフティー、そしてまたフーズトレード、この3つをこれからやはり考えていかなくてはいけない。
そのためにも、国民の皆様方に、普及啓発という意味で、全国で今まで唯一、普及啓発活動で成功した例は交通安全運動でございます。これは唯一やっております。これも実は、交通安全普及法ではなくて交通安全基本法でございまして、そのことも最後に述べさせていただきたいと思います。
○吉井委員 不足しているものをいきなり自給でといかないのは当然の話で、問題はやはり、この法律をつくったからには、その方向へ向けて前進させる具体的な施策というものが一番大事で、それなしには本当にこれはただの紙くずになってしまう、そのことをよく心して取り組まなければいけないということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
|