162国会 総務委員会 2005年3月3日

 ※麻生国務大臣・・・麻生太郎・総務大臣         
  山本政府参考人・・・山本繁太郎・国土交通省住宅局長
  
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 昨日、総理質問のときに、ちょうど、高齢者の非課税措置を廃止すると課税対象になる高齢者の中で負担が雪だるま式にふえていくんじゃないかと総理に質問していたら、麻生大臣の方が、雪だるま式と言われるほどのものではないという答弁でありました。
 しかし、実際は、いろいろな制度が皆重なってきますから本当は雪だるま式になるんですが、増税が、制度としてどんなところにどんな影響が出てくるというふうに大臣はお考えか、この点を最初に1点伺っておきます。

○麻生国務大臣 きのう、総理出席のときの話で雪だるまが出ましたので、これは友釣りぐらいのところで雪だるまはなかろうという感じが正直、私の形容詞からいくとそっちになるんですが、国民健康保険料とか介護保険料等々に影響が出るということを多分言っておられるんだと思いますので、私どももそれは承知をいたしております。
 これは確かにそういうことになるので、今私どものの調べた範囲では、国民健康保険料に個人住民税を用いております大都市というのは、全国で49団体ございます。区、市とか、政令都市なんか入れて49団体ございます。こういった大都市を中心とした、まあ大都市ということになるか、区でもありますけれども、そういったところでは被保険者というものに、大都市を中心とした一部の区と市におきましては、国民健康保険料に影響が出るということなんだと思います。同様に、介護保険料にも影響が出るということになっておるんです。
 そういったことを具体的に個々に言うのは、なかなか算出の方法が難しいんですが、税額の何倍というような設定になっている市町村があるということは確かですので、その意味においては、それぞれの制度を運用される市と区、そういったところにおいてこれは検討していただかないといかぬところなんだと思いますので、一概にこれというようなことを申し述べることはなかなかできないんだと存じます。

○吉井委員 国保と介護でもそうですが、総務省が担当していらっしゃる各自治体にはいろいろな制度があって、大体、非課税か課税かによって随分制度の運用が変わってきます。
 それで、友釣りどころの話じゃなくて、これはやはり雪だるま式になりますので、これはそういうものだということをよく踏まえて、総理の方は、やはり何らかの対策を考えないかぬというお話ですが、これは本当に、その考えなしにこれを強行するということはとんでもないことになってきます。これは考えても考えようがない影響が出るものですから、まず、そもそも、こういう非課税措置の廃止というのは考えるべきじゃないということを申し上げて、きょうは、耐震問題、地震対策です。
 この点では、中央防災会議専門調査会が、首都直下型地震災害で死者13000人、避難生活者は700万人、経済的損失は112兆円に上るとの想定をまとめております。これは、いろいろな試算の仕方とか、またはされる方によってその違いはあるかもしれませんが、これに対して大臣は、首都直下型の経済被害想定に関連して、記者会見などで発言されたと伺っておりますが、どういうことを指摘といいますか発言しておられるかを最初に伺っておきます。

○麻生国務大臣 あの出された資料をよく見られたんだと存じますが、この種の話は前提がいっぱいありまして、夕方6時とか、風が風速15メーターとか、極めて最悪な事態というのを前提にして、112兆でしたか、ああいった額になっているというのが大前提なんだと思います。神戸のときはたまたま午前6時前だったとか、いろいろな条件が今回のときと大分違っておりますので、何となく最悪なことを考えて私どもは対策を考えておかねばならぬと思っております。
 いずれにしても、あの例を見てもわかりますように、これは、火災で亡くなる人より圧死して亡くなる数の方が圧倒的に多かったというのはあの神戸の例でもありますので、耐震構造というものに関しましては、これは村田大臣のところが主に担当しておられるんだと思いますが、私どもとしては、こういったことに関しましてはいろいろ考えておかねばならぬということで、今大体、逃げ込むべき消防署とか、また守るべき消防署とか、逃げ込まないかぬ予定の学校なんかというのは、耐震構造はどれくらい完全なものができているかといえば、約五割ぐらいしかできておらぬというようなところでもありますので、こういったところのきちんとした対応をしていかねばならぬと思っております。
 いずれにしても、何十年かに一遍ということで、あと30年で起きる確率7割とかいう数字だったと記憶していますが、そういったものに対応して、私どもとしては、関東大震災以来、常にこういった話は我々の住んでおりますこの地域においては避けて通れぬところでもあろうと思いますので、いろいろなことを考えて、今、技術の進歩のおかげで耐震構造というのも随分昔とは変わっておりますので、そういったものを含めてきちんと対応していかねばならぬものだと思っております。

○吉井委員 この間の会見でも今の趣旨で言っておられて、政府として早急に耐震強化に取り組む必要がある、これはまことに当然の話だと私も思っております。
 文部科学省のデータを見てみますと、公立小中学校の耐震改修率49.1%。だから、50.9%、これがまだ改修をこれから要するところなんですね。現在の新耐震基準で建築されていない81年以前の建物は全体の20.8%ということですから、前年の数字が18.3ですから、1年間に大体2.5%ずつ進捗していく。このペースでいきますと20年かかるんですね。
 大臣も言っておられるように、実際に震災のときに避難する場所自身が壊れたり燃えたりしておったんじゃ大変だから、そこに全力をというお話ですから、今そのことに取り組まなきゃならぬと思うときであります。
 この点では、この問題も重要なんですが、一般住宅の耐震改修の問題に限って、学校はちょっとおいておきまして伺いたいと思うんですが、阪神大震災では、死者の88%が家屋、家具類の倒壊による圧迫死と思われるものだと言われております。新潟中越地震でも、家屋の倒壊で大きな被害が出ました。
 揺れによる死者の数というのは、首都直下型地震で約3300人という想定がありますが、実は、東海地震はその2倍の6700人、それから南海・東南海では6600人、やはり大体首都直下型の2倍ぐらい想定されているんですね。ですから、地震による被害、特に死亡者を少なくするという点では揺れによる死者の数を少なくするということは特別重要なことだと思っているんです。
 これは政府として、耐震化の取り組みの中で、1つは補助の制度もあれば、あるいは融資の制度もあれば、税の減免制度とか、いろいろな誘導的な手法も使って、国を挙げて耐震化を進めるということでは、全力を挙げて取り組む必要があると思うんです。この点についての大臣のお考えというものを伺っておきたいと思います。

○麻生国務大臣 阪神・淡路大震災以降、いろいろな方々がこの種の話を熱心にされておられるのは、私どもよく承知をしているところです。
 今言われた中で、吉井先生、難しいのは、個人の住宅に税ということになりますと、いろいろな形で、それは個人の所有物に対して補助金みたいな話になるので、これは非常に話が込み入るというのが昔からよく言われている話に対して、おまえ、田畑だって個人所有なのにちゃんと補助しているじゃないか、そっちはどうしたという話やら何やら、これは昔からいろいろ御議論の分かれているところなんで。いずれにしても、平成17年において、例の補助金の整理で補助金制度が拡充されておりますが、やはりそのときも、税に関しては見送られたという経緯があるんです。
 私どもは、1番行ってみてわかるのは、あの阪神・淡路のときも、住宅の場合は、古い立派な、かわらの立派な家は全部いかれた。何となく、そうじゃない、屋根の軽そうなところはみんな残ったという例がよく引かれますけれども、家の耐震構造もさることながら、住んでおられる方々の意識の問題というのは、ちょっとコーナーを打つだけ、角を打つだけで全く違ったものになるとか、たんすが全く倒れないように、ひっかけるだけで全く変わったとか、いろいろな話があるので、そんなに金のかかる話ばかりでもないんですが、いろいろな意味で、意識が、もう全く私は関係ないと思っている人が1番亡くなっておられるのが正直な実感なんです。
 1番詳しいのは、多分、国会議員でも、あのとき現場にいた参議院の鴻池祥肇、まさに九死に一生を得て生き延びた運のいい人の1人なんですけれども、あの人の話を聞いていても、見ている目の前で人がばたばた圧死しておるわけです。
 そういったところをくぐってきた経験からいきますと、やはり、たまたまちょっととめてあっただけで自分は助かったとか、そういったのがありますので、私どもは、意識をきちんとしてもらうというのを、これはぜひ、啓発、啓蒙活動というのをやらないかぬのと同時に、やはり補助金というのは、いろいろな形、ちょっとしたことで済む話でもありますので、これは主に消防の話だったり防災の話だったり、いろいろするんですけれども、そういったところは今後とも積極的にやっていかねばならぬものだと思っております。

○吉井委員 個人財産、私有財産についてのお話もありましたけれども、しかし、いろいろな制度はやはりあるわけで、例えば、公害対策、環境対策ということですと、自動車についても、これは個人の財産なんですが、税の減免という形も出てくるし、それから、太陽光発電施設なんかですと、個人の住宅につける、まさに個人の財産なんですが、普及のための補助制度というのもつくられてきました。ですから、個人の私有財産だから云々という話は、これはもうそれを突破して、本当に、政府としても、耐震改修をやはり進めていくための特別の手だてが必要だと思うんです。
 国交省に伺っておきますが、耐震改修促進法をつくって促進を図っているんですが、進展が余り芳しくないんですね。最近の大規模地震というのは、阪神にしても鳥取にしても宮城にしても、今度の中越とずっと続いてきているんですが、大規模地震の起きた地域というのは、歴史地震で被害のあった、まあ東海なんかもそうなんですが、必ずしもそういうところでないところで、想定地域でないところでも大きな地震が起こってきたわけです。ですから、いつ、どこで起こっても不思議じゃない。
 それだけに、政府もまあいろいろ対策を打とうとしているんですが、進んでいないということがありますから、やはり、国交省は、この間の新聞を見ていましても、耐震化率を90%にするということが出ていましたが、国庫補助制度の見直しも検討しているという話なんですね。だから、こうしたことを打ち出してくる背景、要因はどこにあるのかということを最初に国交省に伺っておきたいと思うんです。

○山本政府参考人 我が国の住宅総数、人が住んでおります住宅は4700万戸ございまして、そのうち、建築基準法に基づく新しい耐震基準を満たしていないというふうに推計されるものが1150万戸、つまり、人が住んでいる住宅の4分の1は耐震性が不十分だというのが現状でございます。
 ところで、今御指摘がありました、阪神とか中越のような直下型の地震は、日本列島でいつ起こってもおかしくないわけでございます。そういう意味で、国民の皆様の命を守るという観点から、住宅の耐震化を全力を挙げて進めなきゃいかぬというのが国土交通省の認識でございます。
 国土交通省としましては、これを具体的に進めるために、耐震化の目標を定める。今、90%というのが報道されましたので引用されましたけれども、これは中央防災会議で、直下型ではなくて海溝型の大規模地震、東海とか東南海・南海を念頭に、減災目標を具体的に定めよう、例えば、死者を半分にしよう、10年で予想される死者を半分にするというようなことを考えておられまして、死者を半分にするためには、今75%の耐震化率を幾らにすれば死者を半分にできるかという議論をしまして、それはちょうど90%でございます。もし耐震化率を75から90に上げますと、死者が半分になる。ですから、これは1つのメルクマールで、決めているわけではございません。
 いずれにしても、耐震化のために、税制とか補助制度とか融資とか、御指摘になったような政策手段も総力を挙げて取り組まなきゃいかぬ。それも、国だけではなくて、地域とか公共団体、なかんずく市町村、前に立ってやっていただくことが必要だというので、大臣は、住宅・建築物の地震防災会議を先月発足させまして、できるだけ早く結論を出して取り組んでまいるという考えでございます。

○吉井委員 今のお話で、認識はいいんですよ、目標もまあいいんですよ、やろうと。しかし、現実を見ると、国交省のアンケートで調べた結果によれば、耐震改修実績は、2004年3月31日現在、全国で約3500戸なんですね。さっき、1150万戸必要と言っておられたんですが、実績としてはこれぐらいで、この数字自体も大きくないんですが、国庫補助で行ったものはわずか40戸なんです。国庫補助で40戸、なぜこんなに少ないのか。それから、戸建て住宅に至っては国庫補助ゼロですが、なぜなのか、国交省に伺っておきます。

○山本政府参考人 1番の問題意識は、やはり補助制度ができたのがごく最近であるということと、これは地方公共団体が耐震診断をして、ハザードマップみたいなものをつくって、みんなに問題意識を持ってもらった上で耐震診断をする。問題があるものについて改修していただき、これを補助で助成するという構造になっているんですが、耐震診断については、かなり普遍的に補助制度を用意しております。
 したがって、これについては、かなりのオーダーの補助実績があるんですが、実は、先ほど総務大臣もお話しになりましたように、補助制度については、国の補助金としての非常に強い制約がありまして、今あります制約は、いざ地震が起きて、建物が倒壊をして、道路が閉塞状態になる、これを警戒しなきゃいかぬのに予算が要るんで、それならば、あらかじめ、倒れかからないように改修に助成していいという非常に強い制約がありますので、なかなか使えなかったということがありますが、今般、公営住宅建設費補助金を交付金にいたしまして地域住宅交付金になりましたので、これまで公共団体が地方単独事業でやっておられました改修費補助を、交付金で一般的に応援することになりましたので、ぜひこれを使って前に進めてまいりたいと思っております。

○吉井委員 これは住宅の耐震化に向けて国や地方公共団体がやるべきことという、複数回答を求めた昨年8月のアンケート調査もありますが、今多くの国民の皆さんが求めているのは、耐震改修費用の負担、これは補助とか低利融資とか税金の減免ですね、一番たくさんの方が、63.8%の方が求めているんです。
 だから、補助制度についての議論だとかいろいろな話もありましたけれども、やはり一番大事なことは国民が本当に求めているところにこたえることをやっていかないことにはうまくいかない。
 その点で、従来の制度の延長だけでは、今後10年程度で耐震化率を9割にするなどということにはなかなかいかない。だから、やはり、震災被害で住宅再建に自治体が助成するというのは自治体では当たり前の話になっているんですが、耐震化の促進のために新たな制度の導入とか、これまでの制度の抜本的見直しが必要だと思うんです。
 そこで大臣に、今度の国税の改正では耐震基準を満たす良質な中古住宅を住宅ローン減税の対象に追加する内容などもありますが、特に固定資産税などで、住みかえてとか新しく買っての話じゃなくて、やはり住んでいる家を耐震化工事する場合についても、固定資産税の面など、そういう税の面からも耐震改修を本当に促進していくという対策、これに大臣には意欲的に取り組んでもらいたいと思うんですが、この点についての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

○麻生国務大臣 今の国土交通省の話にもあっておりましたように、補助金を交付金化ということで使いやすくする方向でいくというのは今一定の進歩なんだと思うんですけれども、地方税を軽減するという話になると、吉井先生、これはいろいろ出てくる分野がえらい広いことになりますので、補助金の方が適していやせぬかなという感じはしますけれども、いずれにいたしても検討はさせていただきます。

○吉井委員 これは固定資産税についても、耐震改修すると固定資産の価値が上がるということで上がったりする場合があるんですね。それはやはり耐震化を抑制する方に働きますから、今検討するということですが、ぜひ検討していただいて、耐震化が進むように税の面からもよく取り組んでいただきたいと申し上げまして、時間が参りましたので、終わります。