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第162国会・衆議院予算委員会第5分科会 2005年2月28日
※尾辻国務大臣・・・尾辻秀久・厚生労働大臣、
青木政府参考人・・・青木豊・厚生労働省労働基準局長
○吉井分科員 日本共産党の吉井英勝です。
せんだって、2月14日に、さいたま市で東武バスの運転手の方が、運転中に急性心不全で亡くなられて、これによって交通事故が発生しました。バスの運転手の方などが勤務中にこういう急性心不全等で亡くなられたりすると、それは直接事故につながり、乗客の安全とか、そういう国民にとって大変危険が広がるという問題がありますので、私は、きょうは、バスの運転手の方の過労死の問題について伺いたいというふうに思います。
奈良交通というところが奈良県にあるんですが、最近1年間に3人のバス運転手の方が過労死しています。
実は、一昨年10月31日に、57歳の中井頴さんという方で、(写真を示す)この方、ちょうどお元気なときの、バスの運転席で働いておられるときの姿ですが、この方が、長時間拘束勤務の連続する中で、体調が悪いので休ませてほしいとこの10月31日の朝の早朝点呼のときに勤務交代を会社に申し出られたんですが、なかなか交代要員を準備していないものですから、拒否されたんですね。朝の5時42分の早朝点呼から13時間52分の拘束勤務、もちろん、実際にバスに乗る時間はその間足していくわけですが、それで、この日、7時間乗務されて、その7時間乗務が終わった直後に、ばたんとハンドルを持ったまま倒れられて、解離性大動脈瘤破裂でお亡くなりになりました。私、やはり、これは本当に、運転中にそういうことがあったら大変なことだったと思うんですよ。
そういうことがあったわけですが、この中井さんは、お医者さんの勧めで、健康管理を考えたら、何しろ連続勤務が続いていますから、リフレッシュ休暇というのをとる、つまり労基法上の有給休暇の届けを出すように言われて、出されたんですよ。これも拒否されたんですね。その上、数日前の勤務時間中の突発的な事故の処理にかかわって強い精神的ストレスもありまして、こういう過労死という不幸な事態になったんですが、私は、この中井さんの過労死という不幸な事件が日本でやはり最後となることを強く願って質問したいと思っているんです。
最初に政府参考人の方に伺っておきますが、現場の奈良労働基準監督署長からは、労災認定の協議が本省の方に上がってきているというふうに伺っておりますが、このことはまず承知していらっしゃるかどうかを一言伺っておきます。
○青木政府参考人 今お話にございました件につきましては、平成15年10月31日に死亡なされました中井さんについては、16年5月11日に労災の請求がなされております。現在調査中でございます。
○吉井分科員 医者の診断によると、死亡に至る前の生活習慣病というものについては、本格的な治療行為を要するというような判断を下すものではなかったということです。コレステロールを下げる薬を出すぐらいで、これはまあ、大臣にしても私も、大体そういう年齢ですからね、というところで、異常な事態に遭遇しない限り、解離性大動脈瘤破裂のような症状の急変は引き起こし得ないという指摘がなされております。つまり、本人に病気があったというものじゃないんですね。
そうすると、なぜ早期に発症を抑える手だてが講じ得なかったんだろうか。中井さんは、死亡当日の早朝点呼のときにも、それから乗務の途中にもなんですが、会社の方に、しんどいから勤務をおろしてほしいと言っておられたんです。七時間乗務に辛うじて耐えられたんですから、だから、早朝点呼の時点で申し出どおり交代させて病院に行くことを保障しておれば、つまり、治療機会を喪失させないで治療機会を保障しておれば、不幸な過労死ではなくて、私は今も御家族と幸せに生きておられるというふうに思うわけです。
そこで、尾辻大臣に2つのことにぜひ取り組んでいただきたいと思うんです。その1つは、やはり労働災害として早く認定してあげて、遺族の方たちの生活保障を進めていただきたいということと、もう1つは、やはり再発防止に取り組んでいくということですね。このことにぜひ大臣として頑張っていただきたいと思うんですが、大臣にお伺いします。
○尾辻国務大臣 今、私は初めてお聞きをすることでございますから、よく事情をお聞きをいたしまして、適切に対応させていただきます。
○吉井分科員 現場の監督署長より上がってもきておる話で、この労災認定をおろすことについては監督署長の専権事項だということもレクチャーのときにも言っておられるので、ですから、現場の監督署長より速やかに労災認定を行うように、大臣の方でも調査をし、そういう立場で臨んでいただきたいというふうに思います。
2つ目に、治療機会の保障ということについては、これは人間の健康管理の上でも重要なことですし、だから、これからの労災認定の基準にはこの治療機会の喪失というのを加えて、つまり、本人の申告があっても業務命令が下されて、勤務中とかあるいは勤務明け直後に死亡した場合などには早く認定されるようにしてあげることが、これは御家族にとっても大事なことだと思うんです。実際、過去には治療機会の喪失で労災認定された例があります。それから、最高裁判例でも、業務過重性判断と別に、治療機会喪失事案について業務と発症との相当因果関係も認めるとする類型も示しています。
ですから、大臣、1つは、早く労災認定してあげるように頑張っていただきたいんですが、同時にもう1つは、治療機会の喪失をやはり基準に加えることを、今この場で直ちに加えると言ってくださいと言っているんじゃないですよ、やはり、今回の例もありますから、加えることを検討していただきたい。これは大臣の方にお伺いします。
いいですから。大臣にちゃんと伝わるように、きのうレクで言ってあります。
○青木政府参考人 治療機会の喪失という極めて専門的なお話でございますので、一言申し上げたいと思います。
治療機会の喪失という考え方につきましては、死亡当日において、業務に従事することなく直ちに入院も含めた安静、治療に専念しなければならない必要性というのが医学的、客観的に認められる、それにもかかわらずそれが困難な状況に置かれて、やむを得ず引き続き業務に従事した結果、死亡するに至った場合などにつきまして、労災の認定に必要な業務起因性、それを認める考え方として、今御紹介ありました判例によっても示されたものと理解をいたしております。行政におきましては、これらの判例の考え方に即して判断することといたしております。
個々の事案の判断におきましては、被災者の傷病の態様とか、業務の内容とか、事業の実態を初め種々の要素を総合的に判断するということにいたしておりますので、なかなか一律の基準というものは難しいのではないかと思っておりますけれども、そういった考え方にのっとりまして判断をしているということでございます。
○尾辻国務大臣 今、答えるのを聞いておりまして、判例だとかいろいろ言っておりましたので、検討すべきことは多々あるだろうと思いますけれども、少なくとも検討はさせていただきますことはお約束を申し上げます。
○吉井分科員 今回の事例についてどう判断するか、どう評価するかというのは局長の答弁のとおりです。ただ、問題は、治療機会の喪失によって、現に今回の場合はお亡くなりになったわけですね。ですから、基準に加えることについて検討をしていただきたいということですので、局長の説明は私も事前によう聞いておってわかっている話ですから、今おっしゃったように、ぜひこれは検討していただきたいというふうに思います。
奈良交通では、実は、1992年にも43歳の運転手の方が現職死亡されたことがあります。これは、国会でも実は問題になりまして、このとき代替要員をふやしたんですが、現在では、これはまた代替要員が消えてきて予備要員しかいない。だから、安全運行を保障する代替要員はいないということで、この指摘の点は改善する必要があるということを、実は私たちの方に奈良交通自身が認めている話なんです。
今回、勤務終了後の不幸な出来事だったんですが、だから大事故にならずに、ある意味では不幸中の幸いなんですね。逆に、中井さんは、命をかけて事故を起こさないように7時間頑張り抜いてこられたというふうに思うわけです。
運転手の過労というのは、大量輸送機関では大勢の乗客の安全にかかわる重大問題ですから、過労防止の代替要員を確保することを奈良交通のような要員不足のある企業にはやはり求めていくということが、これは大臣として取り組んでいただかなきゃならぬことだと思うんですよ。大臣に伺います。
○青木政府参考人 バスの運転手等につきましては、確かに、運輸業全体が非常に全般として長時間でありましたりしておるところでございます。したがって、年次有給休暇につきましても、きちんととっていただくということが大変大切なことだと思っております。そういう意味では、今お話がありましたように、業務計画だとか要員計画だとか、そういったものをきちんと配慮して作成をするということが望ましいというふうに思っております。
私どもとしてはこういう考え方で、ゆとり休暇推進要綱とかパンフレットなどを用いまして、集団指導を通じてそういった周知を図っているところでございます。引き続き、そういったことで周知、啓発に努めていきたいというふうに思っております。
○尾辻国務大臣 まず、今のお話を聞いておりまして、やはり人間の体だとか思いというのは科学を超えたところにもありますから、大変な使命感でもってお仕事を終えられたんだろうな、そのことに敬意も表したいと思います。
それはそれといたしまして、今度のいろいろなお話、今伺っておりますので、よくまた私なりに事情を聞かせていただき、そして個々のことでやるべきこと、それから、おっしゃるように再発防止のためにどうやるべきかというようなこと、考えてまた答えを出したいというふうに思います。
○吉井分科員 どうも局長さんの方は周りのぐるぐるしたところのお話なんですが、要するに、要員不足を解消するように企業に求めるということをやらないと問題は解決しないんですから、パンフレットを印刷したのどうのというような、そんなつまらぬことを言っておっちゃだめなんだから、そこを私はずばっと聞いているんです。
この点1点と、大臣に2つ答えておいてほしいんですけれども、中井さんは、被災前、4カ月連続して拘束時間13時間を超える勤務だったんですが、死亡した月は13時間を超える勤務が45%なんです。死亡2週間前は54.5%なんです。早朝勤務の前日に泊まり勤務だった日が40%なんです。
ですから、これは2000年労働省の改善基準告示というのを逆に使われてしまうと、13時間までは合法だと勝手に会社が判断してしまって、13時間ちょっと切るぐらいでずっとそういう状態が続くとなると、本当に過労ということになるんですね。ですから、この点では、労働時間短縮の立場に立って見直しを図っていくということが多くの乗客の安全につながるということになってくると思うんです。
私は、よく研究していただくので結構ですから、やはり見直しを研究するということと、さっきの要員不足の解消ということは企業にきちっと求めていくということをやって、こういうことが二度と起こらないように大臣として取り組んでいただきたいと思うんです。どうぞ。
○尾辻国務大臣 要員不足の話についていいますと、それは会社が基本的にきっちりやるべきことで、何をやっているんだろうなとつい思ったりもいたしますが、それは、先生のお話のように、制度というかいろいろな基準との絡みもあるのでございましょうから、先生言っていただきましたように、研究をさせていただきたいと存じます。
○吉井分科員 次に、バスとともにタクシーも、乗客の安全のためにタクシー運転手の過労死などを防ぐことが重要な課題になってきております。
実は、東京監察医務院部長の徳留省悟氏は、法医学の観点から、タクシー運転中の突然死というのは23.5%で、乗用車運転中の突然死の約50倍も多い発症頻度であると発表しておられます。交通事故で死亡した場合、多くは外傷死として処理されるため、突然死と判明するのは氷山の一角だということも言っておられるんです。また、徳留さんは、突然死は運転中の緊張による血圧や心拍の増加で起こると言われている、大事故が起こる前にきちんとした実態調査を行い、対策を立てるべきだということも言っておられます。
そこで、大臣、私は、タクシーについても過労による突然死が大きな死亡事故、大きな交通災害を起こさないように、やはりこれは厚生労働大臣もそれから国土交通大臣もお互いによく共同して、過労死による突然死などでタクシーが大きな交通事故を起こさない、この取り組みにきっちり取り組んでいただくということが大事だと思うんです。これは大臣に伺っておきます。
○尾辻国務大臣 今お話しいただきましたように、タクシーだとかバスだとかいうところの営業車の事故というのは、これは双方に被害者を出しますから大事故につながる、ぜひ防止に努めなきゃいかぬというふうに思っております。
国土交通省とも、お話しいただきましたけれども、定期的に連絡会議を開催して連携を図っているところでございます。今後とも、そうした連携もとりながら、防止対策の徹底に努めてまいります。
○吉井分科員 過労による突然死などが進んでいく要因というのを少し見ておきますと、国会の方は、附帯決議など国会で決議もしているんですが、実は、タクシーの規制緩和の問題があるわけです。
大阪で見ますと、台数はもともとだぶついていたんですけれども、2002年を100とすると、2004年末、昨年末111%と、3年足らずの間に1割、このもともとだぶついているところで1割もふえているんですよ。一方、そうすれば水揚げは落ち込んできますわね。そうすると、タクシー労働者の賃金というのはどうなってくるかというと、これは、賃金構造基本統計調査報告書というのがありますが、これで最近の資料を見ますと、大阪府のタクシー労働者の場合は、2001年から2002年にかけての1年間だけでも、年収で28万4500円、8%も下がっているんですよ。そうなると、暮らしを立てようと思ったら、明け番の日に体を本当は休めてもらわなければいかぬのですが、アルバイトで安い賃金の補いをつける、あるいは水揚げをふやすために無理な走行をするということが広がっています。
この結果、大阪府下のタクシー交通事故は、2001年の2303件から、2年間で138件、6%も増加するという状態で、死亡事故発生の労働者の中には、1日最大拘束時間21時間を超えた日が、1カ月14回勤務する中で11回あった。1カ月総拘束時間限度とされる262時間を26時間超過していたという人があります。そういう中での死亡交通事故の発生なんですね。ほかにも、1日の拘束時間を超える人が、勤務を大体14回ぐらいとすると、3回から10回の人たちがいるというのが近畿運輸局の調査で出ております。
企業の過剰競争から勤務時間が長くなる、運転手には無理な走行や過労がかさんでくる、これが、先ほど挙げたような徳留さんなどの突然死の心配とか交通事故の問題にかかわってくる要因となっております。
大臣はタクシー業界のこういう実態をよく御存じだと思うんですが、問題は、乗客の安全を守るという立場と、労働者の健康とか労働基本権を守るということは、この点では政治がやはり責任を持って進める課題でもあると思うんです。それがタクシー規制緩和の法案のときに附帯決議で国会が政府に求めた立場だったと思うんですが、そういう附帯決議の立場を踏まえて取り組んでいっていただけるのか、伺っておきます。
○尾辻国務大臣 今お話しのようなことにつきましては、労働時間管理につきましては、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を策定し、これに基づく指導をいたしておるところでございます。
また、安全衛生管理につきましては、交通労働災害防止のためのガイドラインを策定して、これに基づく指導も行っております。こうしたものを徹底してまいりますということをお答え申し上げます。
○吉井分科員 そういうガイドライン等をつくって、きちんとやっていくまじめなタクシーの経営者の方ももちろんおられますし、タクシーの経営者と労働組合とがよく話し合って進めている、そういうことを取り組んでいるというところももちろんあるんですが、私は、1996年の4月17日に、当時、衆議院に規制緩和特別委員会というのがありましたが、そこで取り上げたことがあります。九州の規制緩和の先取りとして、台数調整とか需給調整というのを破っていく企業がありました。これは全国的に今知られている第一交通なんですが、九州で、小倉にしても福岡にしても、車はあふれる、労働者の水揚げは落ち込む、だから、明け番の日には博多港へ沖仲仕に行って、体を休めなければいかぬ人が沖仲仕をやるわけですから、これでタクシー事故率全国2位、最悪状態だと。これは西日本新聞が当時、そのことをシリーズで紹介しました。それが今は全国展開して、全国でこういう害悪が広がっております。
昨年6月までで、第一交通産業グループだけで26件も行政処分が下されております。この行政処分、そんなに26件も下される前に、普通はちゃんと守るのが当たり前なんです。大臣がおっしゃったように、ガイドラインもあり、やっていくのが普通なんですね。ところが、普通じゃない。法律も処分も顧みないで無法を繰り返すということが今やられている企業です。
実は、大阪でも企業買収はどんどんやる、事故はふやす、法律は守らない、裁判所が労基法24条違反で強制執行を認める決定を下すような企業なんですよ。退職の事実がなくても中小企業退職金機構に退職届を出して、脱退手続を進めて大阪検察庁から起訴されているという、こんなことまで起こっております。
ここはちょっと政府参考人の方に伺っておきますが、中小企業退職金機構の問題というのは厚生労働省の業務ですが、労働者は実際には退職していないのに退職届が機構に提出されるというのは、これは違法なんじゃないですか。
○青木政府参考人 中小企業退職金共済制度は、労働者が被共済者となって、事業主が共済契約者として契約をして共済掛金を払って、労働者が退職をしたときに退職金を支払うという制度でございます。個々の中小企業の事業主が独自では退職金を設けることがなかなか難しいということからつくっている制度であります。
今お話がありましたように、これにはきちんと退職の手続が決められておりまして、それに基づいて退職金を支給するということをやっておりますので、そういった手続が適正に行われたか否かということは大変大切なことだと思いますし、それは、当事者の意思とかあるいは事実関係に照らしてきちんと判断されるべきものと思います。
ただ、一般論として申し上げれば、今お話しになりました当事者の意思や事実関係に反してその手続がもし行われたとするならば、それは問題だというふうに考えております。
○吉井分科員 ですから、大阪の方では、検察庁も起訴をするという立場で臨んでいるんです。
企業が労基法違反や労務改善基準違反を繰り返すために、幾ら大臣がガイドラインを示されても言うことも聞かない、それを、そのやり方はおかしいじゃないのと批判したり抵抗する労働組合は排除し壊滅させようとする、本当に前近代的手法ですね。
もともと、法律によってこういう前近代的手法は禁じられているんですが、こういうことが繰り返されているということになりますと、これは私は、単なる労使間の問題だとか、あるいは労働者の健康管理の問題というだけにとどまらないで、乗客の安全にも直接響いてくる問題ですから、この点では、国土交通省の交通、輸送業に対する許認可を含む指導と、厚生労働省の労働法規を守らせるやはり厳格な指導を、これは、お互いに連絡をとり合って共同して取り組むことで、乗客の安全と労働者の健康や権利を守る、このことにやはり大臣として全力を尽くして取り組んでいただきたいと思います。大臣、どうぞ。
○尾辻国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、国土交通省とも定期的に連絡会議を開催しておりますし、共同して、そうした法をまず守らす、そして基準やガイドラインも徹底していくということをお約束申し上げます。
○吉井分科員 この第一交通の問題は、これは国会でも何度も出てきている話ですが、もう10年以上になるんですね。
これは私は、特定の企業憎しで言っているんじゃないんです。やはりこういうことを、国会で何が問題になろうが、10年以上繰り返すようなことでは、事は乗客の安全にかかわる問題ですから、国会決議に従って取り組んでいただきたいということを重ねて申し上げまして、最後に、関西電力美浜原発3号機事故の労働災害について触れたいと思います。
原発の下請労働者の労災というのは、実は隠されてくることが多かったんです。がんとか白血病による死亡もなかなか実態が明らかにされない。私も、例えば中部電力の浜岡原発の事故があったときに入ったときに、4分たったらブザーが鳴って、出てくださいと、それぐらい放射線量が強烈なものですから。そういう中で原発下請労働者の人が作業して、4分じゃ仕事になりませんから、スイッチを切ってしまうとかそういうことでやってこういう事故があるんですが、実態がなかなかはっきりしていないんです。
実は、直接原子炉の中じゃありませんが、しかし、2次系の冷却水喪失が1次系の炉心溶融につながるという問題で起こったのが、昨年8月の美浜原発3号機事故です。この労災に取り組むことは、これからの原発労災の解明や対策につながる重要な契機になっていくというふうに私は考えております。
事故発生翌日の8月10日に、私、調査に入りまして、現地で被災直後の写真提供を受けました。その写真をよく見ておりますと、死亡者5名、大やけど6名の合計11名の木内計測、ここは、木内計測の人は11名入って、11名全員死傷されたんですが、それ以外に、実は下請15社の企業名と企業別の登録社員数が示されておりました。その後、実際にそこにおったのは何人ですかということを関西電力に聞いたら、下請104人と関電社員1人の105人が入っていましたと。事故発生時に、1階には60人、2階には20人、3階には25人いたというのが関電から私への報告です。
問題は、下請仕事というのは企業ごとに大体固まってやるものなんですよ。そうしますと、企業別に、労働者が建屋の中のどこでどんな仕事をしていたときに事故に遭遇したかというのはわかるわけですね。
この事故というのは、実は、委員長も聞かれたらびっくり仰天されると思うんですけれども、140度C、10気圧に加圧された熱水が800トン漏れたんです。800トンというと、25メートルプール、大体学校のプール3つ分が大量に一遍に漏れたんですよ。そうすると、その高温、高圧の大量の漏れ出た熱水の中に置かれた人たち、すぐ蒸気になりますから、100度を超える高温蒸気、これを吸い込んだ人はやけどを負ったり、あるいは肺を初め気管支に傷害が出るということになります。
実際、木内計測の5人の犠牲者は、気道のやけどによる窒息死だったんですね。6人が大やけどということだったんですから、建屋内にいた全労働者がやけどとか気管支に傷害を受けていないかということを調べることが、私はこういう原発労災に取り組む初めの第一歩だと思っています。
そういう点で、厚生労働省には事前に私、リストをお渡ししておきました。この企業、何名というリストをちゃんとお渡ししてありますので、これで登録作業員数はわかりますし、何人が何階にいたとか、皆リストを渡してありますので、きょうは、事前にそういうリストをお渡ししてあるので、労働災害の実態についてまず大臣として調査をしていただきたい。
私、この場でこの間事務方に出しておいたこの資料の答えをもらおうとは思いませんから、調べるにも事務方も時間がかかるでしょうから、大臣として、こういうリストに出ている企業の下請作業員の方が実際何人おって、どういう傷害を受けたのか、受けていないのか、これをまず調査されることを求めておきたいと思います。
○後藤田主査 質疑時間が終了しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○尾辻国務大臣 私も先ほどその話を聞きました。
それで、聞きましたのは、厚生労働省としては、災害が発生した当日に現地の福井労働局に重大災害対策本部を設置して、福井労働局及び所轄の敦賀労働基準監督署により災害調査を詳細に実施した結果、そして、どういうことをやったんだと聞きましたら、多分今の下請ごとのというようなことなんでしょうけれども、リーダーへの聞き取りをして確認したと。そうしましたら、本災害において11名以外の者については被災者がいなかった、こういうふうにさっき報告をしております。もう1回確認をいたします。
○吉井分科員 もう時間が参りましたので終わりますが、これは、大体だれが考えてみても、この800トン、学校プール3杯分の140度、10気圧に加圧された大量の高温水が出て、それで木内計測の11名だけがたまたま全員が死傷して、あとはだれもけがもやけどもしない、あり得ない話ですよ。だから、きっちり調査をされることを重ねて求めまして、質問を終わります。
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