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第162国会・2005年2月22衆議院本会議
○吉井英勝君 私は、日本共産党を代表して、三位一体改革関連三法案について質問いたします。(拍手)
三位一体の改革と言われるものは、国と地方の税財源のあり方の見直しとして始まったものです。これに地方が一定の期待を寄せたのは、国のひもつき補助金を減らして税源を地方に移譲することで、地方自治体の自主性が高まるのではないかということでありました。しかし、実際には、国庫補助負担金削減と地方交付税の削減と、不十分な税源移譲しか行わないことで、自治体財政を圧迫し、住民サービスを脅かしています。
二〇〇五年度の地方交付税総額は、二〇〇四年度に配分するべき一兆円を繰り入れたことで、ほぼ前年同額に維持したという形にはなっていますが、大幅削減で予算が組めないと地方から悲鳴が上がった水準のままであります。多くの自治体が予算編成に苦しみ、住民サービスが後退した事態が改善されたわけではありません。総理は、こういう現実を認識しておられるのか、答弁を求めます。
国庫補助負担金と税源移譲の問題です。
国庫補助負担金の廃止・縮減は、二〇〇四年度の一兆円に加えて、二〇〇五年、六年度で三兆円程度、合わせて四兆円とされました。一方、これに見合う税源移譲は、二〇〇四年度の実施分を含めて、おおむね三兆円規模を目指すとされましたが、ここには一兆円のギャップがあるのではありませんか。
今後、約一兆二千億円の国庫補助負担金の廃止・縮減が予定されていますが、全額が税源移譲されたとしても、国庫補助負担金の縮減は約四兆五千億円、税源移譲は三兆円ですから、国から地方への支出の削減は、一兆五千億円になるのであります。
国庫補助負担金の削減額に比べて税源移譲の額が少ない上に、地方交付税の削減では、国の地方への支出が削減されただけで、地方財源は減収となるのではありませんか。これでどうして地方財源の自主性、自立性の強化につながるのか、明らかにしていただきたいと思います。
税源移譲で自治体の自主性を高めるとすれば、まず、公共事業関係の補助金にメスを入れるべきであります。ところが、税源移譲の対象となった大きなものは、義務教育や国民健康保険の負担金です。これらは、地方自治体にとっては義務的経費であり、自治体が裁量を発揮できる余地の少ないものです。なぜ、公共事業関係の補助金の税源移譲には手をつけなかったのですか。
総理は、国の補助金の削減、国から地方への税源移譲、地方の歳出の合理化とあわせた地方交付税の見直し、この三つを同時に進めると言いますが、三つ同時というのは、補助金、税源、交付税のそれぞれの額が一体として並行して進めるということではないのですか。答弁を求めます。
次に、義務教育費国庫負担制度について質問します。
この制度は、憲法二十六条と教育基本法の掲げる教育機会の均等及び義務教育無償の原則を実現するため、教職員の給与費のみならず、旅費、教材費、児童手当などを国庫負担の対象としてきたものです。
ところが、三位一体改革のもとで削減を重ね、残るは給与費本体のみとなっています。旅費及び教材費は八五年度に一般財源化されましたが、その結果、教材費の予算措置率は、今では八六%台にまで落ち込んでいます。三〇%、四〇%台にまで落ち込んでいる県もあります。
文部科学省の試算では、義務教育費国庫負担制度を廃止し、全額税源移譲した場合、四十道府県で税源移譲額が補助金額を下回るという結果が出ているではありませんか。
一般財源化された場合、本来、その格差を調整するのが地方交付税の役割ですが、その交付税を中期地方財政ビジョンで今後大幅に削減するとしています。そうなると、自主財源の乏しい地方ほど財源確保が困難になり、教育の機会均等は著しく困難になることは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
就学援助費の補助廃止、地方移譲について質問します。
長引く不況の影響で、要保護や準要保護の児童生徒数は五年間で四十八万人もふえています。今、国が予算をふやし手厚い措置をとらなければならないときに、あべこべに就学援助の九割を占める準要保護児童生徒に対する国の補助金を廃止するということは、国の責任放棄ではありませんか。
義務教育費国庫負担にしても就学援助にしても、今政府の行おうとしているのは、公教育からの財政的撤退の道であり、憲法二十六条の義務教育無償の原則を投げ捨て、教育の機会均等の保障を放棄する道ではありませんか。総理の見解を求めます。(拍手)
第三に、国民健康保険の問題です。
国保加入者の所得に対して保険料が高過ぎるため、滞納世帯は全体の二割近い四百六十一万世帯、保険証取り上げ世帯は三十万世帯に上り、国民健康保険財政も国民の健康も危機的状況にあります。今回、給付費の国負担分の一部にかえて新たに都道府県負担を導入しますが、これは国保財政の危機的状況の打開につながるものと考えているのですか。はっきり答えていただきたい。
事態の抜本的打開のためには、公費負担の拡大こそ必要です。政府は、この間、国庫負担率を大幅に引き下げ、国の責任を後退させてきました。国保収入に占める国庫支出金の割合は四九・八%から三五・四%に引き下げられる一方、住民一人当たりの国保料は二倍にふえています。国庫負担割合の計画的引き上げこそ、今必要なことではありませんか。
さらに、介護施設整備補助金を交付金化する問題についてであります。
二〇〇五年度の交付金予算額は八百六十六億円で、前年度のこの補助金九百三十一億円から六十五億円も削減されます。高齢者が増加し、特別養護老人ホームの待機者が三十四万人にも上るなど、地域で安心して生活するための施設整備がますます求められている中で、国が予算を削減しながら地方の責任で整備をというのは、高齢者介護を保障する国の責任を放棄するものではありませんか。
また、市町村、都道府県が策定した計画に基づいて交付するようにしていますが、交付の要件は、国が定める基本方針に照らし適当なときとなっています。これでは、国が全国一律の基準を示して自治体を縛るという従来の方法と変わらないではありませんか。
交付金化によって、地方の自由度は具体的にどのように増すことになるのか、明らかにしていただきたいと思います。
最後に、農業近代化資金助成法に関連して質問します。
農業補助金や漁業補助金は、農地面積や海岸線の長さに比例して投入されるという性質を持っているため、農山漁村に厚く配分されます。ところが、この補助金廃止で、所得譲与税となると、所得譲与税は人口に応じた配分ですから、その財源は人口の多い都市部に集中し、農山漁村の自治体との歳入格差はますます拡大します。最終的に、地方税として移譲されることになったとしても、この傾向は同じです。
本来、全国どこの自治体に住んでいても、すべての住民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するというのが憲法二十五条の立場です。国と自治体には、住民の権利を保障するための必要な事業やサービスの提供や、社会的な平等の実現を図る義務があります。そうした自治体の責務を財政的に保障するのが、財源保障と財源調整の二つの機能をあわせ持つ地方交付税であります。
地方交付税の役割は、今後、税源移譲が進めばますます重要となります。税源移譲に伴う自治体間の格差是正をどう調整するのか、また、地方交付税の必要な総額をどう確保するのか、総務大臣の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 吉井議員にお答えいたします。
地方交付税の規模についてでございます。
地方交付税の財源保障機能については、その全般を見直し、縮小する一方、地域間の財政力格差を調整し、一定水準の行政を確保する機能は今後とも必要としております。
こうした点を踏まえつつ、平成十七年度予算においては、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税の規模を確保したものと考えております。引き続き、地方公共団体を初め関係者の意見も十分踏まえながら、交付税改革に取り組んでまいります。
国庫補助負担金の改革、税源移譲等についてでございます。
十七年度については、地方分権の主体である地方からの提案を真摯に受けとめた上で、裁量的であるか義務的であるかを問わず、公共事業も含め、個々の事務事業を見直し、一兆七千億円余の補助金の廃止・縮減等を行うとともに、公共事業関係の補助金については、省庁を越えた一本化による交付金化の取り組みなどを行うこととしたところであります。
また、廃止する補助金の対象事業の中で引き続き地方が主体となって実施するものについては、一兆一千億円余の税源を移譲し、必要な財源を確保すると同時に、地方自治体の安定的な財政運営に必要な交付税を確保することとしました。
これらの措置により、地方自治体の裁量性を高めることにつながる改革が実現できたと考えており、地方からも一定の評価をいただいていると考えております。
教育関係の国庫補助負担金の見直しでございますが、義務教育費国庫負担金の取り扱いについては、教育の機会均等など義務教育制度の根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するとの方針のもと、費用負担に関する地方案を生かす方策と教育水準の維持向上を含む義務教育のあり方について幅広く検討し、今年中に結論を出すこととしております。
また、就学援助費に関しては、国と地方の役割分担の見直しにより地方が行うこととした事業の実施のための財源については、税源移譲により手当てを行ったところであります。
なお、三位一体の改革においては、補助金を廃止し税源移譲を行う場合であっても、個人住民税の税率をフラット化することなどにより税源分布の偏りを緩和するとともに、地方交付税の財政調整機能によって地域間の財政力格差に対応する考えであります。
国民健康保険の負担のあり方でございますが、国民健康保険の都道府県負担の導入については、国保制度の基盤、体力の強化を通じた、国保制度の安定化に役立つものと考えております。
今回の改革により、国庫負担の割合は現行の五〇%から四三%に引き下げとなりますが、国及び都道府県を含めた国保に対する公費負担の割合は、従来どおり、給付費等の五〇%を維持することとしております。
一方で、御指摘のように、公費負担割合をさらに引き上げることは、国民健康保険制度が保険制度であることを踏まえれば、困難であると考えます。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣中山成彬君登壇〕
○国務大臣(※文部科学大臣)(中山成彬君) 準要保護児童生徒に対する国の補助金の廃止は、国の責任放棄ではないかとのお尋ねでございます。
今回、三位一体の改革により、準要保護児童生徒に対する援助については国の補助を廃止することとなりました。これに伴う財源については、所得譲与税として税源移譲されるとともに、所要の事業費が地方財政計画に計上され、地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算入されることとなっており、今後とも、市町村において必要な就学援助が実施されるものと考えております。(拍手)
〔国務大臣尾辻秀久君登壇〕
○国務大臣(※厚生労働大臣)(尾辻秀久君) 地域介護・福祉空間整備等交付金についてのお尋ねがありました。
厚生労働省といたしましては、今回、本交付金を創設することで、全国的な状況を勘案しつつ、整備がおくれている地域を重点的に支援することにより、バランスのとれた整備が可能となること、交付された交付金の範囲内で、地域の実情に応じて、事業者への助成の程度を変更したり整備量をふやすなど、自治体の自主性、裁量を発揮できる仕組みとしたことから、限られた予算の中でも、効率的に介護施設の整備を進めることが可能になるものと考えております。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇〕
○国務大臣(※総務大臣)(麻生太郎君) 今後の交付税の役割についてのお尋ねがあっております。
我が国は、国が、法令基準の設定などを通じまして、地方団体に一定の行政水準を求める仕組みになっておりますので、御存じのとおりなんですが、一方では、地域間に大きな税源の偏在が存在していることも確かであります。
このため、地方団体が標準的な行政水準を維持するのに必要な財源を確保して、財政力格差を調整する地方交付税制度というものは、今後とも必要不可欠と思っております。
あわせて、税源移譲に伴います財政力格差の拡大に対して適切に対応していく必要があるため、地方団体の安定的な財政運営というものに必要な交付税の総額を確保する必要があると考えております。(拍手)
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