第162国会・衆議院予算委員会 2005年2月18日

○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 原子力関係の予算で大体年間5000億円、それから宇宙開発の関係の予算で4000億円と、大体9000億円から1兆円近いところですが、特にこの10年の間を見ても大きく伸びております。ただ、ここで日本の科学技術の発展ということを考えたときに、当面の利益にすぐにはつながらなくても、長期を見通して基礎研究を進めていくという上では、経常研究費とか人当研究費と言われるものをきちんと伸ばしながらやっていかなきゃいけないということと同時に、ITERと「もんじゅ」については、科学技術に名をかりた大型公共事業と言われている面があります。こういったところをきょうは見ていきたいと思います。
 まずITERについてですが、サンディエゴのITER工学設計の時代から既に10年たっておりますが、ITERに関して、私は2001年以来でも5回質問してきました。国会答弁でもう明らかにしてきたことですが、プラズマ物理など基礎研究が非常に重要な課題であり、大型施設にするということでやってきたんです。しかし、建設費をITERについては50%削減しようということでコンパクトITERにしたために、今度は当初実験目標が後退して、実用化への道からはさらに遠くなってきているという問題があります。
 より根本的な問題として、炉材料の問題というのが、非常に行き詰まっている深刻な問題です。
 動力炉実現ということで考えれば、ITERに、動力炉につながっていく設備を考えてみたとき、今の軽水炉のコストに比べて大体7倍から8倍高い。だから、軽水炉並みのコストに近づけないと、なかなか動力炉としてはやっていけないわけですが、こういった問題が明らかになってきました。
 そこで大臣に最初に伺いますが、ITERが技術的にもコスト的にも動力炉につながるという展望を今持っていらっしゃるかどうかを伺います。

○中山成彬文部科学大臣 きょうのここの議論でも、エネルギー問題の重要性についてはいろいろな方々から御指摘いただいたわけでございますけれども、このITER計画というのは、御承知のように、核融合実験炉の建設実験を通じまして、核融合反応によるエネルギーを発生することに関して科学的、工学的な実現可能性を実証するものでございまして、核融合発電の実現に向け、不可欠かつ重要なステップであると認識しております。
 また、このようなITER計画の重要性は国際的にも共有されておりまして、だからこそ、日本のみならず、米国、欧州、ロシア、韓国、中国の六極の国際協力によって推進されているものと認識いたしております。

○吉井委員 私が伺いました、ITERが技術的、コスト的に動力炉につながっていく展望があるのかということについては、要するにお答えができなくて、一般的な話なんですね。
 96年の夏にアメリカへ行ったときに、DOEの研究局長などとお会いしたときに、ITERについては消極的ないし技術的可能性に疑問を持っているという印象を受けました。その後、アメリカはITERから脱退したんですね。最近また一応戻ってはおりますが。
 99年4月5日に、宇宙物理学者の、例えば名古屋大学の池内了教授は、ITERでプラズマ制御に成功する保証はないということ、それから、エネルギー問題解決という美名に隠れた巨大公共事業の継続ではないかという指摘をしておられます。プラズマの自己崩壊が起こらないようにする制御というのは難しいというのが、他の物理学者の皆さんの間からも指摘は多いんです。
 2001年に、私、小柴昌俊先生から御連絡いただいて、東大の素粒子研の方へお訪ねしてお会いしたとき、小柴先生からも御意見を伺っております。それは2001年の1月18日に新聞等でも先生が明らかにしておられますが、ITERの炉壁の放射線損傷の問題は深刻だということの御指摘と、ITER型ではない別な核融合反応を検討することなども提起しておられます。
 私は核融合そのものは研究に賛成なんですけれども、やはりそうしたことをきちんと踏まえて臨むことが大事だと思うんですが、大臣は、こういうことがあるということは事務方の方からお聞きになっておられるでしょうか。

○中山文部科学大臣 アメリカがITER計画から一時脱退していたということ、あるいはまた、国内におきましてもITER計画に慎重な考え方を持っていらっしゃる方がおられるということも承知しております。しかし、我が国としましては、ITER計画を積極的に推進していくという政策決定、これは平成14年の5月31日、閣議了解があったわけでございまして、こういうときにも、このような状況というのは十分認識した上で閣議了解されたもの、このように考えております。
 私自身は、はっきり申し上げてその辺は全く素人でございますけれども、そういう専門家の方々がしっかりと検討されて行われたわけでございますから、その意義とかITER実現に向けた取り組みについては、社会の一層の理解あるいは支持を得られるように引き続き努力していくことが大事か、このように考えております。

○吉井委員 実は最近も、雑誌でもITERと公共事業というタイトルで批判論文が出ておりますが、前の町村さんが文部大臣のときも、ITER誘致について、地域おこし的観点が少し走り過ぎているなと感じているという答弁をされたことがあります。
 エネルギー政策として考える場合には、ITER誘致が科学技術に名をかりた地域おこし的公共事業にならないために、今大事なことは、六ケ所かカダラッシュかという政治的誘致合戦から離れて、このITERが将来の動力炉に技術的にもコスト的にも可能なものなのかどうか、核融合研究の原点に立ち返って検討をするということが大事だと思うんですが、大臣、これはどうですか。

○中山文部科学大臣 実は私も、雪の中を六ケ所村まで行きまして、誘致の候補地を見てきたわけでございますけれども、御承知のように、ITER計画への我が国のかかわり方につきましては、原子力委員会の核融合会議における科学技術的な側面からの検討が平成13年3月になされました。また、原子力委員会ITER計画懇談会における、さまざまな分野の専門家による社会的、経済的側面を含めた広範な検討が平成8年から平成13年まで行われております。そしてまた、総合科学技術会議におきます、ITER計画に対して慎重な考え方を持つ研究者等からのヒアリングをも含めた科学技術政策上の観点からの論議も平成13年から14年にかけて行われるなど、幅広い議論が行われているわけでございます。
 このような議論等を踏まえまして、平成14年5月に、ITER計画が国家的に重要な研究開発であり、国内誘致を視野に入れ政府間協議に臨むことということで閣議了解されたわけでございます。
 町村大臣の発言もちょっと見せていただきましたけれども、「非常に重要な、また、でき得れば、それは進めることが可能であれば進めるに足るだけの魅力ある重要なプロジェクトだとも思います」、こういうふうにも言っておりますので、そういった方向で進んでいるというふうに理解いたしております。

○吉井委員 プラズマ制御の困難性とか炉材料の問題とか、これはまず困難だという問題、これを別にしても、なぜITERが高くつくのかという技術的な課題があるんです。
 これについて国会でも私は指摘しましたが、主に3つあるんですね。
 もともとITERで、1億度水準のプラズマの閉じ込めと、高速中性子からの熱の取り出しという原理的な面からして、超高真空容器とかブランケット、多数の大型コイル、冷却系とその配管、管理、維持、作業用のポートとか加熱装置とか、それ用の窓だとか、巨大な組み合わせになるんです。
 だから、これは1つは、その結果として、重量が大きくて、形状が複雑で、熱膨張したり熱収縮したり、電磁力に耐える構造にすることなどから、相互に剛構造とせざるを得ない。したがって、重量は軽水炉の十倍以上になってくるという問題があるんです。
 2つ目に、システムが複雑に絡み合いますから、相互に独立性がないために設計が複雑になり、設計、製作、据えつけ、保守などの費用が随分高くなるんです。
 3つ目には、プラントを構成するシステムの種類が、軽水炉に比べて約二倍も多いんです。
 ですから、磁場をつくる超電導コイルとそれを冷却する液体ヘリウム循環系とか、ヘリウム液化システムとか、高周波コイルとコイルの電源系、計測制御系とかプラズマ制御系とか超高真空ポンプ、さらに、それを冷やすクライオスタットなどの冷却系、システムを収容して中性子を外部に逃がさないという遮へい能力を持つ建屋とか、こうなってきますから、これらは火力や通常の原発にはないものなんです。
 そこで、そういうことをきちんと踏まえた上で、これでITERというのが展望のあるもの、やっていけるものというお考えなのかどうか。だから私は、このITERが動力炉として展望があるんですかということを聞いているんです。大臣、この点はどうなんですか。

○中山文部科学大臣 先ほど答弁しましたように、そういったさまざまな議論を踏まえた上で閣議了解して、国策として進めていこう、また、6カ国で国際協力プロジェクトとしてやっていこうということでございまして、今いろいろ技術的なことを言われましたけれども、ちょっと私もその辺はよくわかりませんが、高温のプラズマをコントロールする技術というのは、我が国では日本原子力研究所のJT60等を活用して研究が進められている。また、JT60では、既に5億2000万度のプラズマを実現するとともに、1億度を超える高温のプラズマを10秒程度安定的に維持するなどの成果も出しておる。
 それから、ITER計画では、世界で初めて核融合反応を起こしている、すなわち、燃焼している1億度を超える高温のプラズマを10分程度コントロールすることを1つの目標としておりますが、これまでの研究成果にかんがみれば、その達成は十分可能であると見込まれているところでございます。
 さらに、核融合発電の実用化に向けましては、高温のプラズマを定常的、例えば1年程度コントロールする技術が必要であり、さらなる研究開発が進められている、このように伺っております。

○吉井委員 ですから、目標を挙げられているのはよくわかっているんですよ。
 問題は、その目標を達成するに必要なプラズマ制御の技術とか炉材料の問題とか、それから、実際にこれを動力炉にしていくときには、コストがちゃんと軽水炉に見合うものになっていくのかという展望を持たなきゃいけないんですね。やみくもに目標だけ掲げて走ることがいいのかどうかということが今問題になっているところなんです。
 ITERの研究推進については、本来、工学設計を終えた段階で、建設に移ることのできる炉材料が開発済みかどうかとか、将来の実用炉の開発につながる現実的に意味のあるものになり得るかどうかとか、コスト計算が適切かどうかとか、日本誘致した場合の財政負担がどうなるのかといったことをすべて国会に提出して、各分野の専門家などの参考意見も聞きながら、国会としてもやはり深い検討がなされるべきものであって、むつ小川原開発巨大プロジェクトの破綻の後始末に、六ケ所の再処理工場建設と運転とかITER誘致というのは、これはエネルギー政策でも科学技術政策でもないわけで、政策破綻の後始末のために、科学技術に名をかりた大型公共事業を引っ張ってこようというのは、この発想からは転換するべきだ、このことを指摘して、「もんじゅ」の問題に移りたいと思います。
 高速増殖炉は、これは2つの技術的問題を抱えています。1つは、核燃料として放射性毒性の強いプルトニウムを使うことです。2つ目は、水などとの反応性の強いナトリウムを冷却材に使うということです。
 さらに、「もんじゅ」は、再処理工場を建設してプルトニウムの分離抽出を必要としますが、ところが、「もんじゅ」でも再処理工場でも、混合酸化物燃料をつくるためのウラン転換工場でも事故が次々と起こってきて、このプルトニウム循環方式の原発政策そのものが、技術的にも、動力炉としての安全性や採算性の面からも、今行き詰まりを来しています。
 そこで大臣に伺っていきますが、推進するか中止するかという立場、これはいろいろあるでしょうが、立場は別にして、高速増殖炉「もんじゅ」はこうした問題を抱えているという認識を持っておられるかどうか、これを伺います。

○中山文部科学大臣 私も、先般「もんじゅ」を視察してまいりました。その中で、ナトリウムにつきましては、隣接する研修施設におきましてその物理化学的性質について説明を受けますとともに、実際にナトリウムが高温で空気等と触れて燃焼する状況を現実に確認したところでございます。したがいまして、ナトリウムは注意して取り扱うべきだな、そういう物質であるということを理解しております。
 またプルトニウムにつきましても、ウランと比べまして放射能が高いなどの性質があることから、より注意して取り扱わなきゃいかぬということも理解しておるところでございます。
 「もんじゅ」につきましては、このようなナトリウムとかあるいはプルトニウムの特徴に留意した上で、これらを利用することによる高速増殖炉のメリットにも着目して開発を進めているところでございますけれども、あそこでも私も申し上げたのですけれども、何よりも安全確保を第一にして研究開発を進める必要がある、このように認識しているところでございます。

○吉井委員 まず、プルトニウムというのは放射性毒性の強いものです。これを技術的に扱うというのはそんな簡単な話じゃないんです。
 ナトリウムについても、もともと「もんじゅ」で事故をやったときに、ナトリウムは完成された技術だと思っているというのが動燃の技術幹部のお話でした。しかし、そう思っていて事故をやっているんです。ですから、あなたに説明されたような簡単な話じゃないということをまず踏まえて見ていかなきゃいけないと思います。
 既に高裁判決の指摘した高温ラプチャー型破損の問題、ナトリウム・コンクリート反応による爆発の問題とか炉心崩壊の問題について、これは国会でも質疑をしてまいりましたが、これら判決で示されているのに、最高裁判決の前に「もんじゅ」の再開を強行するということは、これは裁判手続を無視した全く無謀なやり方で、最高裁判決で高裁判決と同じ立場を示されたときには、進めていったことがすべて覆ってくるということになりますから、判決前の強行というのはやめるべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 ここで政府参考人に伺っておきますが、高速増殖炉「もんじゅ」関連の事業費、これは一体幾ら今まで使ってきたのかということで、「もんじゅ」の建設費と運転管理費、それから、「もんじゅ」に進んでいく前の「常陽」の関連事業費と、それからナトリウム技術関連、そして再処理工場とMOXの製造が必要になってまいりますが、これは新型転換炉「ふげん」の分を別にして、「もんじゅ」関連の事業費としてこれまで使ってきたのは1兆9215億円になるかと思うんですが、この点、確認しておきたいと思います。

○文部科学省・坂田東一研究開発局長 お尋ねの「もんじゅ」関連の経費でございますけれども、昭和55年から平成17年度の原案まで、26年間の予算のベースでは、全体としては、まず8237億円でございます。内訳としては、建設費が5886億円でございますけれども、そのうち民間拠出が1382億円ございますので、政府支出分は4504億円でございます。それから「もんじゅ」のこれまでの運転維持費の関係でございますけれども、これは2351億円でございます。
 それから、関連する経費、これも予算ベースでございますけれども、まず、高速実験炉「常陽」の関連でございますけれども、過去38年間で1619億円でございます。ナトリウムの関連経費が、過去36年間で1944億円でございます。再処理の関連経費が、過去36年間で7415億円でございますけれども、うち事業収入が6372億円ございますので、政府の支出といたしましては1044億円。すべてをトータルいたしますと、先生が冒頭におっしゃいました1兆9215億円ではございますけれども、うち政府の支出は1兆1461億円でございます。

○吉井委員 「もんじゅ」関係で幾らお金を使ったかということなんです。これは1兆9215億円、予算として使ってきているんです。新たに「もんじゅ」の改造費が179億円、再開後の運転管理費が150億円から180億円、年間かかって、10年運転ということで大体2000億円というふうに皆さんの方から伺っております。そうすると、最初から合わせると「もんじゅ」開発には2兆2000億円という非常に大きな開発投資を行ってきておりますが、これで、今、高速増殖炉はめどがついているんですか。

○中山文部科学大臣 「もんじゅ」を初めとした高速増殖炉の研究開発につきましては、その実用化を目指して着実に取り組んでいるところでございます。
 実用化に向けた次のステップとなります実証炉建設やその後の実用化計画につきましては、現在、原子力委員会における次期長期計画の検討の中でも議論されているところでございますが、「もんじゅ」の運転再開後の成果や、その他、高速増殖炉の実用化に向けた研究開発の成果等を評価しながら具体化されることが期待されているところでございます。

○吉井委員 原子力長期計画では、94年には、2030年ごろまでに実用化が可能となる技術体系としていましたね。今、実験炉、原型炉、実証炉、商業炉の中で原型炉の段階ですが、では、実証炉から商業炉にかけての見通し、これはどういう見通しを持っているんですか。

○坂田研究開発局長 今大臣もお答えになったところでございますが、私どもといたしましては、まず「もんじゅ」、これは近く改造工事に入りますけれども、改造工事をしっかりやりまして、その後、運転に入ります。そして運転を約10年程度、約10年程度の間に、「もんじゅ」の所期の目的、これは2つございますけれども、1つは発電プラントとしての性能を実証するということ、もう1つは、先ほど先生がおっしゃいました、ナトリウムの取り扱い技術をしっかりマスターするということ、こういう所期の目的を運転開始後10年程度をめどにしっかりなし遂げたい、このように思っております。
 そして、現在、並行的に進めておりますが、サイクル機構とそれから電力あるいはメーカーとの間で高速増殖炉の実用化調査研究というのを並行してやっております。それらの成果を、「もんじゅ」の成果とあわせましてしっかりとした実用化展望のための評価を行い、その上で、実証炉の具体的な計画、さらには実用化に向けた開発計画の具体的な道筋、そういったものの検討を進めていきたい、このように考えているところでございます。

○吉井委員 ですから、現在は、実証炉についてもそれから商業炉についてもめどを持っていないということなんですよ。もともと、以前は挙げていた「技術体系の確立」ということも、これは長計目標から取り下げざるを得ないというところへ来ている。そのことを、実験の中でやっていきたい、やっていきたいの話ばかりで進んでいくというのはとんでもない話だということを言わなければなりません。
 放射性毒性の強いプルトニウムを扱うという困難性の問題とあわせまして、商業炉の発電コストから、これは、1回使い切りの直接処分の軽水炉に比べて、再処理によるプルサーマル利用のコストの方が2倍も高くて採算が合わないという問題などありますが、昨年8月に出しました質問主意書に対する答弁書でも、80年代初めから9つの調査報告で、再処理の方が直接処分より原発による電力コストがそれぞれ2、3倍高いということを認めた上で、これら資料を参考に検討して再処理―リサイクル路線を進める、開発努力を積み重ねるとしてきました。
 プルサーマルにしても高速増殖炉にしても、再処理することによるコストが高くなり、「もんじゅ」から先の実証炉、商業炉へ進む展望というのは、これは技術面の問題とともに、コストの面からも出てこないというのが、大臣、これが現状じゃないですか。

○中山文部科学大臣 やはり新しいエネルギーを開発していくというのは相当の金がかかるなということは、これはもう認めざるを得ないと思いますけれども、だからといって、ちゅうちょしたり、やめるわけにはいかぬわけでございます。
 昨年に、原子力委員会におきまして核燃料サイクル政策推進という基本路線も確認されておるわけでございまして、文部科学省といたしましては、「もんじゅ」を高速増殖炉の研究開発の中核として積極的に推進していくことを表明しているところでございます。

○吉井委員 「もんじゅ」を中核とするんですが、これは技術的な面、つまり、ナトリウム、プルトニウムを使うという面からもコスト面からも、今、展望が出てこないというところへ来ているということをきちっと見なきゃいけないと思います。
 プルトニウム循環のかなめとなるのが六ケ所再処理工場ですが、これは運転前から次々とトラブルが起こっています。
 使用済み核燃料貯蔵プールの水漏れも大きい問題でしたが、配管のテフロンパッキングが濃硝酸で腐食して、核燃料を溶解した液が漏えいするとか、ガラス固化体貯蔵建屋の冷却性能不足などについては、これは国自身が設置工事変更認可を出しているわけですから、国の方もミスを犯していた。
 採算性の見通しもなく、プルトニウム循環システムも完成していない中で、この循環をとめるということが課題になっているときにこれをやると、試験前から事故続きの再処理工場のウランテストに入ってしまうと廃炉にしたときの解体処理コストが高くなってしまって、しかも、放射性廃棄物処理の厄介な問題を抱え込むということになります。
 ですから、経産大臣、再処理工場、これはやめるべきだ、プルトニウムを循環させるということはやめるべきだということをこれはきっちり決断するべきときだと思いますが、大臣にこの点を一言伺っておきます。

○中川昭一経済産業大臣 核燃料サイクルのシステムというものは、いろいろな専門家の議論、あるいはまた、折に触れて国民の皆様にも、また御地元にもとりわけお話をし、御理解をいただきながら、これは国の基本的なエネルギー政策として推し進めていくべきものと考えております。
 吉井委員御指摘のように、いろいろとトラブルあるいは事故等も発生しておりますけれども、そのたびに、原因の究明、再発防止に全力を挙げ、そして、そのたびに御地元におわびしながら、改めて御理解をいただきながら進めさせていただいておりますので、基本的に、このウラン再処理あるいはまた核燃サイクルの推進については、先ほど申し上げた安全性と国民の御理解、とりわけ御地元の御理解を前提にして進めさせていただきたいというふうに考えております。

○吉井委員 私は、プルトニウムを循環して使用するやり方というのは、今技術的に確立していないだけじゃなしに、これは安全の面その他からしても、もうこのやり方からは撤退をするというところへ政策的に切りかえていくべきだということを言わなきゃならぬと思います。
 私は、原子核の方の研究室が同じだった人が「もんじゅ」の幹部になっていて、福井県の方から、政界、官界にコネがあるだろうからということで頼まれて、北陸新幹線誘致に国会や官庁へ足しげく陳情に回っているのでお会いして、それをマスコミの方に紹介したら、取材に行かれて、最近の新聞紙上でも、新幹線人質に地元了解とか報道されました。
 ITERの誘致合戦のときにも、科学技術に名をかりた公共事業という物理学者の批判がありましたが、やはり「もんじゅ」の開発再開ということについて、これは大臣、町おこし的公共事業と引きかえに「もんじゅ」開発というのは、日本の科学技術のあり方としてもエネルギー政策のあり方としても、正常な姿ではないと思うんですね。とりわけ文部科学大臣の場合には、科学技術の分野を担当する大臣として、このやり方はやはり正常でないと思うんですが、あなたはどう考えられますか。

○中川経済産業大臣 文科大臣に御指名でございましたが、町おこしと、それから、例えば福井あるいは青森県については、御地元の御理解のもとでそれぞれ事業を進めさせていただいておりますが、単に燃料施設あるいは現段階での実験施設だけではなくて、それを利用して、関連産業あるいはまたいろいろな、いわゆる町にとってプラスになるようなものに利用したいという御希望があれば、我々、最大限それに対して御協力をしていくということは、決してこれは、私は間違った方向ではないと思っております。
 その中に、特に福井の場合には新幹線という地元の大変強い要望があることも重々承知しておりまして、それらを含めまして、個別案件は別にいたしまして、一般論として、地元の御要望にこたえて、その地域が発展をしていき、そしてまたエネルギーの供給基地、エネルギーの研究センターとして発展をしていくということは、我々にとって、国として大いにそれに対してできる限りの御支援をしていくということは、私は当然のことだというふうに考えております。

○吉井委員 プルトニウムとかナトリウムの危険な問題があって科学技術を進めていこうというときに、それを町おこしの取引条件でもって進めるというのは、これは科学技術のあり方としては全くゆがんだやり方です。こんなことはやるべきじゃありません。
 先ほどITERのことを挙げましたが、国際共同研究ということでいくならば、これはノーベル賞級の成果を次々続けて上げております施設、ニュートリノを打ち出す東海の新しい施設で156億円、スーパーカミオカンデで大体104億円ほどですが、これに新しい観測施設を考えても200億円とか、そういう単位なんですね。だから、そういうところへこそ、本来、研究というものを、国際研究を考えるならばやるべきであって、将来の展望もないものにITERを誘致すれば、周辺施設費など含めて大体1兆円から日本は負担をしなければならないでしょうし、そういう方向にゆがんでいくべきではないと思います。
 それで、エネルギー政策として見るならば、今、再生可能エネルギーの研究開発、これは、91年以降ずっと毎年出してもらっている再生可能エネルギーの研究費が、平均して年140億円ぐらいです。これまで「もんじゅ」に使ってきた約2兆円、これでいけば130年分なんですね。そういう分野にこそ研究開発に力を入れるならば、これは京都議定書の発効に伴う目標を達成していく上でも、プルトニウムなどに頼らなくてもやっていける新しいエネルギー政策に転換することができます。
 今やるべきことは、技術的にも困難であり、そして、動力炉につながるコスト面からもめどが立たないというITERだとか、あるいは「もんじゅ」に傾斜するのではなく、しかもそのやり方が、町おこし的なやり方ではなしに、本来の研究に立ち戻った姿に取り戻していくべきである、そういう方向にこそ日本の科学技術政策を転換するべきである。このことを申し上げまして、時間が終了しましたというので、終わるようにいたします。