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○松下委員長 次に、吉井英勝君。 ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。 幾つか最初に確認をしておきたいと思いますが、電子技術の進歩、ペーパーレス化していく社会、その中で、書類の電子的保存というのは私は当然の流れだというふうに考えております。 そこで、法案では、電子化による保存も認めるというものであって、従来どおり書面による保存も認める、電子保存を義務づけたり強制したりはしないという、この選択の自由は将来にわたってその立場をきちっと守っていくんだ、貫いていくという、この点だけまず最初に確認しておきたいと思います。 ○桜井俊・内閣官房内閣審議官 本法案は、民間事業者等に対して、書面の保存等が法令上義務づけられている場合において電子保存を容認するものでございます。 したがいまして、保存を義務づけられている民間事業者等に電子保存を行うか否かについての選択肢を与えるというものでございます。 ○吉井委員 だから、どっちを選ぶかという選択肢の自由ですね、これはこれからもきちんとそれを貫いていくという立場ですねという、この確認だけなんです。 ○桜井俊・内閣官房内閣審議官 法案は、先ほど申し上げましたように、電子保存を行うか否かに関して選択肢を与えるということでございます。引き続き、そういうことで法の執行というのを、成立していただければ、行ってまいりたいと思っております。 ○吉井委員 次に、法案についての説明を伺ったときに、コスト削減効果についていろいろお話も伺いましたが、この点については否定的な見方をする方もおられるんですね。否定的という意味は、技術要件の高さがシステム構築費と維持費を押し上げていくという問題がありますし、一方では、入力にかかる人件費も無視できないではないか。つまり、そのバランスするところによって、必ずしもコストが下がるということにつながらない場合もあるわけです。 それで、政府の説明を伺っておりましたときには、書類の電子保存によって、経済界全体の現在の保存コスト年間三千億が、電子保存によって大体三割から四割のコスト削減になるというお話だったんですが、ただそれは、試算は経団連のものだということなんですね。ですから、政府自身として、効果を言っておられるわけですから、独自の試算はどういうふうになっているのか、これを次に伺いたいと思うんです。 ○桜井俊・内閣官房内閣審議官 御指摘のとおり、日本経団連によれば、税務関係書類の保存コストというものは我が国全体で約三千億円との試算でございます。 本法案の制定に当たりまして、国としてのこの種の試算というのは行っておりません。行っておりませんけれども、本法案によりまして、原則としてすべての書類の電子保存が可能になるということから、産業界全体で大幅なコスト削減になるというふうに考えているところでございます。 ○吉井委員 法案の説明のときにコスト削減効果を言われる、しかし一方では、必ずしも削減効果は出ないのではないかという、さっき言ったような見方もあるわけですから、やはりそこのところはきちんと、もう少し説得的な答弁ができるような試算というのを独自に行って出さないことには、これは何か一方的な宣伝だけということになりますから、法律をつくるときには、そこまできちんとしたものにするべきだということを申し上げておきたいと思うんです。 次に、国税庁の方に伺います。 先ほどもスキャナーで読み込むときのお話、解像度の問題がありましたが、例えば、マル査の方が今ですと紙についている指紋からでも脱税についての追及をするとか、しかし、その解像度も特別高いものでないと指紋まで読み込むことはできないわけですから、そうすると、そういうことも含めた、データ改ざんを許さない、そういう取り組みをどうするかということは一つの課題になろうかと思うんです。 国税庁の場合は、e―文書法にかかわって、このデータ改ざんなどを、脱税を許さないという取り組みと、同時に一方では、それが行き過ぎといいますか、非常に強大な権力を持っている機関になりますから、権力の乱用によっては善意の納税者の人権を侵すという問題なんかも出てくる、そういうことにならないようにしなければいけないという、二つのことが大事だというふうに私は考えているんです。 特に、税務関係の書類の改ざんを防ぐためには、国税庁は、要件として、税務署長の事前承認とともに、一定の技術要件を満たすことを求めていますね。 そこで、少し税にかかわる保存文書の電子化について、では中小企業の場合には負担はどうなるのか、初期のコストとランニングコストを合わせて、どういうふうになるのかという試算を出しておられるならお聞きしたい。同時に、電子保存によるコスト削減効果がそのことによって幾ら出てくると見ておられるのか、これも伺っておきたいと思うんです。 ○村上喜堂・国税庁次長 お答えいたします。 先生御案内のとおり、e―文書法というのはあくまで選択でありまして、強制されるものではなく、また国税庁にとりましても、もちろん今先生御指摘のとおり、税務行政の根幹であります適正公平な課税を確保しつつ、電子化に伴うコスト削減をいかに図るか、そういうものを総合勘案してこの法律がつくられたと思います。 したがって、我々、別にコスト削減効果を試算する立場にないと思いますし、また、中小企業はどういう文書を保存しておられるかというのは必ずしも我々は把握しているわけではありませんので、そういう推計をするのは困難だと思います。 ○吉井委員 先ほども議論がありましたけれども、何かお話を伺っていると、結局、かなり大手のところには削減効果等があるんだけれども、中小零細にとっては、この法律というのは、別段特にコスト削減効果が出てくるとか、そういうものとは違うということになってこようかと思うんです。 そうすると、私は、この機会に少し伺っておきたいのは、納税者の権利を定めた法律とか憲章というものは日本にはないということが、経済の発達した国々の中では異例とも言える状態ですが、しかしその日本では、税務運営方針というのによって、国税庁は、各地の税務署の職員に、納税者の人権を尊重した税務調査を行うようにというふうに指示してきたと思います。現場で税務運営方針を知らない税務職員が、しかし結構最近見かけられるものを感じられますから、これは現場に徹底しているのかどうか、次にこれを伺っておきたいと思うんです。 ○村上喜堂・国税庁次長 納税者の権利についてのお尋ねだと思いますが、我が国におきましては、租税法律主義のもと、国税通則法や各税法におきまして、更正の請求であるとか、不服申し立て、守秘義務など、具体的な規定が置かれております。その趣旨に従って税務行政を推進しておりまして、基本的にその保護が図られているというふうに我々は考えております。 それから、今、税務運営方針のお尋ねがございました。 これは、昭和五十一年に、実は国税庁長官が職員に対する訓示として示したものでありますが、現在は、行政改革がございまして、財務大臣から示された国税庁の事務の実施基準及び準則を受けて、その内容にかつ具体的な行動規範を加えて、国税庁の使命として職員に周知をしております。 なお、税務運営方針につきましても、昭和五十一年に制定したものでありますから、若干内容が古くなっている部分もあるんです、例えば消費税が入っていないとかですね。そういうものでございますが、税務行政を遂行する原則論を示したものでございますので、引き続き、その趣旨の徹底は図っているところでございます。 ○吉井委員 税務運営方針、この考え方というのは今も非常によく生きてくる部分があります。生きているものがちゃんと示されておりますので、やはり現場で税務職員の方に税務運営方針のこの立場というものを徹底するということが大事なものだと考えております。 そこで、〇三年の消費税改正によって免税点が三千万円から一千万円に引き下げられました。そのときに、課税事業者となって簡易課税をとるか、本則課税でいくかというのは事業者が選択できるということですが、法律の改正後に初めて課税事業者となる場合、経過措置として来年中の提出でも可能となっていると思うんですが、これを次に確認しておきます。 ○村上喜堂・国税庁次長 お答えいたします。 消費税の簡易課税制度の選択届け出につきましては、この簡易課税制度を十分理解していないまま提出されたというケースもございますので、そういった場合には、現在でも、簡易課税制度の適用を受けようとする最初の課税期間の開始の日の前日までであれば取り下げが可能という取り扱いになっております。 なお、今回、平成十五年の税制改正におきまして、新たに免税事業者がふえて、新たな課税事業者がたくさん出てくるわけでありますが、今回にかかわりまして、特別の経過措置といたしまして、平成十六年四月一日以降、法律施行されておりますが、以後、最初に開始する課税期間において、新たな課税事業者となる事業者につきましては簡易課税制度選択届出書の提出時期に関する経過措置が設けられておりまして、例えば平成十七年分から新たに課税事業者となる個人事業者の場合には、平成十七年十二月三十一日までに選択届出書を提出すれば、平成十七年度分から簡易課税制度の適用を受けることができることになっております。 したがいまして、今回の税制改正に伴い新たな課税事業者となる個人事業者につきましては、この経過措置期間中、すなわち平成十七年十二月三十一日までは取り下げが可能となっております。 ○吉井委員 実は、この簡易課税、税の問題というのは国民的に非常に難しいんですね。簡易課税方式の届けを出した後、簡易課税をやめて原則どおり計算をして申告しようと届けの変更をしても、経過措置期間中であるにもかかわらず税務署で受け付けてもらえないで困っているという業者の方からの訴えが新潟の方でありました。 少しこの話を聞いてみると、新潟税務署からことし六月に「平成十五年分の課税売上高が一千万円を超えると平成十七年分の消費税の確定申告が必要になります!」、さっきの話ですね、そういう見出しで消費税課税事業者届出書提出の案内がまず来たわけですね。 その中に「消費税についてのお尋ね」を七月九日までに提出しなさいと書いてあって、しかし、そのままにしていたら新潟税務署の方から今度は九月十日付のもので、消費税の課税事業者に該当する、しないにかかわらず、九月二十一日までに提出するようにという期日を設けての督促が来たわけですよ。 そうすると、この業者の場合は、督促が来たから、これは大変だ、仕組みがわからないが、とにかく慌てて簡易課税選択届出書を提出した。しかし、届け出を出した後、計算をしてみると、簡易課税方式で計算すると消費税の払い過ぎ、つまりお客さんから実際もらっている消費税よりもたくさん払うということになってくることがわかったので、届けの変更をしたいと税務署に行ったら受け付けてもらえなくて困っているという話が出てきました。 来年十二月末まで、今お話があった経過措置があるんですね。その経過措置期間中は届けの取り下げを認めるのが普通だと思うんですね、この場合は。届けの取り下げを認めないという、何かそんな規定があるのかどうか伺いたいと思うんです。 ○村上喜堂・国税庁次長 内容につきましては、先ほど御答弁をしたとおりでございます。 なお、ちょっと今先生御指摘の個別事案について承知しておりませんが、もし万が一、部内において取り扱いが違うということがあったら大変でございますので、それらの取り扱いにつきましては再度周知をさせていただきたいと思っています。 ○吉井委員 つまり、取り下げができるということを周知徹底されるという今のお話で、私、そこは非常に大事なところだと思っているんです。 実は、税務運営方針を読んでおりましても、調査内容を納税者が納得するようによく説明しなさいとか、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないように細心の注意を払いなさいとか、なかなか税務行政でちゃんとしたことを言っているわけですよね。 納税者の利益となる事項を進んで知らせる心構えが大事だということもあるんですが、つまり、簡易課税を選んだら、当然お客さんからもらった消費税を払うのは当たり前の話ですよね、それは払うんだけれども、逆にもらってもいない部分まで過払いになるようなことがあり得るわけで、その場合は本則できちんとやった方がいいのですよとか、やはり丁寧な説明をしてあげないことには、これはなかなか普通の納税者にはわからないということがあります。 納税者の正当な権利、利益の保護に欠けることがないように配慮しなさいというのが、もともと税務運営方針として皆さんの方は出してこられたことですが、なかなかそれが現場の段階になると税務職員の方に徹底されていないということがあります。 私は、今度の法案に関連して言いましたように、マル査の人の活動など、全く悪意を持って巨額脱税に走っている連中や犯罪、たくさんありますから、それをびしびしやるのは当たり前だと思うんですね。しかし、同時に、今の新潟の話と同様の例が全国であるわけで、新潟の話は、期日を限って督促されると、督促を受けた側、普通の市民というのはやはり強要されたように受け取ってしまって、とにかくその日までに届けを出さないかぬということになるんですが、後で税理士さんなんかに相談したら、実際は本則課税より税金を払い過ぎることになるから、それはあなたの場合はこうですよとか、プロの方から丁寧に、親切に教えてもらえるわけですね。 だから、普通の人の場合には、消費税課税事業者届出書の提出の案内とか、「消費税についてのお尋ね」が届けば、圧力ととらえてしまったりしますから、その結果、選択届けを出してしまうこともあるということを聞いています。 ですから、全国の税務署、納税業者に対して、選択届けの取り消しができるんだということ、その方法をやはり周知徹底して、あわせて、取り下げ手続が簡単にできるための様式や書類を考えるということ、こういうことが大事だと思うんですが、さっき御答弁ありましたけれども、その立場でぴしっとされますね。 ○村上喜堂・国税庁次長 あくまで簡易課税というのは、これは主税局が答弁すべきかもしれませんが、事務負担の軽減の見地から設けられているものでありまして、納税額が有利、不利ではございません、御案内と思いますが。 現に、設備投資なんかをやられた場合、本則課税の方が結果的に有利になることもありますので、そういう二つの制度があるという、それは必ずしも有利、不利とは別問題でございますが、二つの制度があるという周知につきましては徹底してまいりたいと思っています。 ○吉井委員 私、有利、不利の議論じゃなくて、やはりそのことはよくわからないで届け出を出したんだけれども、取り消そうと思ったらだめだと言われて困っている人が出ないようにやっていただきたい、こういう趣旨ですから。 実は、税務調査で、大阪の統括官の方が業者にうそをついていきなり反面調査を行ったために取引先からの取引が困難になったという事例が最近もありますが、うそをついたことを認めながら是正はしないということがあるんですね。税金を取る方は一生懸命なんだけれども、問題が出たときに是正する方はきちんとしない、これでは、納税者の権利を尊重するという欧米社会の水準に追いつかないということになると私は思うんですね。 税務運営方針をきちんと徹底した税務行政をやっていただきたい。それは、納税者の権利をしっかり守るということは近代社会にとって大事なことですから、それをやっていただきたいということを申し上げまして、時間があと一分弱になりましたので、大臣の方に。 きょうはe―文書法についての議論ですが、今、私申しましたが、法の執行には二面あるということですよ。つまり、この法についても、利便性と同時に、個人情報流出の問題とか、あるいは改ざんの問題だとか、そういう二面があるんですね。税についていえば、改ざんなど脱税を許さない対策と同時に、税務には強大な権力行使が伴うものですから、誤ると大きな弊害が生まれる。こういうものですから、このe―文書法についても、そのことを考えた公正な執行というものが非常に大事だと思うんです。 この点について、最後に大臣のお考えを伺っておきたいと思います。 ○棚橋泰文・国務大臣 吉井委員にお答えいたします。 おっしゃるとおりでございまして、やはり国民の利便性、選択肢を増すという観点からのこのe―文書法、私どもの立場としてできる限り使い勝手がいいものにしていくようにしてまいりたいと思っております。 ただ、一方で、今お話にございましたように、やはり改ざんという問題がございますので、書面の保存と比較して容易に改ざんが行われないようにという側面と、それから他方、必要以上に厳格な要件を課すということによって、民間事業者等が電子保存をできなくなったり、妨げてしまうということがないよう、この二つの要請、文書の内容や改ざんの危険性等に応じて、必要な技術基準や運用の要件等を主務省令で定めてまいることとなっておりますけれども、この制定に当たって、IT戦略本部等を通じて、技術等に関する情報の共有化、あるいは省令整備の進捗を管理した上で、保存の電子化を政府全体として適切に推進できるよう、e―文書法の適正な執行に努めてまいります。 ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。 |