|
〔ITER誘致に先立つ検討課題〕
1.サンディエゴのITER工学設計の時代からすでに10年経っている。
96年夏に、アメリカのDOEはITERに消極的乃至技術的可能性に疑問を持っているという印象を受けた。その後アメリカはITERから脱退した。最近復帰はした。
日本かフランスかどちらに誘致するかの議論の前に、本来、工学設計が終了した段階で、本当に建設まですすむかどうかについての検討が必要である。
2.検討するべき課題は、
1)高速中性子照射に耐えられる炉材料は現在はないけれど、これが得られるかどうかが建設前に問題である。
2)ITERは、発電が目的ではなくて、核融合反応が安定的に起こさせることができるかということであるが、そのプラズマ制御がう まくできるのか=プラズマ不安定性の解決にあらかじめメドをつけることが問題。すなわち、プラズマの振る舞いを詳細に調べる基礎 的実験が重要な段階であり、一度にスケールアップすることは妥当でない。
3)重量が重く、形状が複雑になり、熱膨張と収縮の繰り返しや電磁力に耐える構造にしなければならない。その結果、重量は軽水炉( 通常の原発)の10倍以上の重いものになる。こうして、設計・製作・据付け・保守なども含めて、技術的にコストがうんと高いもの になる。
その理由は、数億度という高温で高い密度でプラズマを閉じ込め、同時に高速中性子から熱を取り出すために、超高真空容器 (ultra-hight
vacuum vessel )、ブランケット(blanket)、大型コイル、液体ヘリウム冷却系と配管、加熱装置などが必要であるこ とによる。
4)ITERの将来の目的は、核融合エネルギーを発電に利用しようということだ。そうするとこれに発電設備を付加しないと動力炉に ならないが、そのコストを含めて、電気出力当たりの建設コストで比較して、今の軽水炉と較べて7〜8倍も高いものになり、原発と コスト面で競争できる展望がでてこない。
5)当初、サンディエゴで4極で設計した1兆円規模のITERを、コストダウンのために、規模を半分にしたコンパクトITERに変 えたことで、実験の到達目標値も将来の動力炉に繋がるものからは遠ざかるものとなるという矛盾を抱えている。
日本のノーベル賞受賞の小柴昌俊博士をはじめ多くの物理学者や、原発からITERにすすんだ技術者などは、こうした問題で、I TERに疑問をもっている。
3.私は核融合の研究は賛成の立場である。いま、核融合についての国際的な取組みについて、トカマク型、ヘリカル型、レーザー核融合 など各種の核融合についての基礎研究や、必要な炉材料の開発など、日本とEUが国際的に共同してすすめていくことが大事な時期であると考える。
これに対して、ITERを六ヶ所村に誘致しようとしている青森県出身の地元の自民党の津島雄二議員より、「日本共産党は少数の考えを述べたもの。ノーベル賞受賞学者の話があったけれど、学者の中でも少数の考え。政府として日本誘致を決めて国を挙げて取り組んでいる」などの意見表明があった。
そこで、2回目の発言を求めて、
「日本共産党は、核融合の研究には賛成である。国会でITER工学設計に参加する決議には賛成している。問題は、工学設計が終了し た時点で、建設に移れる段階なのかの検討が必要。先程述べたように、高エネルギーの高速中性子に耐えられる炉材料まだ得られない 、プラズマ安定性の問題の解決をしなければならないなど、現実をリアルに見なければならない。ITERに賛成の人も反対の人も含 めて、物理学者の半数に人達は、いま建設することには懸念を表明している。」
「将来のエネルギー問題についても深く考えている。太陽を起源とするエネルギーは、化石燃料もあるが、再生可能エネルギーとして様々な形で活用することが大事。例えば、廃棄物を微生物で処理してメタンガスを作り、これと燃料電池を結び付けることなどこうした研究・開発に共同して取り組むようにしよう。」と述べておいた。
ヨーロッパの代表団の中からも、
「ITERに巨大な投資をするよりも、多くの分野の研究・開発予算に回した方がいいと思っている。フランスでなく日本に誘致してく れれば、その方がヨーロッパで多くの研究に資金を回せるから良いことだ。」との発言も出された。
|